過去の岡山県議会一般質問集 <情報施策>篇 | ||
<平成22年11月定例会>(2010年12月7日)
(佐藤) さらに,地場の企業にとっては切実な話として,一時期国策として行われたIT研修でございますが,むしろ高齢者の方が公民館などで生涯学習としてパソコンやインターネットに触れる機会は確保されておりますが,意外に現場ではプロとして卓越した技能はあるけれども,実はパソコンが使えないという若い世代の方が実は多くおられます。とりわけ電子入札が当たり前に行われる中で,こうした情報格差が経営的にもチャンスを失ってしまう,そうした可能性があります。いわゆる職業訓練校に通ういとまがない状況の中で,例えば,組合や業界組織でIT研修を行うについて,旧型のパソコンの支給貸与も含めて支援策は考えられないでしょうか。特に,だれでもパソコンが使いこなせるようになるべくして行われた国主導のIT研修ですが,高齢者の方々にとっても改めて必要な状況もあるかもしれません。そうした現状認識,課題と対応策についてあわせてお知らせください。 (知事) IT研修でありますが,県内のブロードバンドやパソコン等の普及が進むその一方で,規模の小さい企業や高齢化率の高い中山間地域のインターネットの活用割合が低いとの調査結果もありまして,県民のIT活用能力のさらなる向上が課題であると考えております。このため,県では,IT研修を行う商工関係団体への支援や企業向けの電子入札の操作説明会の開催,また,市町村と連携いたしました電子申請体験会の実施等に取り組んできているところであります。御質問の旧型のパソコンの活用ということにつきましては,御承知のとおりセキュリティーあるいは実用性等,こういった観点から検討していくということになりますので,そういった意味からは慎重なる検討を要するものと考えておりますが,情報格差の是正は重要な課題であると,このように考えておりまして,今後とも高齢者はもとより県民のIT利用機会の拡大,あるいは活用能力の向上に努めてまいりたいと思います。 <平成22年9月定例会>(2010年9月14日) (佐藤) 加えて,これは自公連立政権の時代のころのことなんですけれども,自公連立政権の時代に進められていたもの,この4月に総務省は,ネットワーク経由でソフトや情報サービスを利用するクラウドコンピューティングの普及に向け,特区を創設する方向を示しました。シンガポールなどでは,もう既に国策としてあるんですけれども,情報を集中管理する国内最大級のデータセンターを構築しようということで,実は日本では,コンテナ型サーバーが建築基準法や消防法の対象になって,建築運営費がアメリカの2倍に上がると言われ,こうした規制を緩和しようというものでございます。現在,日本のネット経由の通信量の半分近くが海外のデータセンターを使って,実は7,000億円以上の利用額が海外に流出したと推察されております。これで,クラウド特区でコストを下げて構築されたデータセンターができれば,日本の企業や国や地方の官公庁の機密データは,情報漏れのリスクを減らして,国内に,しかも低価格で格納することができます。問題は,税制に絡む問題や著作権法など,これをクリアするということですが,情報先進県を目指し,かつ交通の結節点でもあり,災害等の少なさで言えば,私は岡山県にも十分に芽があるというふうに思います。東京には,総床面積14万平方メートルの世界最大級のデータセンター,アット東京がありますが,国は2011年春にも,北海道か東北に特区を創設して,国内最大級のデータセンターの構築を目指しており,その投資額は最大でも500億円程度だそうであります。データセンターは情報関連投資,人材育成などの広がりも極めて大きく,岡山県の活性化の目玉になり得ると思います。イメージは,特定のエリアというよりも,岡山県全土で,吉備高原都市やリサーチパークの有効活用のイメージに合うと思いますが,岡山情報ハイウェイの次の目玉施策としてデータセンターについて,どのようにお考えでしょうか,県民生活部長にお伺いいたします。 (県民生活部長) 総合特区等についてのうち,データセンターについてでありますが,ネットワークを経由して,ソフトや情報サービスを利用するクラウドコンピューティングの普及等により,データセンターへの需要が高まっており,その投資等を通じた地元経済への波及効果が期待されているところであります。このため,県では,県内市町村と連携して,クラウド利用による業務の効率化に関する検討を開始したところであり,その議論の進捗や今後,国が打ち出す支援策の動向等を踏まえながら,県内のクラウド利用の拡大やデータセンターの構築等について,研究を進めてまいりたいと存じます。 <平成15年11月定例会>(2003年12月5日) (佐藤) 次に,産学官の連携について伺います。 県の施策では,産学官連携の重点分野の育成として,ナノテク分野,バイオ関連分野,医療・福祉・健康関連分野,環境関連分野が掲げられ,この3月には,岡山・産学官連携推進会議が立ち上がっていますが,それに関連して幾つかお伺いいたします。 まず,医療・福祉・健康関連分野の「ハートフルビジネスおかやま」について,福祉用具の開発支援,利用者への情報提供を図るということですが,今年度,総合社会福祉センターの民間委託に伴って,補装具製作所を廃止されており,また岡山県産業振興財団に事務局を置き,長年活動している岡山県福祉機器研究会では,残念ながら利用者側の参加が余りなかった,そのように聞いております。また,福祉の現場との連携が極めて重要だと思いますが,利用者の皆さんの声を反映させるためには,「ハートフルビジネスおかやま」から生まれた商品を展示する福祉機器の展示場が必要である,そのように思います。例えば,南部健康づくりセンターあるいは新設の新総合福祉ボランティア・NPO会館に,こういった展示場を設けることは考えられないでしょうか,商工労働部長にお伺いいたします。 次に,産学官の連携による環境関連分野の産業創出については,木質バイオマス,さらにはミニエコタウン構想等々ありますし,さらには,リサイクル素材の活用も重大な課題ではありますけれども,産学官ということでの目玉施策が打ち出されておりません。私は,環境産業として,水の浄化,端的には児島湖を意識した水質浄化産業の育成が極めて岡山らしい施策ではないかと考えます。児島湖の汚泥しゅんせつ事業が,残念ながら余り効果が出ないまま終わろうとする今,場合によっては,特に,産学官連携の水質浄化プロジェクトチームを創設したり,水質浄化コンテストを企画し,水質浄化に関して世界の英知を岡山に結集し,環境産業立県をすることは考えられないでしょうか,知事の御所見をお伺いいたします。 加えて,ITの分野でも,産学官の連携が進んでいるように認識しておりますが,IPv6について,私はこの場で何度も取り上げてまいりましたが,岡山情報ハイウェイがIPv6化することの具体的なイメージが,ともかくこれがわかないという声を非常によく耳にします。確かに,これからの技術だけに,生活が具体的にどのように変わっていくのか,なかなか説明ができないのも事実です。そこで,私は,6月定例会で申し上げました吉備高原都市のIPv6のテストベッド化がたちまち無理としても,まずは県民の皆様に,岡山情報ハイウェイがIPv6化して生活がどのように変わるのか,実感していただくような場を提供してはいかがかと考えますが,知事のお考えをお伺いいたします。 これに加えて,産学官の連携によるIPv6の協議会を立ち上げてはいかがでしょうか。 ところで,来年4月から,すべての国立大学が法人化し,文部科学省の一機関から独立する中で,岡山大学も例外ではなく,民間的発想の経営手法を入れ,学外者も加わり,さまざまな意味で社会へ開かれたものしようとしています。ある意味では,かなり自由度が増した地方の国公立大学法人に資金獲得まで含めた私立大学同様の競争原理も働かせるということではないかと思います。とすれば,もちろん憲法に保障された大学の自治を侵してはなりませんけれども,地方の岡山大学が岡山の産業界等に果たす役割を明確に示していただかなくてはいけませんし,逆に産業界や岡山県サイドからも,地方固有の問題にどう対処するのか,岡山県にいかような人材を輩出してくださるのか,岡山大学に要望を出していくべきではないでしょうか。特に,技術に限らず,大学のシーズを探すには,大学へのニーズを伝えなくてはいけないと思います。それもまた,私は産学官の連携ではないかと考えます。そういう連絡協議会的な仕組みをつくることには,大きな意味があると思いますが,知事はいかがお考えでしょうか (知事) 産学官連携であります。 環境産業でありますが,県では,環境産業を重点育成分野の一つに位置づけまして,研究・開発への助成やあるいは地域ミニエコタウン事業によります支援,さらには本県の特性を生かしました木質バイオマス利用技術の開発支援等を行ってきております。環境関連の課題は,水質,大気,廃棄物など多岐にわたっておりまして,多様な取り組みへの支援策が必要であると考えておりますが,御提案いただきました水質浄化産業の育成は,産業振興と環境対策の両面で本県にふさわしいテーマであると考えておりまして,今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。 IPv6でありますが,次世代ネットワーク技術でありますIPv6導入は,身の回りのあらゆるものがネットワークにつながって,すべての県民がITの恩恵を受けることができるユビキタス社会実現のために不可欠でありまして,普及に当たりましては,その利便性を県民の皆様方にわかりやすくお伝えをすることが重要であると考えております。そのために,現在,策定を進めております次期IT戦略プログラムに掲げております生活実感戦略におきまして,IPv6技術によって生活がどのように便利になるのかを県民の皆様に体感していただくための効果的な方策の検討を進めております。 なお,IPv6の協議会の設置でありますが,産学官によって構成されております岡山県高度情報化推進協議会を活用することも含めまして,今後,検討をしてまいりたいと存じます。 岡山大学への働きかけでありますが,岡山大学は,本県の中核的な研究・教育機関といたしまして,本県の社会経済,文化の発展に重要な役割を担っているため,地元産業界や県の側からも,岡山大学に向けまして絶えずニーズを発信していくことが重要であると考えております。そのため,現在,岡山・産学官連携推進会議において,県内5大学との産学官の連携・協働の強化を図っているところでありまして,その中で,大学の技術の移転を促す岡山TLOの創設などにつきまして協議をしているところであります。特に,岡山大学が設置をいたしました地域貢献連絡協議会に県としても参画をし,環境対策や生涯学習,食の安全等の本県の諸課題について研究・教育がなされますように,県から働きかけをいたしますとともに,さまざまなテーマに基づきまして,共同研究の場を,現在,設定をしているものであります。今後とも,地元産業に密着した研究活動や,若者が地元で働きたくなるような教育カリキュラムの実施など,岡山大学に対する提言や要望を重点的に,また積極的に行っていきたいと存じます。 (商工労働部長) 産学官連携に関しましての「ハートフルビジネスおかやま」についてでございますが,利用者から真に求められている福祉用具の開発のためには,産学官の連携に加えまして,福祉現場の意見をお聞きすることが極めて重要でありまして,現在,20を超える保健福祉関係団体の自主的な参加をいただいておるところでございます。この取り組みから生まれますところの福祉用具の新製品につきましては,県民が気軽に立ち寄れる場所に展示いたしたいと考えております。お話の新総合福祉・ボランティア・NPO会館での展示を含めまして,今後どのような場所で展示ができますかどうか,検討をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 <平成15年6月定例会>(2003年6月24日) (佐藤) 本県には,ある意味で世代間の公平な分担として,非常に恵まれたハードが整備されていますが,中には相続放棄をしたいようなものもあります。しかし,どこかで活路を見出さないといけないわけですが,特に我々の背にずしんと重くのしかかっているのが吉備高原都市であります。 吉備高原都市,緑豊かな自然環境と広域高速交通網のアクセスに恵まれた立地条件を生かしながら,保健・福祉・教育・文化・産業・レクリエーションなど,各領域にわたる高度の機能を備えた魅力ある人間中心の21世紀を志向したコミュニティー都市を建設しよう,そういった夢でありますが,仮に日本列島改造論の前であれば,あるいはバブルが崩壊さえしなければ,人間尊重,福祉優先,この崇高な理想に基づく大きな夢は,人口3万人の美しい人工都市として大輪の花を咲かせたかもしれません。しかし,本来は,現在の10倍の人口と3倍の面積の計画である吉備高原都市について語ることは,まさに県政のアンタッチャブルとでも言える状況であります。そうはいうものの,石井知事は,本当のところ吉備高原都市構想というものについて,そもそもどう思っていらっしゃるのでしょうか。 また,第2次行財政改革大綱により,広域計画Bゾーン以降の事業着手が凍結されていましたが,整備方針がまとめられ,近未来体験都市を標榜いたしておりますが,今後,どのように進めていかれるのでしょうか。 また,私は,ここでいう近未来にどれだけITがイメージされているのか,疑問に感じております。まずもって,4年にわたり吉備高原都市で行われた地域イントラネット普及促進事業の成果をお伺いいたします。 ところで,昨年の6月定例会で,岡山情報ハイウェイをIPv6化すべきであると提言させていただき,今年度その基盤整備をしていただくことを,まず歓迎いたしますが,問題はこのIPv6の使い方であります。あれから1年の間に,IPv6も日常用語に近くなってまいりましたが,一言で言えばIPv6は,耐久消費財総インターネット端末時代を根底から支える基盤技術です。すなわち,家電製品や携帯情報端末,モバイル機器がインターネットにつながって,情報家電,情報端末になる場合に,グローバルIPアドレスが必要になるということです。逆に言えば,情報インフラである岡山情報ハイウェイがIPv6化することの意味について,そこからどんな展開が望めるとお考えなのでしょうか,再度,確認をさせていただきます。 そして,このIPv6の実用性について可能性を模索しているのが多くの企業であるのは言うまでもありません。私は,先日,IPv6ベースで各機器が協調する技術を開発したある会社を訪ねましたが,実際のところ,企業すらその可能性については実証を重ねていかないとわからないという印象を持ちました。 そこで,私は,吉備高原都市そのものをIPv6のテストベッドにすることを提言させていただきます。とりわけ福祉や環境,さらには防災と,IPv6は非常に可能性がある技術でありますが,その実証実験を限られた吉備高原都市というエリアで行うのです。IPv6化した岡山情報ハイウェイを使い,吉備高原都市では,企業がのどから手が出るほど欲しい実際の生活に即した実証データを得ることができる。さらには,地域にはおのずとITインフラが整備されていきます。企業や地域の方に幾らかのインセンティブをつければ,非常にたやすいことではないかと私は思います。こうして,吉備高原で得られた実証データをもって,産学官が連携した近接する岡山リサーチパークで研究を行い,その研究の成果として,家電製品や携帯情報端末の製造を行い,岡山空港を使い輸出入を行う。あるいはアジアを中心にした外国の研究者が集い,居住すれば,吉備高原都市は国際の分野も加わり,まさに崇高な理念そのままの近未来体験都市になるのではないでしょうか。 私が勝手に申し上げております夢,マスカットバレーの中核にもなり得ます。IT特別経済区,いわゆるeトップ・エリアの研究開発型集積エリアに吉備高原都市を加えることも含めて,今の吉備高原都市だからこそ可能な,吉備高原都市IPv6テストベッド構想についての御所見をお聞かせください。 (知事) まず最初に,吉備高原都市構想についてでありますが,吉備高原都市は近未来型の都市構想といたしまして取り組んできたものでございまして,本県の特色を,医療・福祉の先進県であると,こういったものを生かした一大プロジェクトといたしまして,全国からも注目をされ,また評価をされてきたというふうに思っております。ただ,社会経済情勢が大きく変化をしてまいりまして,今現在の県政におきましても大きな課題となっておるということは御承知のとおりでございます。バブル崩壊後の社会経済情勢の大きな変化に対応いたしまして,一時計画の凍結ということを余儀なくされたところでございますが,平成13年度には,後期Bゾーン以降の区域につきましては,状況を見ながら民間を中心といたしました投資を誘導する方針とするなど,当初計画を見直す整備方針を取りまとめたものであります。今後は,この方針に基づきまして,産業の誘致や住宅分譲の促進を図って,都市の活性化やあるいは熟度を高めることによって,質の高い生活や産業の活動というものができるように努めてまいりたいと考えております。 吉備高原都市における地域イントラネット普及促進事業の成果についてでありますが,ケーブルテレビネットワークを活用いたしました高速インターネット環境の整備を図ってまいりました。また,町内会,学校,障害者福祉施設,企業などによります研究会を立ち上げ,その研究会が主体となりまして,IT講習会の開催や画像,動画を含む地域の情報に関する記事,これをホームページで簡易に作成をするシステムの開発などに精力的に取り組んできたところであります。 この地域イントラネット普及促進事業でございますが,住民の積極的な参加も得ているところでありまして,吉備高原車いすふれあいロードレース大会のインターネットライブ中継を行うなどによりまして,地域の情報発信や住民間のコミュニケーションが一層促進をされまして,地域情報活用のモデル事業といたしまして,大きな成果を上げてきたものと存じております。 情報ハイウェイのIPv6化についてでありますが,このIPv6化が図られますと,ほぼ無限とも言える数のIPアドレスを確保できるということになるわけでありまして,これを活用することによって,家電製品を初め,とにかく身の回りにありますあらゆるものにつきまして,インターネットへの接続が可能となります。この点,けさの新聞各紙にも報道されておりますとおりでございます。 IPv6化の実用化のためには,世界規模で進められます技術開発とか,標準化の推進といったこととあわせまして,プロバイダーや企業,家庭におけるその利用機器が整備をされるということ,またIPv6を活用いたしましたサービスやソフトの開発が行われるといったことなど,官民一体となって取り組んでいくべき多くの課題があるところでございますが,本格的な普及に先駆けて,県内にこの環境を整えていくことによりまして,各種の実証実験を初め,関連産業の誘致とか,あるいは県内における新ビジネスの育成が促進をされるものと,このように考えておりまして,IPv6化対応を県といたしましても急いで行っていきたいと,このように考えているものであります。 そこで,具体的に御提言をいただきました吉備高原都市をIPv6のテストベッドとしてはどうかという,大変夢のある,将来を見据えた御提言をいただいたと,このように私も存ずる次第でありますが,御承知のとおり,このIPv6をテーマといたしまして,この4月に,国のITビジネスモデル地区に岡山市域が指定を受けたというところでございます。今後,この制度を活用いたしまして,民間事業者がIPv6やICタグ等を活用いたしました新規ビジネスの研究開発に取り組んでいくと,こういうことになっているところでありまして,県といたしましては,こういった岡山市内での取り組みを踏まえまして,御提案のございました吉備高原都市を含めて,他地域への展開をするということを検討してまいりたいと思っております。 また,eトップ・エリアのエリア拡大でありますが,これも本年4月に,岡山市中心地区のエリアの拡大を行ったところでございまして,現在の指定地域におけるその集積の状況とか,あるいはその効果等を検証しながら今後検討をしていきたいと,このように考えているものであります。 <平成15年2月定例会>(2003年3月5日) (佐藤) さて,いよいよ今期最後の議会となりましたが,今回も格別の御厚情を賜り,当選後16回,毎議会連続になる一般質問のチャンスをちょうだいしましたことを心より感謝,御礼を申し上げます。 また,毎回欠かさず傍聴にお越しいただきました皆様に,心から感謝申し上げます。 思えば,本会議は,岡山県株式会社の株主総会の場であるとして,株主である県民の皆様の声を速やかにお届けすべく,くちばしの黄色い若い議員が,毎回毎回ああでもない,こうでもないと申し上げてまいりました。時には,量が多過ぎる,細か過ぎる,片仮名が多過ぎる,早口過ぎると,何度言われようとも,それでも知事の提案理由の中に,少しでも提案させていただいたことが反映されることを励みに,実にわがままな質問をさせていただいてまいりました。まことに申しわけありませんでした。 しかし,これもすべて岡山県を思うがゆえの若げの至りでございます。などと,今回は最初にこうしてしおらしく心からおわびと感謝を申し上げつつも,それでも性懲りもなくイタチの何とかのようなことを伺いたいと存じます。 私は,主にIT関連を中心にマスカットバレー研究会という内部勉強会を通して,岡山情報ハイウェイの基盤を活用したIPv6への早期対応の必要性を認識して,昨年の6月定例会で取り上げさせていただきました。岡山情報ハイウェイがIPv6に対応することが来年度の新施策として実現しそうなことを,まずは歓迎させていただきます。さらに,この勉強会で取り上げられたことを幾つかお伺いいたします。 まずは,創業支援について。 県によるベンチャー企業育成へ向けた取り組みの岡山シンフォニーのITインキュベートセンター,e−プラザ岡山の入居募集が始まって2年近くが経過しますが,入居企業がその後どのような成果を上げているのか,お伺いいたします。 また,いわゆる第2創業と言われる既存企業による新製品開発,新規事業分野進出の取り組みは,企業収益の向上や業績拡大による新規雇用創出や地域の活性化,周辺産業への波及効果の面で,今後極めて重要な役割を担うと考えられますが,これらの取り組みのための研究開発,市場調査活動等への支援状況はどうなっているのでしょうか。特に,試作品等の実現段階以前に,初期構想段階から知的財産権として保護した上で製品化し,市場に流通させるための支援策も必要であると考えられますが,それらへのバックアップの取り組みはどのようになされているのでしょうか。 さらに,新規創業や新しいビジネスモデル,新製品開発に対しては確実なマーケティングというものは困難であり,逆にさまざまな規制や先入観が障害物として立ちはだかり,結果としてビジネスシーズを摘む結果となる場合があります。 また,行政が補助金等の審査機関として,一種壁のように立ちはだかるだけでなく,障壁を乗り越えるための具体的な支援こそが重要だと思いますが,この点いかがお考えでしょうか。 以上,商工労働部長にお伺いいたします。 (商工労働部長) e−プラザ岡山入居企業の成果についてでございますが,現下の厳しい経済状況の中で,必ずしも当初計画どおりの成果を出せないまま,1年で退室したケースもございます。しかしながら,入居2年目となる4社につきましては,着実に売り上げが増加し利益も出るなど,一定の成果を得ておりまして,入居後新たに会社を設立している者もおります。特に,学生ベンチャーである1社は,新たに東京,名古屋に営業拠点を設けるなど,積極的な事業拡大を図っているところでございます。 次に,第2創業への支援についてでありますが,いわゆる第2創業に限ったものではございませんが,経営革新や新分野進出を目指す既存企業に対しまして研究開発費の助成,マーケティング支援のほか,販路開拓のサポートや創業用資金の融資なども行っておりまして,売上増や雇用増などの成果もあらわれているところでございます。 また,特許を早期に権利化するための支援や事業計画の初期段階での市場調査のサポートなども行いながら,競争力の高い売れ筋商品の開発促進に努めているところでございます。今後は,弁理士による特許取得相談会の開催や東京,大阪で新技術,新商品の発表を行う事業にも取り組むこととしておりまして,事業の企画から技術開発,販路開拓までの一貫した支援体制をさらに強化してまいりたいと考えております。 次に,参入への障壁についてでありますが,創業を活発化するためには,新規参入を阻害する規制を見直したり,実績重視の慣行を改め,チャレンジャーの技術や商品を適正に評価することが重要でありまして,県の補助金等の選考に当たっても,技術面やビジネス面の目利きができる外部人材にも審査をお願いいたしまして,真に優秀な事業計画の採択に努めているところでございます。 また,新規参入に向けたさまざまな課題解決のため,創業ノウハウの指導,技術面でのサポート,販路開拓の支援,創業資金の融資など,多様な施策展開を進めているところでございます。今後は,ベンチャーの製品を自治体や企業等に紹介する事業や創業間もないベンチャーへの投資なども含め,一層きめ細かな取り組みを進めてまいりたいと考えております。 <平成14年6月定例会>(2002年6月18日) (佐藤) さて,先日,市町村合併の後に来るであろう道州制の議論で,知事は中四国州構想について語られました。全国の知事に先駆けた道州制への具体的な構想,特に四国まで含めた州を考えたとき,唯一の鉄道併設橋である瀬戸大橋を持ち,全国一の高速道路の延長率を誇る交通拠点としての我が県の優位性にかんがみれば,中四国州の州政府,州都はどこに来るのか,そういう議論になり,非常に夢があると思います。願わくば,例えば20年後,石井州知事誕生の暁には,今度は州議会議員として支援させていただきたいものだなどと大きな夢を語りながら,早速通告に従い夢のある質問をさせていただきます。 平成12年度に基幹回線がすべて完成した岡山情報ハイウェイは,一般に無料開放され,しかも全国を縦横断する国のギガビットネットワークとも接続されたまさに全国に先駆けた取り組みであり,他県や民間通信事業者,さらには国のIT施策に大きな影響を与えています。 しかし,日進月歩のITの世界で,我が県の誇る岡山情報ハイウェイがいつまで先駆的であり得るのか,端的に言えば,岡山県がITの分野で行政として日本初をどんどん連発させること,そこに生き残る道があるのではないか。換言すれば,先頭を行く者は常に世間があっと驚く新手を出さなくてはならないと考えますが,そういった観点から,知事に質問をさせていただきます。 まず,既存の岡山情報ハイウェイが今も先駆的か。また,いつまで先駆的たり得るのか,その御認識をお知らせください。 次に,いわゆる産業分野のラストワンマイル問題についてですが,IT関連産業の集積と発展を図るため,今年度からIT経済特区を岡山駅周辺及びリサーチパークに設け,企業向けの通信費用に対する補助制度も創設されましたが,既存の企業,特にこれまで岡山の経済を牽引してきた既存の製造業者等による情報インフラの活用が進んでいないのが現実です。そこで,既存の企業が新たな展開を行えるような施策が必要であると考えますが,この点につきどのように御認識でしょうか。 特に,岡山の製造業を支えてきた,例えば水島を中心とした地域を対象に公募により工場へ光ファイバーを引く,そういった制度を設けてはいかがでしょうか。 また,情報ハイウェイを陳腐化させないためには,先端の技術に対応できるようより高度化させることが必要であると考えます。御案内のように,コンベックス岡山に隣接する大内田のテレポート岡山には岡山情報ハイウェイの心臓部であるネットワーク管理センター(NOC)がありますが,そこには総務省(旧郵政省)の外郭団体である通信・放送機構(TAO)の岡山情報通信研究開発支援センター,通称ギガビット・ラボが入っています。このギガビット・ラボは,高速マルチメディア社会の早期実現を図るギガビットネットワークの拡充のために整備された共同利用型研究開発施設ですが,要するに,全国でも数少ない自設の光ファイバーネットワークである岡山情報ハイウェイの整備が進むこの岡山県全域を実験フィールド,テストベッドにしてしまおうというものです。このギガビット・ラボがあること自体が,岡山県がIT先進地である証左であると言えますが,私は,コンテンツがどうのこうのという陳腐な議論をするよりも,全国に先駆的なこうしたテストベッドを整備することにこそ情報先進県岡山の生き残りの道があると思います。そのことは結果として,人,情報,物をこの岡山に集めることにつながります。 とりわけTAOは,列島縦断型ギガビットネットワークを国際的に通用する次世代のインターネット・プロトコル・バージョンシックス──以下,ちょっと難しいのでIPv6と言いますが──への対応を実施していますが,TAOの岡山IPv6システム検証評価センターにはIPv6対応のルータ装置についてのシステム間の相互接続検証を実施する日本の最先端の機器が設置されています。これは岡山県にとっては非常に大きいことだと思います。これを生かさない手はありません。 そこで,以下提言をさせていただきます。 まず,岡山情報ハイウェイをIPv6システム対応にしてはいかがでしょうか。かかるべき費用を含めて,御所見をお知らせください。 またさらに,IT先進県として,人材を育てるために,県立大学等でIPv6システム技術者等を養成してはいかがでしょうか。 あるいは,さらに県立のインターネット単科大学を設置されてはいかがでしょうか。 加えて,特にOKIXでIPv6の実験を行うことで,東京大手町ではなく,将来的に岡山からも国外,例えばソウルに出られるようにしてはいかがでしょうか。 次に,こうした先進的な環境にある岡山県で,来年度インキュベーションセンターが完成します。IPv6など先進的な情報インフラが整備されれば,IPv6システムを使った電子製品の開発企業などにとっても大変魅力的だと思いますが,そもそもこのインキュベーションセンターにおいてどのような産業を創出しようと考えておられるのでしょうか,お聞かせください。 また,インキュベーション施設にとって最も大切なのは設備ではなく人だと思いますが,日本だけでなく,海外,特に優遇措置を伴い,韓国やインド等アジア諸国からの人材を積極的に受け入れるべきではないでしょうか,御所見をお伺いします。 とりわけ,入居企業をサポートするインキュベーションマネジャーのよしあしでそのインキュベーション施設の価値が決まるのではないかと考えますが,中心となるインキュベーションマネジャーはどのような人物になるのでしょうか。 また,リサーチパークには工業技術センター,産業振興財団など産業支援機関が集積していますが,それら既存の支援機関等との連携をどのように図っていくのか,お知らせください。 この項最後に,一昨年の三重,昨年の山梨に続いて,この秋岡山県で全国マルチメディア祭が開催されます。全国自治体の地域情報化に関するものとしては最大規模のイベントであり,IT先進県を自称する岡山県にとってはチャンスであり,まさに生き残りをかけた勝負と言っても過言ではありません。残すところ半年を切りましたが,このイベントにかける知事の意気込みをどうかお聞かせください。 (知事) まず,岡山情報ハイウェイでありますが,その先駆性についてのお尋ねがございましたが,基幹回線の高速性を発揮させます地域IX──インターネットエクスチェンジを構築をしているといった点とか,あるいは全市町村の光ファイバー接続が今年度中にも完了する見込みであるといったような点などを見ましても,依然として先駆的であると,このように考えております。 しかし,議員の御質問の中にもございましたとおり,情報通信基盤の整備につきましては,急速な技術革新が進む中で,各県が競って取り組んでいるところであります。本県のこの先駆性というものを維持していくためには,時代を先取りをした機能強化が必要であると,このように考えております。このため,全県地域的なラストワンマイルの整備であるとか,あるいは中四国各県と東京,大阪との接続によります中四国IX──インターネットエクスチェンジの形成などに取り組んでいるところであります。あわせまして,こういったすぐれた情報通信基盤というものを活用いたしまして,全国に先駆けて実施をいたしました電子入札とか,あるいはIT特別経済区といったようなソフト施策にも強力に取り組んで,引き続き岡山県が先駆的たり得るように努力をしていかなければいけないと考えております。 次に,産業分野のラストワンマイルについての御質問でございますが,既存企業のIT活用につきましては,先進的な活用事例とか,あるいは具体的な活用方法等についての研修を行っておりますし,またシステム構築のための支援制度というものもあるわけでございますので,こういった機会とか制度というものを活用いたしまして,効率的で効果的なるシステムを構築をしていただきたいと考えております。 また,水島を中心といたしました地域を対象といたしまして,公募によって工場まで光ファイバーを引く制度を設けることはどうかというお尋ねがございましたが,ラストワンマイル対策につきましては,御案内のとおり,官と民の役割分担ということで岡山県は基盤を整備をしてきているわけでございます。そういった見地から,岡山情報ハイウェイの基幹回線というものは県や市町村が行い,そして各企業や家庭までのいわゆるアクセス回線につきましては民間通信事業者が行うということを原則としているわけでありまして,行政といたしましては,むしろ,例えば港湾EDIといったような民間事業者がこのITを活用した経済活動を展開しやすい環境の整備といったことを進めていきたいと考えております。 次に,IPv6──インターネット・プロトコル・バージョンシックスシステムへの対応ということの御質問がございましたが,これはIPアドレスの不足への解消とか,あるいは高品質で安全性の高い次世代ネットワークの構築に大変有効な技術でございまして,将来的には,インターネット家電の普及など県民生活の利便性向上にも必要なものと認識をしておりまして,私といたしましても,技術動向等について非常に注目をしてきたところであります。 特に,御質問にもございました通信・放送機構(TAO)によります実験が本県においては行われているわけでございまして,他県に先駆けてこういった問題に取り組むということは大変重要な課題であると思っております。技術,人材の集積というものも期待できます。岡山情報ハイウェイのIPv6への対応につきましては,今後ともそういった見地から研究をしてまいりたいと思います。 なお,導入経費でございますが,岡山情報ハイウェイの県下14カ所にあります接続拠点の機器及び設置費を合わせますと約2億円程度と試算をしております。ただし,市町村を含めた地域情報網,いわゆるリージョナルウェブに導入をしていくためには,当然これに加えてさらにコストがかかるわけでございます。 次に,技術者の養成でありますが,現在,県立大学を初めといたしまして県内7大学28学科におきまして情報通信技術系の講義が行われているところでありまして,こういった講義や,あるいはゼミナールにおける情報教育カリキュラムというものをより高度化することによりまして,IPv6システム技術者の養成が図られていくものと期待をいたしております。 御提案がございましたインターネット単科大学の設置でございますが,当面は各大学におけるカリキュラムの充実にゆだねることといたしたいと存じます。 国外への接続でありますが,全国に先駆けて構築をいたしました地域IXでありますOKIX──岡山インターネットエクスチェンジを中四国の情報の結節点へ発展をさせていくために,今年度,中四国各県やあるいは東京,大阪との接続につきまして調査研究に着手をしているところであります。お話のように,IPv6の実験等を通じまして,OKIXの魅力というものを一層高めることによりまして,海外とも結ばれたIXへ発展できる可能性もあるということでございまして,今後,御提案の趣旨も念頭に置きながら研究を進めてまいりたいと存じます。 インキュベーションセンターにおける産業の創出についてでございますが,このセンターは,御案内のとおり,ITとものづくり分野というものの両方を対象にしているわけでありまして,ソフトウエア開発等のIT関連産業を初めといたしまして,人間型ロボットとか,あるいは情報通信機能を組み込んだ家電製品など,ITとものづくり技術との融合ということによります新たな産業の創出を目指してまいりたいと存じます。 人材の受け入れでありますけれども,広く国内外から技術やアイデアを持った優秀な人材を岡山に集めることが大切である,議員御指摘のとおりであります。このため,入居者募集を行いますPFI事業者にも,グループ企業等のネットワークというものを最大限に活用いたしまして国内外から積極的に募集をするように依頼をいたしております。そして,海外からの入居者に対する優遇措置についてでございますが,当然具体的なケースがございました場合,それに応じまして前向きに対処してまいりたいと存じます。 インキュベーションマネジャーについてでございますが,県といたしましても,その役割の重要性というものを十分認識をしておりまして,現在PFI事業者が,3名の常勤マネジャーにつきまして,研究開発やマネジメントの経験者等の中から慎重に人選を行っております。 さらに,グループ企業等がそのノウハウとか,あるいはネットワークというものを生かしましてマネジャーを直接及び間接的にバックアップしていく体制,例えば本社から研究者を招致する等の計画がなされているところであります。 既存の支援機関等との連携でありますが,PFI事業者が,工業技術センターや,あるいは中核的支援機関でございます産業振興財団と意見交換を行いながら,現在運営計画というものを煮詰めております。これら支援機関の公的支援制度というものと,それからPFI事業者のネットワークというものをうまく活用いたしまして,既存の各種研究会へ参加をしていただくとか,あるいはベンチャー交流会の共同開催を行うなどいたしまして,起業家支援のための事業の連携を深めてまいりたいと考えております。 全国マルチメディア祭についてでございますが,情報先進県岡山を全国にアピールする絶好の機会であるととらえております。私も,実行委員会の会長といたしまして企画案に直接関与するなどいたしまして,全力を挙げて開催準備に取り組んでおります。岡山情報ハイウェイに直結をいたしました超高速ネットワークを会場内に張りめぐらせまして,県民の皆様方に来るべきブロードバンド時代における生活空間を体感をしていただくということを考えておりますし,同時に,全市町村と光ファイバーで結ばれようとしております岡山県でございますので,全市町村から送られてくる映像というものを会場内に設置されました78の画面に同時に映し出すという全国にない画期的な仕組みというものをつくるなど,岡山県が構築したこの情報通信基盤を存分に活用したイベントとなるようにこれからも工夫を凝らしてまいりたいと考えております。 <平成13年12月定例会>(2001年12月12日) (佐藤) 加えて,中国は既にパソコン7,000万台,ネット人口1,900万人の世界最大級のIT市場になっています。お隣の島根県では,既にIT人材交流を始めたと聞きますが,岡山情報ハイウェイの実績を中国と結ぶ方策はないでしょうか。 (知事) 岡山情報ハイウェイの実績と中国についてでありますが,岡山情報ハイウェイを初めとする高度情報化に積極的に取り組んでまいりました岡山県と,IT社会構築に向けて目覚ましい進展を遂げつつあります中国との間で技術的,人的交流を行うことは大変有意義であると考えられます。さきの「東アジアIT協力会議」等の成果を生かし,具体的な交流方策を検討してまいりたいと存じます。 <平成13年9月定例会>(2001年9月19日) (佐藤) まず,国の行革の一環として,地方分権が掲げられるわけですが,地方分権一括法施行後,機関委任事務の廃止が地方分権の成果として挙げられていますが,具体的に,機関委任事務廃止を初め,地方分権一括法施行のメリットがどう県民にあったのか,お知らせください。 次に,今年度の行革の重点目標として掲げられている行政情報化の推進,いわゆる電子県庁化に関して,ITは,行政の,特に執行業務のあり方を根底から変える可能性があり,考えようによれば,プロパーの事務職員はほとんど要らなくなる。また,民間はそのように努めていると思いますが,こうしたeガバメントが行政機関にもたらすインパクト効果について,どのようにお考えでしょうか。具体的に,県庁内,地方振興局をネットで結んだ結果,どれだけのコストダウンの効果がありましたか。また,現在の業務内容を何年までに,どういう形でコストダウンしていくのか,お示しください。 (知事) 次に,行政情報化の推進についてのお尋ねがございましたけれども,佐藤議員は,ただいまコストの削減はいかほどかというふうな,コスト論についての種々のお尋ねをいただいたんですが,行政は,必ずしもコストだけではないわけでございまして,もちろんコストの面は十分配慮しなければならないわけでございますけれども,一方で,パブリックな面からの行政のサービスを適切に提供していくという,そういう面もあわせ持っております。そういう立場から御回答申し上げますと,電子県庁というものは,申請とか届け出,こういったものとかあるいは入札とか調達,そして税の申告等あらゆる行政手続というものを電子化することによりまして,行政サービスの利用者の利便性を高める,こういうことにあるわけでございます。あわせまして,行政の内部におきましても,その内部事務について,ITによります大幅な業務の革新を図りまして,その結果,行財政改革にもつながっていくという,そういう大きなインパクトを持つものと思っております。県庁のイントラネットがあるわけでございますが,これにつきましては,電子メールとかあるいはホームページを通じました県民の皆様方との情報の共有化,大いにこれに活用されておりますけれども,この情報のインフラは各種行政手続の電子化等の,先ほど申し上げました入札などでございますが,こういった具体的な政策とあわせまして,県民へのサービス向上への効果というものをねらっているものでございます。したがいまして,単にコストダウンだけを目的としたものではないということにつきまして,御理解を賜りたいと存じます。 <平成12年2月定例会>(2000年3月8日) (佐藤) 岡山情報ハイウェイにも絡んで,それを発展的に使いこなしていく人づくりのための教育の側面から質問させていただきます。 まず,教育長にお伺いいたします。平成10年12月に告示された小中学校の新学習指導要領並びに平成11年3月に告示された高等学校と盲学校,聾学校及び養護学校の新学習指導要領は,平成14年度から実施される完全学校週5日制を念頭に置き,ゆとりの中で生きる力をはぐくむことを基本としていますが,授業時間の縮減,教育内容の厳選が図られている中,情報教育については例外的にその充実が図られています。この中で,情報教育及び情報化の推進は,21世紀に向けて生きる力を育成する重要な柱となっています。そこで,順次お尋ねします。 まず県立学校では,平成10年度岡山情報ハイウェイに接続され,既に授業や特別活動等での活用が始まっているようですが,特に,小学校につきましては,コンピューターの設置,またインターネットへの接続がややおくれているように伺っています。昨年,文部省は,郵政省や通産省などと連携して,情報化による教育立国を目指し,公立の小中高校に校内情報通信網(LAN)の整備をするとともに,公立学校教員90万人全員がコンピューターを操作できるようにする計画をまとめましたが,県内の小中高校でのコンピューターの設置状況,インターネットへの接続状況,また,コンピューターを操作指導できる教員の割合の現状と対策についてお知らせください。 また,小中学校では,各教科や総合的な学習の時間などの中で,コンピューター等の活用を図ることなど情報教育を推進していくとのことでありますが,いわゆる教科書のない総合的な学習の時間の中で,どのように児童生徒に情報教育を進めていくのでしょうか。加えて,総合的な学習の時間について,各学校の裁量にゆだねられたり,地域社会との交流が進んだりと,学校のあり方が変わってくると思われますが,今後の取り組みについてお伺いいたします。 また特に高校においては,平成15年度から実施される高校の新学習指導要領で,新たにコンピューターなどを学ぶ教科「情報」が必修となり,さらに専門教科「福祉」が新設されます。文部省の計画は,向こう3年間で全国に情報の先生を9,000人,福祉の先生を1,200人を養成するという大計画であり,高校にほぼ2人の割合で,コンピューターを専門で教える情報の先生が必要になりますが,本県ではどのように養成していくのでしょうか,お教えください。 加えて,文部省の方針は,電子メールによるカウンセリングなど,コンピューターを生徒指導に活用する考えのようですが,これが,不登校や校内暴力,いじめ,学級崩壊の解決策足り得るのか,また,学校における情報化の推進は,家庭,地域との連携や学校運営のあり方に変化をもたらすものなのか,教育長の見解をお教えください。 次に,職業教育としての情報教育について,いわゆる専修学校,各種学校についてお伺いいたします。 専修学校,各種学校は,職業や実際生活に必要な能力の育成,教養の向上を図るための教育機関として,工業,医療看護,衛生,商業実務,家政芸術,文化教養,教育,社会福祉等,多様な分野にわたる組織的な教育が行われており,教育内容が多様かつ実際的であり,また,実践的な専門技術,技能の習得を重視した指導方法がとられており,社会・経済情勢の急激な変化に伴い多様化複雑化する教育上の要請に即応できる教育を行っています。昨春からは,大学への編入学が認められる等,社会的な評価が高まってきており,生涯学習の推進の担い手にもなっています。就職難,戦後最悪の失業率の中で,まさに社会人としての即戦力を養成する教育機関であると思います。伝統的な雇用形態,終身雇用制度が崩れつつある中,新卒者を企業が何年もかけて育成する余裕もなく,スペシャリストを即採用したい,そういうニーズに最もこたえているのが専修学校,各種学校と言えると思います。在校生の中には,大学を卒業後,また,一度社会人を経験して技能・資格習得のため入学されている方も非常に多く,企業が社員教育の一環として提携しているようなケースもあるようです。また! ,特筆すべきは,県下79校の専修学校,各種学校の学生約1万人の多くが県内在住者で,岡山県内に就職する人が多いということであり,こういった専修学校,各種学校の力が岡山県の底力にもなるということです。特に岡山情報ハイウェイを有効に利用するような情報教育は,一歩も二歩も先に進んでいます。そこでまず,知事に,こういった専修学校,各種学校への認識,評価をお伺いいたします。 次に,情報産業の市場は,慢性的に人手不足であり,その要請にこたえるべく,商業実務関係の専修学校が頑張っても,日進月歩でコンピューターは進歩しており,パソコンは設備投資というよりも消耗品という様相を呈している中,情報の最先端を行こうとすればするほどみずからの首を絞めてしまうという状況があります。また,介護保険の導入とも相まって,ますます多くの学生が医療看護関係の専修学校に進んでいきますが,こういった学校のパソコンを含めた設備投資もしかり,また,今は理美容もCGを使う時代です。その社会的な要請に比べて,中国5県の中でもまだまだ岡山県の専修学校,各種学校への助成は少なく,パソコンに関してはもちろん,一般的にもさらなる支援が必要だと考えます。特に,一般運営費については,国からの直接の助成制度がないため,県の支援が殊さら重要であると考えますがいかがでしょうか,総務部長にお尋ねいたします。 さらに,平成10年から,雇用保険の教育訓練給付制度がスタートしています。働く人の主体的な取り組みを支援し,雇用の安定と再就職の促進を図るというこの制度は,条件を満たせば労働大臣指定の教育訓練に対して上限20万円,受講料の80%が給付されるわけですが,まだ県民の皆さんに十分に認識されていないように思います。特に,情報技術革命による起業に際して,技術者や専門家を中途採用するケースもふえており,情報教育としても極めて有用な制度であると考えます。そこで,岡山県下の実績,今後の取り組みについて,商工労働部長にお尋ねいたします。 加えて,いわゆる人材派遣を含めて,特に女性の就職,再就職のためには,最低限パソコンの操作はできるというのが常識になりつつあります。特に,女性に対して,情報教育を初めどのような教育支援がなされているのでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。 次に,知事は,本年4月から施行の福祉のまちづくり条例に絡んで,「心」「物」に加えて「情報」のバリアフリーを言われておりますが,岡山情報ハイウェイとどう連関していくのでしょうか。就労という意味でも,障害を持たれている方が情報教育を受けられることは極めて重要だと考えますが,障害をお持ちの方に,どういった形でパソコンを普及し,またどんな情報を供給できるのでしょうか。具体的に保健福祉部長にお伺いいたします。 最後に,だれでも自由にネットに参加できる岡山情報ハイウェイはすばらしいと思いますが,むしろそのメリットが最大限に生かせるのは,都市部というよりもいわゆる過疎地域であると思います。また,在宅という面では,高齢者の方にも有用です。ところで,幾らパソコンが各戸に普及しつつあるといっても,あんなものはきょうあしたに使えるようになるものではありません。だからこそ教育が必要なわけですが,過疎地の方,高齢者の方に,一体どうやって利用していただくのでしょうか。つないだのはよいけれど,しょっちゅうフリーズして,そうでなくてもわけのわからない代物に慌ててしまう事態が容易に想像できますが,情報ハイウェイのネットを広げれば広げるだけ,地域のコンピューターのトラブルのお助け人が必要であると思います。少なくとも,各市町村あるいは各地方振興局ごとに対応が必要であると考えますが,そういった対策は今後講じられていくのでしょうか,知事にお伺いいたします。 (知事) 情報教育についての種々のお尋ねがございましたが,まず私に対しましては,専修学校,各種学校についてのお尋ねをいただいたわけでございます。本県におきましても,職業教育とかあるいは専門技術教育,こういった分野におきまして大変重要な役割を果たしていただいているわけでございまして,商工業とか,医療とか,あるいは衛生など,幅広い分野において卒業生を送り出して,本県の経済あるいは社会の発展に大きく貢献をしてきていただいたと認識をいたしております。特に,今日では,社会あるいは経済の急激な変化というものがございまして,これに機敏にかつ弾力的に対応する,そういう教育が必要であります。いわゆる実際的な教育というものが必要でございまして,こういった点から考えますと,今後さらにその重要性というものが高まっていくのではないかと,このように期待をしているところでございます。 次に,高齢者等への情報教育についてのお尋ねでございましたが,パソコンについて,最近における動きを見ておりますと,メーカーとかあるいは販売店が,接続サービスとかパソコンの教室などを行うようになってきていると,このように承知をいたしております。また,各地におきましても,生涯教育の施設であるとかあるいは高等学校の開放講座で実施しておりますけれども,こういった分野に多くの高齢者の方々が参加をされているわけでございまして,NPOとまではいかないですけれども,町内会活動の中にありまして,パソコン教室あるいはインターネット塾などを開催している地域も見受けられるようになってきております。地域コミュニティーの中にありまして,そういった高齢者の情報教育に対しますその支援の輪というものが徐々に広がってきているものと思っております。御提案の趣旨も踏まえまして,地域においてこれからどのような対応が可能なのか,御存じのとおり振興局単位に地域情報化推進委員会というものを設けておりますので,その中にありまして検討をしてまいりたいと存じます。 (総務部長) 専修学校,各種学校に対する県の支援についてでございますが,設備整備等に対する助成を実施しているところでございまして,平成12年度予算におきましては,情報教育などを一層推進するため,前年度に比べて増額することとしているところでございます。 専修学校,各種学校の運営費に対する助成でございますけれども,その規模や教育内容が多様でございまして,一律の助成になじみにくい事情があることでございますとか,現下の大変厳しい財政状況から行っていないところでございまして,今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。 (生活環境部長) 情報教育についてのお尋ねの中の,女性に対する教育支援についてでありますが,県では,主に再就職を希望する女性を対象に,技術講習会や女性就職準備講座などを開催いたしておりまして,特に,お尋ねの情報教育につきましては,ウィズセンターを中心に,パソコン,ワープロの技術講習を,平成11年度においては14講座開催いたしまして,358人の参加を得たところでございます。 (保健福祉部長) 情報のバリアフリーについてでございますが,県内どこからでも,低料金でインターネットの利用ができます岡山情報ハイウェイは,情報のバリアフリーを推進する上での一つの重要な基盤になるものと考えてございます。 次に,障害者のパソコン利用についてでございますが,岡山障害者職業センターでのOA講習あるいは市町村障害者社会参加促進事業などでのパソコン訓練が実施されているところでございまして,こうした活動が各種の機関であるとかあるいは市町村におきまして積極的に取り組まれるよう努めてまいりたいと存じます。 また,供給する情報についてでございますが,県におきましては,ホームページでの福祉サービスに関する情報提供に加えまして,今後,バリアフリーガイドの掲載を行うなど,障害者の方に向けての情報の充実に努めてまいりたいと存じます。 (商工労働部長) 情報教育についての中の教育訓練制度についてでございますけれども,平成10年12月制度創設以来の本県におきます受講修了者は,1月末現在で,男性941人,女性615人の1,556人でありまして,男性では技術系,女性では事務処理系が多くなっております。この制度は,働く人が自主的に多様な能力開発に取り組むことに対しまして支援しようとする雇用保険の給付制度でございまして,これまで,国が作成をいたしました広報資料に加えまして県独自のパンフレットを作成いたしまして,雇用保険の適用事業所とか離職者に配布するほか,関係団体の機関誌への掲載など,きめ細やかな制度の周知に努めてきたところでございます。 本制度は,新年度からは国の直接事務として新たに設置されます労働局で取り扱うことになりますが,県といたしましても,労働局との緊密な連携のもと,今後とも,制度の積極的な周知に努めてまいりたく存じます。 (教育長) まず,コンピューターの設置状況等についてでございますが,平成11年3月末現在,小中高等学校1校当たりのコンピューターの平均設置台数は,それぞれ,約12台,31台,79台でございます。インターネットへの接続状況は,それぞれ,約19%,52%,95%でございます。また,小中高等学校で,コンピューターを操作できる教員は,それぞれ,約57%,61%,76%でありました。指導できる教員は,それぞれ,約30%,23%,30%でございます。今後,来年度改編いたします県の情報教育センターや,市町村教育委員会が実施いたします研修におきまして,平成13年度末までにすべての教員が操作できて,半数の教員が指導できるようになるよう,計画的に教員研修を行うことにしております。 次に,総合的な学習の時間における情報教育についてでございますが,今後ますます高度情報通信社会が進展していく中で,児童生徒がコンピューターを活用して,必要な情報を主体的に収集,選択,活用する能力を育成することが重要になってきております。来年度から実施することができる総合的な学習の時間では,例えば,環境をテーマとした学習の中で,インターネットを活用して各地の川や湖の汚れなどを調べてホームページで発表したり,国際理解をテーマとして外国の学校と電子メールの交換をするなど,コンピューターを活用したさまざまな取り組みが推進できると考えております。総合的な学習の時間の取り組みを通して,児童生徒の主体的体験的な学習活動や,地域の人材や施設を活用した特色ある学校づくりなどを一層促進することが大切でありまして,今後とも,総合的な学習の時間の趣旨の徹底に努めますとともに,積極的に取り組むよう指導してまいりたいと存じます。 次に,先生の養成についてでございますが,本県では,平成15年度から高等学校において教科「情報」の免許状を所有する教員が約190名必要であると見込んでおります。このため,県教育委員会では,平成12年度から3年間で,情報教育センターにおいて,現職教員を対象に講習会を実施いたしまして,「情報」の免許を計画的に取得させることにしております。 最後に,学校における情報化の推進についてでございますが,いじめや不登校等の問題に関しましては,これまでスクールカウンセラーの配置など教育相談体制の充実に取り組んできているところでございますが,こうした取り組みに加えまして,電子メールを活用した相談は時間や場所の制約を受けずに気軽に相談できるなど有効な方法の一つであると考えております。また,学校におけるホームページや電子メールの活用などの情報化の推進は,学校の情報を積極的に家庭や地域に発信いたしますとともに,いつでも地域の方々から意見がいただけるなど,家庭,地域社会との連携やこれからの学校運営に有効な手段であると考えております。 | ||
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