過去の岡山県議会一般質問集 <南区>篇 | ||
<平成26年9月定例会>(2014年9月25日)
(佐藤) また,スピード感が必要ということでは,何といっても防災対策でございます。台風16号は温帯低気圧に変わりましたけれども,8月9日から10日にかけて襲来した台風11号は,その規模からしても,大潮の満潮時に台風が直撃する可能性からしても,甚大な被害が予想されるものでした。ただ,結論を先に言えば,たまたま降水量が少なかったため,沖縄や京都や三重のように特別警報が出ない状況になったというのが一番大きかったと思います。しかし,一方で児島湾締め切り堤防の開放が大変にうまく行われた。特に前日,8日の時点でAP0.6の数値目標をもって0.62まで,そして翌日の昼も0.74まで児島湖の水位を下げることができました。これは現場の土地改良区の方々が早目早目の操作を行ってくださり,備えが十分できていたということであります。また,同じように浦安の東排水機場も除じん機をとめないように,これも夜通しで人海戦術で流れてくるごみや藻を取り除いてくださっていた。消防団,水利土木委員,土地改良区,ポンプ管理の方々,本当に多くの方々の御努力で被害を防ぐことができた。まずはそうした方々に対する知事の思いを伺いたいと思います。 加えてその後,今議会で大きなテーマになっている土砂災害も含めて早急に行う防災対策というものがあります。まず,気になるのは,農業用水路の管理で,例えばこの時期,農業用水路に金魚鉢に入れてよいような藻が大量に生えていたり,自転車が沈んでいたりする農業用水路はかなり危険な管理状態と言えると思います。 先般,児島湖流域清掃大作戦のときに,知事には笹ケ瀬新橋会場にお越しいただき,ありがたかったのですけれども,そのとき浦安の体育館の横の相生川をごらんくださいと申し上げました。今も外来種のアカウキクサというのが大量に生えておりますけれども,これが児島湖に流れ込まない努力を一方でしています。しかし,県から市に強く働きかけていただいている大量に生えてる藻が問題なんです。さらに,例えば南輝などの岡南地区の農業用水路については,周辺に農家の方々が少なく,しかもそれを環境の問題として地域の方々に管理してくださいというのはいささか無理があります。しかし,これらの市管理の農業用水路は,県管理の排水機場から児島湖に放流されます。かように周辺に農地がない農業用水路にある藻やごみで排水機がとまってしまう可能性が都市部ではあるのですが,周辺の都市化が進む農業用水路の管理について,市町との連携,早急な対策についてお伺いをいたします。 また,平成26年度総合防災訓練が津波を想定して岡山港福島地区耐震バースで行われましたが,平成16年の台風16号では,最も海水が上がってきた場所でございまして,実はあそこは津波より高潮対策がまだ気になる場所でございました。台風11号での満潮の台風来襲時に,私も対岸の小串・甲浦地区におったんですが,このときはかさ上げした堤防を海水が越えるというよりも,堤防の老朽化によって堤防から海水がしみ出ている場所が多くありました。加えて,やはり消防団に加えて少なくとも,単位町内会に1つ以上可搬式のポンプを配備する必要も強く感じました。16年台風で高潮被害が出た場所の現状認識と対策についてお知らせください。 また,機会があるたびに繰り返ししつこく何度も申し上げますが,児島湾締め切り堤防の排水力を高めるために,排水ポンプを設置することについて,知事御自身が具体的にどう動いてくださっているのかお伺いをいたします。 加えて,今回の広島土砂災害の被害の中で気になったのが,山の中にあるため池と公共交通機関,とりわけJRとの対策です。例えば灘崎の宮川のように,二級河川の源流地域に農業用のため池がある地域が多いのではないか。ただ,中山間地域の農業の状況から,ため池自体も管理が難しくなる中で,改めて砂防ダムではなくて,児島湖の水位調整のように,台風が来る,大きな雨が降る前には,防災施設としてため池の水位を下げられないか。もちろん,場所によってはため池自体のしゅんせつが必要な場所もあるでしょうし,排水ポンプのように予算的な裏づけをもって人の配置も必要になるかもしれません。改めて防災面から既存のため池について大丈夫か,また逆に防災施設としてのため池の活用についてお伺いをいたします。 また,先ほどの宮川にしても,砂防指定地の前川にしても,JR宇野線の下をくぐる形になります。特にこうした箇所の拡幅については粘り強い交渉と高額の予算が必要になりますが,崩落事故により不通になったこともあるJR津山線を含めて,特に公共交通機関,とりわけJRさんとの連絡調整による防災対策が今こそ必要だと思いますが,どういう調整がとれているのかお伺いいたします。 (知事) お答えいたします。 防災対策についての御質問であります。 まず,消防団等への思いについてでありますが,児島湖の防災対策については,平成23年の浸水被害を受け,関係市町や土地改良区との協議により定めた対応マニュアルに基づき,今回それぞれが早目早目の対策を実施され,被害を防ぐことができて大変よかったと感じているところであります。改めて児島湖の関係者を初め,県下各地で被害防止のため防災活動を実施された消防団等の皆様の御尽力に対し,深く敬意を表する次第であります。 次に,農業用水路の管理についてでありますが,農業用水路に発生した藻やごみに起因して排水機が停止する可能性もあることから,県は農業用水路を管理する市町に対して藻刈りやごみの除去など適正な管理を行うとともに,除じん機の設置など必要な対策に取り組むよう助言しているところであり,引き続き市町に対し適切な対応を求めてまいりたいと存じます。 次に,平成16年の台風による高潮被害場所の現状認識等についてでありますが,堤防等の老朽化や高さの不足した箇所が残っております。こうした箇所については,老朽化の度合いや高さ不足の状況,背後地の重要性などを勘案し,優先度の高い箇所から岡山沿岸海岸保全基本計画に基づき,着実に整備を進めております。また,平成16年の台風時に排水不良の原因となった水門等の整備もあわせて実施しております。 なお,可搬式のポンプを配備することについては,それぞれの市で必要に応じて判断されるべきことと考えております。 次に,児島湾締め切り堤防への排水ポンプの設置についてでありますが,昨年9月に国の報告を受けた後も,担当部局を通じて追加の検討を要請するなど,強制排水ポンプの必要性について国と議論した結果,ポンプ設置の必要性は極めて低いとの結論に至ったところであります。 次に,防災面からのため池活用についてでありますが,ため池は毎年管理者である市町等が点検を行っており,漏水が見受けられるなど,緊急性の高いものから順次改修を行い,安全管理に努めているところであります。 また,ため池の水位を事前に下げることについては,営農に支障が出る時期もあることから,農家の合意が得られにくく,防災施設としての積極的な活用は難しいと考えております。 次に,公共交通機関との連絡調整についてでありますが,平成18年のJR津山線での崩落事故を受け,道路と鉄道が近接する区間については,JRと災害時の緊急連絡体制を整備し,情報の共有を図っております。 また,建設工事に伴うJRとの連絡調整につきましては,建設工事公衆災害防止対策要綱等に基づき,毎年連絡調整会議を開催しているところであり,お話の前川などについては,この会議を活用し,早期整備が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 (佐藤) 改めて児島湾の排水ポンプについては,国が要らんから県も要らんと思うんじゃというのは一つの考えでありますが,だから県は何をするのか,そのことをぜひ考えていただきたいと思います。 <平成26年6月定例会>(2014年6月24日) (佐藤) 続きまして,藤田のパイプラインについてお伺いいたします。 昨年の9月定例会で,岡山県有数の穀倉地帯である岡山市南区藤田地区のかんがい排水事業,いわゆる藤田パイプラインについてお伺いいたしました。約30年の歳月をかけて一応完成した国営かんがい排水事業に続いて,支線となる県営かんがい排水事業を整備しているのは,地域に独自性がある三湛四落という言葉に象徴されるように,大区画の水田地帯においてかんがい排水施設の再編整備を行って用排水分離を行って営農の労力の節減を図るとともに,いわゆるこの水田の汎用化によって農業経営の安定化を目指しているからでございます。言ってみれば,水道の蛇口をひねるように自由に農業用水を使うことで水田の汎用化,転作を図るというのがポイントになりますが,TPP交渉もある中で,日本の,あるいは岡山の農業の未来を担う私は極めて重要な地域であると思いますし,また極めて重要な施策であると考えますと申し上げてまいりました。そして,昨年,試験通水のときに問題が生じたことから,市,県,国の協議会をたびたび開催していただき,これは本当に土地改良区の方々にもお世話になって,取水口のネットスクリーンや大曲の用排水機場といった国の施設についても真摯な対応をしていただきました。 そのことについては心から感謝申し上げるんですが,しかしことしの代かき期,田植え前,田植え期,また一部の箇所で水の出が悪いという事態が発生をいたしました。藤田地区のかんがい排水につきましては,全体で1,400ヘクタール弱の受益面積を持っており,全て供用開始になるのが平成31年を予定しておりますが,既に18年から始まっている藤田都六区,今年度から始まった藤田都大曲,それに加えてこれから29年度から藤田錦六区,31年度からの藤田錦と展開する中で,この段階でこれだけトラブルが生じるということは,そもそも論として国の用水計画,運用方法が本当に大丈夫なんだろうかというふうに思わざるを得ません。最初の計画からもう数十年の月日が流れており,大規模農業と変わってきている状況もありますし,何より当初予定されていた減反政策から飼料米にと国の農業政策も大きく変わってきております。端的に言えば,もはやポンプが足りない状況なのではないでしょうか。国の大曲のポンプに今,害獣であるヌートリアが地域のアイドルのように描かれている姿に私はちょっとむかついておるんですが,改めてこの平成31年全面展開を目指して国の用水計画,運用方法の現状認識,変更の必要性,さらにポンプの増設を強く求めるべきだと思いますが,御所見をお聞かせください。 (知事) お答えいたします。 藤田パイプラインについての御質問であります。 ことしの代かき時の給水は,用水ポンプや配水槽の水位は適正に運用できたものの,一部の圃場で計画どおりには水が出なかったため,国と連携し,水利用の実態調査等その原因究明を行うこととしており,その後,国は用水計画を検討する予定と聞いております。こうした調査結果を踏まえ,国,県,岡山市,改良区がそれぞれの役割分担に応じて対策を講じるとともに,県は市等と連携し,国に対し用水の安定供給対策を図るよう強く要望してまいりたいと存じます。 以上でございます。 (佐藤) どうもありがとうございます。 その中で,どうしてもこれはもうポンプそのものが足りとらんというふうに感じるわけでございますが,ポンプの増設を国に要望されるかどうかについて端的にお伺いいたします。 (知事) 今回,水の出が悪かったということについては,現在,詳細な調査をしてくれているところでありまして,その調査結果を確認してから検討したいと考えております。いろいろな原因,パイプが詰まっていたのか,それとも高低差,水圧が足りなかったのか,おっしゃられるようにポンプが足りなかったのか,現在その原因についてはよくわかっておりません。まず,その原因をきちんと把握してからそれぞれの役割分担に沿って対応をしていきたいと存じます。 以上でございます。 (佐藤) ありがとうございました。 藤田のパイプラインにつきましては,それぞれの役割分担というよりは連携が重要だということでございまして,突きとめれば国の数十年前の計画そのものが現状にもう合ってきていないんじゃないかということで,ここで根本的に対応しなくては,県のやってる工法自体も今,問題になっておりまして,サイホン方式のやり方が本当にいいのかということも含めてこれは連携して考えていかなくてはいけないということなので,先ほど児島湾締め切り堤防のときにも申し上げましたが,やはり国に対して県と市の中で県がしっかりとリーダーシップを持って国と交渉していただきたいということを強くお願いしたいと思います。 (佐藤) 次に参ります。 5月半ば,あるNPOの御提案が県の協働事業に採択されたことを受けて,その基礎調査として旭川の漂着ごみを調査いたしました。そこで,気になったのは,何といってもカワウでございます。後楽園の近く,新鶴見橋の下の河原あたりで羽を広げてのんきそうにひなたぼっこする姿は,我々が子供のころにはそう見なかった風景でございます。カワウは,カツオドリ目ウ科の大型の魚食性の水鳥で,全国の内湾,河川,湖沼などに生息しており,繁殖期,県内では2月から8月と推定されておりますが,木の上に集団で営巣します。カワウによる被害は年々深刻なものとなっており,営巣地では巣づくりによる枝折りや多量のリン酸を含むカワウのふんによって樹木が枯れて,森林被害や景観被害や水質悪化が発生しております。旭川では,特に神武天皇東征の伝えのある児島湾内の高島や中原のあたりの中州はカワウの営巣地と思われ,主要な餌はアユ,また県の絶滅危惧種に指定されずとも,本当に貴重なアオと言われる児島湾の超高級ウナギまで旺盛な食欲で捕食してる姿が目撃されております。 ところで,このカワウの一大供給源は琵琶湖という説があり,関西広域連合が滋賀県を中心としたカワウの広域的な対策に乗り出した結果,もう一つ危機意識の低い岡山にカワウ軍団がやってきたとも言われております。カワウは何もしなければ,ふえこそすれ,絶対に減ることはありません。そもそも,このカワウを有害鳥獣ときっちりと認識されているか。具体的な生息数調査の結果,被害額,駆除計画を含めた対応策,さらに広域の連携による対応についてお知らせください。 また,幾ら半分が民地とはいえ,日本創世の神武天皇ゆかりの高島がふん害でぼろぼろになるということはあってはならぬことだというふうに思いますが,対応策をお知らせください (知事) お答えいたします。 カワウの被害についての御質問であります。 まず,認識等についてでありますが,県内のカワウはことし1月に他の野鳥調査とあわせて実施した簡易調査で3,500羽以上を確認しており,年間5,000万円程度の水産業被害が報告されているほか,お話のとおりふんによる樹木への被害なども発生していることから,有害駆除の対象となっていると認識しております。県では,被害実態の調査や防除技術に係る情報提供を行い,市町村の被害防止計画の策定や内水面漁協などの駆除対策を支援してきたところです。カワウは県境を越えて移動,分布し,広域的な取り組みが必要であることから,本県などからの提案の結果,来月,国と中四国各県が参加するカワウ対策の広域協議会が設立される予定となっております。今後,県においても市町村,漁協,猟友会等の関係者によるカワウ対策協議会を設立し,中四国の協議会で策定する広域的な管理指針に基づき,効果的な対策を講じてまいりたいと存じます。 次に,高島についてでありますが,カワウなどによる野生鳥獣の被害に対し,市町村は鳥獣被害防止特別措置法に基づきみずから有害鳥獣を駆除できることとなっており,カワウの駆除や営巣地の除去などにより高島の環境保全が図られることから,地元岡山市において適切に対応されるものと考えております。 以上でございます。 (佐藤) 教育再生と産業振興ということを知事は強く言われますが,たちまちきょうの命にかかわることが防災対策でございます。もちろん,地震も気になりますが,いよいよ出水期に入って台風の被害がいつ出てもおかしくない,そんな時期に突入しております。多くの都道府県に海岸や河川がありますが,災害が少ないと言われる我々晴れの国おかやまには,これは何ぼでもしつこく申し上げますが,防災上ある意味でネックになる児島湾締め切り堤防がございます。2月定例県議会で,児島湖流域の浸水対策につきましては国,県,関係市町との連携協力のもと,それぞれの役割に応じて総合的な対策を進めることが重要であると認識いたしております。その中で,県もしっかり県の役割を果たしてまいりたいと存じますと御答弁をいただきましたが,特に児島湾締め切り堤防の施設設置者の国が今年度から詳細な耐震性の検証や対策工法等の検討を開始したわけでございますが,具体的にここまでどういう協議が行われてきたのでしょうか。 一方で,100年ぶりの豪雨を超える排水量を持つポンプを設置しようとすれば,日本最大級の直径4.2メートルのポンプなら28台,県内に既存の最大ポンプである直径1.8メートルなら約150台以上を締め切り堤防の上に乗せにゃあいけんという計算になるわけでございますが,費用面からも技術的にもこれはもう現実的ではないという農林水産省の報告が昨年の秋,出たわけでありますが,ただ我々の記憶に残る台風といえば,吉井川を,後に名前がついたわけでありますが,牛の元気君が流れた平成10年の台風,高潮の甚大な被害が出た平成16年の台風,そして3年前の台風と,間が10年もあかずに大きな被害が出ております。現実問題,100年に一度ではなく10年に一度の台風を想定して,やはり排水ポンプの設置等を求めることは考えられると思いますが,御所見をお聞かせください。 次に,地域の保水力の向上についてでありますが,県としても市街化調整区域における無秩序な市街化の抑制を図るということでございますが,岡山市のほうでは市街化調整区域において,いわゆる50戸連たん制度の見直しをする条例案を6月議会に提出されておられます。もちろん,これは市街地の拡大を抑えてコンパクトなまちづくりを進めるのが狙いでございますが,保水力の維持にもかなり大きな効果があると思います。こうした動きに対する評価と他の市町村への働きかけをしてはどうでしょうか,所見をお聞かせください。 また,都市近郊におけるいわゆる都市農地について,農業体験,交流活動の場の提供というものに加えて,災害時の防災空間の確保という観点から今後どのように考えていくべきか,御所見をお聞かせください。 (知事) お答えいたします。 児島湾締め切り堤防等についての御質問であります。 まず,耐震性の協議についてでありますが,昨年度,国からそれまでの概略検討に引き続き詳細調査に着手したい旨の提案があり,県もその実施について了承したところであります。県では,国が詳細調査を行うに当たり,効果的な工法等を十分精査するよう申し入れるなど,引き続き協議を進めているところであります。 次に,排水ポンプについてでありますが,県では昨年9月に国の報告を受けた後,10年に一度の確率で発生する洪水が児島湖水位に与える影響についても国に解析を追加依頼した結果,児島湖の水位はAP2.48メートルまで上昇するものの,計画高水位であるAP2.89メートルまでは達しないとの説明を受けております。このため,10年に一度の洪水を想定したポンプ設置の必要性は極めて低いものと考えております。 次に,地域の保水力の向上等のうち,50戸連たん制度の見直しについてでありますが,岡山市における制度の見直しは,市街地の拡大を抑えてコンパクトなまちづくりを進める上で望ましいものであると評価しており,保水力の維持等にもつながるものと考えております。今後とも,保水力の維持や浸水しやすい地区の市街化を防止する観点から,都市計画等に係る制度の活用について,まちづくりの主体である市町に助言してまいりたいと存じます。 次に,都市農地についてでありますが,農地には保水力に加え,雨水を一時貯留する機能も有しており,地域の洪水調節の観点からは一定の役割を果たしていると考えております。また,災害時の防災空間の確保等,都市機能を高める役割も有していることから,今後とも,市町と連携して都市農地の有効な活用が進むよう努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 (佐藤) どうもありがとうございます。 これは3年前のことでありますから,知事に就任される前の平成23年の台風でございましたけれども,そこから今まで何が変わっておるのか,防災面で何が変化があったかというと,残念ながら児島湾締め切り堤防についてはむしろ不安がありますよということで,国がもう一度調査を行いますという話になっている,しかも排水ポンプ等は設置される予定も恐らく今後はないだろう,また10年に一度の雨を想定してそのポンプをつける必要は全くありませんという答弁でございまして,これは何が変わったかというと,何も変わっていないわけでありまして,今やれていることは,大きな雨が降る,台風が来る前までにはできるだけ児島湖や農業用水の水位を下げる,これはできていることでありますけども,それ以外のことはできていない。それをやろうとすれば,やはり県が音頭をとらにゃあいけんということでありますが,申しわけないですけど,ここでもし大きな災害があれば,私はもう人災のそしりは免れないというふうに思っております。これはどれだけ県が本気でこの状況が危険な状況だと感じておられるかという,それは感覚の問題なんですが,伊原木知事におかれましては3年前の台風,あのときは知事であられませんでしたが,あのときの経験を踏まえた上で現状の児島湾締め切り堤防が大丈夫だとお考えでしょうか。 (知事) 児島湾締め切り堤防が大丈夫かという御質問に対してお答えをいたします。 これはちょっと専門的なことになりまして,私自身の理解も十分ではございませんけれども,これまで災害の被害想定は正規分布で行われておりました。概略的には正規分布で非常にいい近似が出るわけでありますけれども,実は正規分布に非常に近いけれども,実際の分布はそうではなくて,べき分布であるらしいという学説が最近非常に有力になっております。べき分布と正規分布,非常に形は似ておりますけれども,最後の裾野の部分の分厚さがわずかに違います。このわずかな違いが対策の立て方を根本から変えてしまうわけでございます。正規分布の場合は,合理的に妥当な水準の計算が数学的にできるわけでありますけれども,べき分布の場合はその最後の計算が発散をしてしまうということでありますので,要するに原理的に言えば,どこまで行っても全く安心がないというのがべき分布の原理的な示唆になります。そういう点で,我々,地球上のどこにいても原理的な安心はございません。翻って,児島湾堤防に関しましても心配があるということですので,今,国の詳細調査を進めていただいているところでございます。我々は,完全な安心が望めない中でいかに現実的に県民の生命,安全を確保していくか,そういう課題に直面しているわけでございまして,できるだけベストを尽くしていきたいと考えております。 以上でございます。 (佐藤) どういう学説があろうが原理的にどうであろうが,そうしたことは一般論としてはあるんでしょうが,今,例えば岡山市南区で各連合町内会ごとに岡山市さんが音頭をとられて,いわゆるこの災害に対する説明会を開かれています。ほとんどの地域が残念ながら浸水被害に遭う,あるいは液状化が発生する,そして何よりもひどいのは児島湾締め切り堤防を海水が突破した想定になっておるということでありまして,原理的なというよりも,我々が政治に携わる者としてやらなくてはいけないことは,市民,県民の皆様に心理的な安心もお与えせにゃあいけんということでありまして,具体的にやはり行政がしっかり動いとるぞと,市と連携して県が動いてるぞということを示すだけでも市民の皆さんの安心になるということで,その部分はどうでしょうか。今は原理的にそれは難しいんで,学説的に言うともう全くそれは不可能だというふうな,それに近いような発言だったと思うんですが,市民,県民の皆様に心理的な安心を与えるために県が具体的に動くというその姿を見せること,そのことについてはどのようにお考えでしょう。 (知事) 心理的な安心を与えるということについてお答えをいたします。 これは2つあると思います。一つは,例えば東日本大震災でも非常に高い堤防があって,ここだけは安心だというふうに住民が思っていたところが,その堤防を越えてしまって,逆に被害が大きく出たということがございます。ですから,100%の安心でないのに,あたかも100%の安心があるようなことをお伝えするというのは,かえって安全を損なうと私は考えております。ただ,この安全のためにこういうことをやっている,こういうところは100%にはならないけれども,こういうことに関してはかなりこの手当てができていると,そういう正確な情報をお伝えする,この弱いところについて今どういう手当てをしているのかきちんとお伝えをする,対策を立てる,そういうところは非常に大切だと考えております。 以上でございます。 (佐藤) どうもありがとうございました。 これは,心理的な安心というのは数字を見せて安心してくださいということを言ってるのではなくて,県が音頭をとって市町村,児島湖流域の方々としっかりとスクラムを組んで対策を組もうとしているよ,国に対してしっかり物を言ようるよと,その姿勢をリーダーとして示してもらいたいという意味でございますから,そこに伊原木知事のリーダーシップを期待しての発言でございまして,行政的な説明で安心してくれということを求めてるのではありませんから,知事の後ろ姿を見てみんな安心できる状態にしてくださいという,そうした意味合いでございます。 <平成26年2月定例会>(2014年3月6日) (佐藤) それでは次に,3年前の9月の台風第12号で,およそ100年ぶりの記録的な豪雨と高潮が重なって,児島湖周辺で多くの浸水被害が発生しましたが,その対応策として,児島湖の水位を下げるために検討されていた児島湖から児島湾への強制排水については,昨年9月,費用面からも技術的にも現実的ではないという報告が国から行われました。台風第12号時の児島湖へのピークの流入量は毎秒約1,100トン,実は現在の排水樋門からの自然排水は毎秒約1,500トンであり,締切堤防の樋門さえ上がっておれば十分な排水能力があります。また,現在も樋門操作であらかじめ可能な限り児島湖の水位を下げてはおりますが,外潮位が高いときや営農状況等によっては十分水位を下げられない場合もあります。実は,昨年の10月の台風第27号のときもそうでしたが,干潮時とはいえ必ずしも児島湾の潮位が下がらず,樋門を上げられないときがあり,そういう場合も想定して先ほどの強制排水をできるようにすべきだという要望が強くあるわけであります。しかし,100年ぶりの豪雨を超える排水量を持つそうしたポンプを設置しようとすれば,日本最大級の排水ポンプの直径4.2メートル,これが28台必要だという計算になる。ちなみに,新潟県の新川河口排水機場に6台あるのが日本最大,これが28台要るんじゃという話です。仮に県内にある既存の最大ポンプ,これが直径1.8メートルでございますが,これだったら150台以上要るんだという計算になる。仮に100年に一度の大雨に対応するためには,費用面からも技術的にも現実的ではないという,こうした報告だったわけでございます。それにしても,児島湖をめぐる防災対策に関して,排水ポンプの設置が否定されたことは根本から対策を練り直すべき重大なる報告であったにもかかわらず,浸水被害のあった岡山市や倉敷市,早島町,玉野市に十分な報告や協議が行われていないのではないか,改めてこの報告の意味について知事に認識をお伺いいたします。 今後は,排水ポンプの設置がないことを前提に,台風や大きな雨が降る前には,児島湖や農業用水まで含めて流入する河川の水位をできるだけ下げておくことが必要ですし,ハード面では,結局内水排除を強化するためにも,河川の堤防の低い場所をかさ上げしたり川幅を広げたり,特にこの時期なんですが,しゅんせつを行うということが必要になりますが,内水排除の強化と流域の自治体と一緒になった総合的な計画や役割分担の協議がどのように行われているのかお伺いいたします。 また一方で,地域の保水力をいかに上げることができるか,端的には,児島湖に一挙に水が入らないようにその負荷をどれだけ下げられるか,地域の保水力を維持するための都市計画のあり方を含めて,防災面からも持続可能な開発が行われる必要があると思いますが,県が方向性を示すことも必要だと思いますが,その認識をお知らせください。 またさらに,南海トラフ地震を想定して,地域防災計画の修正を含めて,平素から市町村との防災対策のすり合わせ,連絡会議などをどのように進めてこられたかについてお伺いします。加えて,防災対策の関連予算がどのように確保されているのかお伺いいたします。これに関連して,来年度から4年間かけて農林水産省が児島湾締切堤防の調査を改めて行うことになりました。液状化,津波対策など現状の認識と今後国に対してどのように対応することを求めるのかをお伺いいたします。 (知事) お答えいたします。 児島湖をめぐる防災対策等についての御質問であります。 まず,国の報告に対する認識についてでありますが,この内容につきましては,昨年9月3日に国から岡山市など3市1町と県に対し説明があった後も,国は市町から個別に意見や提案を聴取したと聞いております。その後も,国では,児島湖周辺の防災機能を高める方策について検討を進めていると聞いております。 次に,内水排除の強化等についてでありますが,県では,平成23年の台風第12号の被害を受け設置した連絡会で,関係市町や周辺の土地改良区と協議し,大雨が予想される際の事前の水位調整や連絡体制の強化に取り組んできたところであります。今後,県では,計画的な河川整備に加え,国や関係市町とも協議しながら,湛水防除の機場整備等,それぞれの役割分担に応じて具体的な対策の検討を進める必要があると考えております。 次に,地域の保水力の向上についてでありますが,県としては,市街化調整区域における無秩序な市街化の抑制を図るほか,開発許可に際して必要に応じ調節池の設置を求めているところであります。今後とも,市町と連携して,都市計画に係る制度を活用しながら地域の保水力の維持に努めてまいりたいと存じます。 次に,南海トラフ地震を想定した対策についてでありますが,県では,南海トラフ巨大地震の被害想定や県地域防災計画の修正等について,その都度市町村に対して丁寧な説明や意見交換を行いながら進めてまいりました。市町村においても,県の津波浸水予測図や県地域防災計画の修正を受け,津波ハザードマップの見直しや市町村地域防災計画の修正が進められており,今後とも,市町村との連携を深めながら,地域防災力の向上に努めてまいりたいと存じます。 次に,防災対策関連予算の確保についてでありますが,来年度においても,防災対策に必要な予算を確保し,河川,海岸等の整備や農業用ため池の改修,県立学校等の耐震化を進めるとともに,県民にわかりやすく防災情報を提供するシステムの再構築などを行うこととしております。今後とも,集中豪雨や大型台風,南海トラフ巨大地震などの災害から人命を守るため,ハード,ソフトの両面から防災対策を着実に進めてまいりたいと考えております。 次に,児島湾締切堤防の液状化対策等についてでありますが,締切堤防は,改修時の耐震設計基準に基づき建設され,一定の耐震性は確保されておりますが,背後地の広大な農地や公共施設等を津波や高潮から守る重要な施設であると認識しております。また,施設設置者の国が来年度から詳細な耐震性の検証や対策工法等を検討すると聞いておりますが,調査の実施に当たっては,効果的な工法等を十分に精査していただくよう要請してまいりたいと存じます。 以上でございます。 (佐藤) 先ほども申し上げたんですが,国に対しては,やはり県が音頭をとって何か言っていかなくてはいけない場面があると思うんですが,今回,本当に防災対策の根幹を揺るがすような大変大きな話でございまして,国のほうが市町村に何か説明してるらしいよということでは困るのでありまして,やはり平場で県も一緒になって,あるいは県が音頭をとってこの排水ポンプのことについて,あるいはこれから行われる締切堤防の強化について,やはり平場で市町村と一緒になって聞くべきだというふうに思うんですが,そうした防災対策会議の音頭を県がとられるおつもりはないかお伺いいたします。 (知事) 児島湖流域の浸水対策につきましては,国の報告の中でも示されてますけれども,国,県,関係市町との連携協力のもと,それぞれの役割に応じて総合的な対策を進めることが重要であると認識いたしております。その中で,県もしっかり県の役割を果たしてまいりたいと存じます。 以上でございます。 <平成25年9月定例会>(2013年9月18日) (佐藤) 次に,岡山県有数の穀倉地帯である岡山市南区藤田地区のかんがい排水事業,いわゆる藤田パイプラインについてお伺いいたします。 この地区では,全国的な米価の下落,農家の高齢化,後継者不足という課題もありますが,児島湾干拓のもとで大規模圃場整備や水利環境もなされており,特に米麦では先進経営体の大規模農家が多く,また,園芸作物として,タマネギ,レタスが導入されて,水田転作作物として,施設ナス,レンコン等の野菜の産地化が進められてきました。ここで約30年の歳月をかけて完成の国営かんがい排水事業に続いて,支線となる県営かんがい排水事業を整備しているのは,地域の独自性がある三堪四落という言葉に象徴されるように,大区画の水田地帯において,かんがい排水施設の再編整備を行って,用排水分離を行って,営農能力,労力の節減を図るとともに,いわゆるこの水田の汎用化によって,農業経営の安定を目指しているからでございます。言ってみれば,水道の蛇口をひねるように自由に農業用水を使うことで,水田の汎用化,転作を図るというのがポイントになりますが,TPP交渉もある中で,日本の,あるいは岡山の農業の未来を担う,私は極めて重要な地域であると思いますし,また,極めて重要な施策であると考えますが,知事の御認識をお知らせください。 一方で,岡山外環状道路南線の計画があり,工事延伸もされましたが,生活道に埋没するパイプライン工事については,地域の皆様の大変な御協力をちょうだいして,コスト削減と通行どめ期間の短縮等についても,県も努力はされてきました。そして,都・大曲地域において,この5月13日から待ちに待った来年の本格通水に向けて通水試験が始まりました。ブロック別給水による代かきや保給水の給水が行われて,そこまでもごみが多く給水栓の詰まりはありましたが,実は土用干しや給水栓の清掃のための送水停止期間が終わって送水を再開したときに問題が発生しました。思った以上に水が出なかったということであります。一つには,代かき機のようなブロックローテーションによる給水をせずに一斉に給水を開始して,急激な水圧低下を来たし,時間を要したというのは,これは間違いないと思います。送水再開前に県が十分な説明をされなかった,この点については大いに反省していただく必要があるというように思いますが,ただこれに加えて,国の施設,取水口のネットスクリーンや大曲の用排水機場の構造そのものに問題があるんじゃないかという声がございます。! まずは,最初の計画からもう数十年の月日が流れており,大規模農業に変わってきている状況もある,改めて用水計画・運用方法について,国から地元へ説明がなされることを強く求めたい。また,同時に,今回発生した事象の原因とその対応について,国に具体的にどう要望するかについて,農林水産部長にお伺いいたします。 (知事) お答えいたします。 藤田パイプラインについての御質問であります。 認識についてでありますが,藤田地域は古くから干拓により造成された岡山県有数の広大な穀倉地帯であり,昭和初期から大型機械化農村として農業をリードしてきた地域であります。また,現在は大規模経営体による土地利用型農業や千両ナス等の施設園芸も行われている地域と認識しております。藤田パイプラインは,お話のとおり,用排水分離により水田の汎用化を図り,生産性の高い土地利用型農業の実現を目的として実施しているところであり,今後とも,藤田地域が先進的な農業地域となるよう努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 (農林水産部長) お答えいたします。 藤田パイプラインのうち,国への要望についてでございますが,土用干し後の給水不足については,お話のように,地域において一斉に取水したことに加え,取水口へのごみの混入やポンプの回転数が不安定であるといった施設面の問題も影響しているものと考えております。県では,このような事態を受け,国に対し,土用干し後の最初の給水に係るブロックローテーションを検討し,その運用方法等について地元へ説明するとともに,施設面の問題に対する原因究明と対応策を検討するよう要請してきており,国からは,問題点を認識し,早急に調査に着手すると聞いております。県としましても,来年度からの本格通水を控え,喫緊の課題であると考えており,安定的な用水供給が図られるよう,岡山市等と連携しながら,引き続き国に早急な対応を求めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 (佐藤) 申し上げたいのは,その対症療法的なことではなくて,全体計画の中で,例えば都,大曲,錦,全体が動き出したらどうなるのかという,全体計画を示していただきたいということで,年度ごとに説明会をやるというのではなくて,全体でこうなんだという,そうした説明会をしていただけますかというお話でございます。それは,今やらなくてはいけないことだと思うんで,今年度の説明をするということではありません。全体にこれから全部の地域が動き出したときに,本当にこれだけで容量足りるのか,あるいは防災の面であったり環境の面であったり,パイプライン,あるいは農業用水の果たしている役割は非常に大きいわけでありますが,これから外環状道路を通したり,地域の方の御協力もいただかなくちゃいけない,その中で全体計画がどうなのか。それに対して県と市が何をやるのか,その説明会を開催してくださいというふうに申し上げているんです。 <平成25年2月定例会>(2013年3月6日) (佐藤) どうもありがとうございました。 それでは次に,防災対策について,特に岡山市南区においては平成16年台風の高潮被害,そして一昨年の台風被害,今後予測される地震,津波,液状化の問題の全てが直接関係しております。そして一方で,一級河川旭川でございますが,津波が発生した場合は旭川を遡上することが考えられる地域は,実はこれは岡山河川事務所すなわち国の所管でございます。しかし,例えば「人も自然も生き生き暮らす晴れやかな海辺づくり」と題した岡山沿岸海岸保全基本計画の改定を今県が進めておられるんですが,実は設計水位の設定一つとっても,この旭川と岡山港が十分な整合性がとれていないんじゃないかというふうに思えてなりません。実は旭川の堤防のほうに関しては,これはもう液状化が起きるぞということを想定して,その強化が行われているんですが,実は岡山港は高潮対策すら十分にできていない状況であります。特に現在,旭川水系河川整備計画の策定中であり,十分な連携がとれないと旭川のほうは大丈夫だったけれども岡山港は壊滅的な被害が出たぞということにもなりかねないということで,この岡山港の海岸保全施設の地震,津波,液状化対策における国の河川整備担当部局との連携強化について,御所見をお伺いいたします。 そして,特にこの議場でも本当にもう何度も何度も申し上げてまいりましたが,児島湾締切堤防の安全性の確認強化は,これはもうしつこく何度でも何度でも設置者の国に対して強く求める必要がございます。仮に児島湾に児島湖から強制排水を仮にいずれするようになったとしても,あるいは津波を受けとめるにしても,児島湾締切堤防そのものの液状化を防ぐにしても,粘土層の上に乗っかっている現在の締め切り堤防は安全のかなめであり,またネックでもございます。児島湾締切堤防にもしものことがあれば,その被害は本当に甚大なものになってしまう,知事のこの児島湾締切堤防の安全を守る,その決意についてお伺いいたしたいと思います。 また,昨年の9月2日,県下で初めて国との合同で大規模津波を想定した防災訓練が,まさにその岡山港をメーン会場に実施されました。地震の後の津波もさることながら,実は地域全域が液状化して全域に浸水被害が想定されているわけですが,最悪の場合でありますけれども,例えば児島湖の堤防が決壊して,しかも液状化によって避難ルートも絶たれている,こうした想定もされるわけでありますし,こうした想定でなければ本当は防災対策も防災訓練もむしろ1時間半から2時間後に津波が来るから逃げれるよというふうな時間的な猶予のある避難訓練になって,これは功を奏さないんじゃないか,今後の国や市町村と共同の避難訓練のあり方についてお伺いをいたします。 (知事) お答えいたします。 防災対策についての御質問であります。 まず,岡山港の海岸保全施設の地震等対策における国との連携強化についてでありますが,県では50年に1,2度発生が予想される地震に対して安全な施設を整備しており,また液状化対策は三蟠九蟠海岸以外は実施しておりません。国が管理している旭川の堤防も同じ水準で整備されていますが,東日本大震災を踏まえ,より安全性の高い対策を実施することとしており,岡山港海岸立川地区の整備水準を上回ることになりますが,同地区は後背地の地盤が高いことから,現在の水準で安全性は確保されるものと考えております。津波対策につきましては,現在県が津波高の想定を行っているところであり,この結果を踏まえ岡山沿岸海岸保全基本計画の改定を行うとともに,国にもこの結果を示し,旭川等の堤防の安全性について検討するよう求めてまいりたいと考えております。地震,津波,液状化対策は隣接する施設間の整合性が重要でありますので,これまで以上に国を初め各施設管理者との連携に努めてまいりたいと存じます。 次に,児島湾締切堤防の安全性についてであります。 県では,一昨年の7月から機会あるごとに施設設置者である国に対して大規模地震が発生した場合の地震,津波への安全対策や台風等の洪水時における防災機能を高める方策の検討について要請しており,これを受け国では現在対応策の検討を行っているところであります。締め切り堤防は児島湖周辺の農地,住宅,学校,公共施設など多くの生命,財産を守る重要な施設であり,地震や津波,台風などで被害が発生した場合には,その被害は甚大なものになると考えられることから,今後とも,締め切り堤防の安全性強化のための取り組みを国に対して強く求めてまいりたいと存じます。 次に,避難訓練のあり方についてでありますが,お話のとおり避難訓練はそれぞれの地域で起こり得るさまざまな被害を想定して実施することが重要であると考えております。まずは,市町村や地域において災害の種類や規模に応じてどういう被害状況が生じるのか具体的に想定し,どのように避難するべきかを検討していただくことが必要であり,お話の児島湖周辺における想定については訓練の実施主体である岡山市にもお伝えしたところであります。国や県の防災訓練に合わせて実施する場合はもとより,市町村単独で避難訓練を実施する場合においても,こうした検討結果を反映させ,地域の実情に即したより実践的な避難訓練とするよう市町村に働きかけてまいりたいと考えております。 以上でございます。 <平成24年6月定例会>(2012年6月26日) (佐藤) 次に,これからの夢として,北の未来科学棟(仮称),南の岡南飛行場と,子供たちの可能性を広げる施設として,私自身かなりこだわっております岡南飛行場についてお伺いをさせていただきます。 昨年の9月11日,9・11に開催された「第1回航空フェア2011in岡南飛行場」は,2万人以上の方々が来場され,久方ぶりに岡南飛行場にスポットライトが当たり,大成功でございました。知事にもお越しいただいたんですが,ぜひ知事の御感想をお聞かせいただければと思います。 ただ,そこにある思いは,これはイベントをやりたいというよりも,一人でも多くの子供たちに岡南飛行場でセスナやヘリコプターを身近に感じてもらい,鳥人幸吉の魂を引き継いで,将来,パイロットやキャビンアテンダントや航空整備士になる夢を膨らませてほしい,そしてひいては航空産業推進の種地として生かされるようにという願いでございます。公の施設の役割は,来場者がどれだけあるかとか,どれだけ利益を生んだかだけでは,はかれません。これでははかれない。今,JAXAに通い詰めた兄弟が宇宙飛行士になって月におり立つ「宇宙兄弟」という映画をやっておりますが,公の施設があったらこそ夢が実現できた,そういう子供が一人でも多く生まれれば,私は公の施設,存在意義はあるというふうに思います。特に,ことし開催の第2回の航空フェアは,知事の任期満了の日の11月11日が予定されております。改めて岡南飛行場の可能性について,知事の御所見をお聞かせください。 また,今回リスク分散で岡山空港に消防防災ヘリコプター「きび」の拠点を移すとのことでございますが,具体的な航空産業誘致のために,例えば,今,岡南飛行場,あいている格納庫の有効活用など,これをどのように考えているのか,お尋ねいたします。 (知事) 岡南飛行場についての御質問であります。 まず,「航空フェア2011」についてでありますが,岡南飛行場の特色を生かしまして,多彩な小型航空機等を身近に感じることのできる催しといたしまして,航空会社や町内会,県などでつくる実行委員会が昨年初めて開催をしたものでありまして,私自身も会場に出向きましたけれども,大変多くの家族連れでにぎわっておりまして,大変私もうれしく思ったところでございます。ふだんはなかなか見る機会がない,いわゆるセスナ機のアクロバット飛行,これを私も拝見させていただきましたけれども,子供さんたちが大きな歓声を上げておられましたし,また,地元住民の方々が手づくりのおもてなしをしておられまして,そして生き生きと活動しておられました。その姿が今でも心に残っておりますが,岡南飛行場として生まれ変わって以来,一番のにぎわいとなったということを,本当にうれしく思った次第であります。 次に,岡南飛行場の可能性についてでありますが,岡南飛行場は,岡山空港との機能分担のもと,小型機専用の飛行場といたしまして,航空測量や訓練,公用ヘリコプター基地などに幅広く利用されているところであります。また,セスナ機やヘリコプターを身近に感じられる場所でもありまして,未来を担う子供たちが航空産業のみならず広く科学全般への興味を持つきっかけとなりまして,航空機で訪れる外国に思いをめぐらせるなど,好奇心をはぐくむ可能性を持つ施設であると考えております。県といたしましては,引き続き利用の促進に努めますとともに,学校等からの見学の積極的な受け入れ,さらには地元と一体となりましたフェアの開催等によりまして,にぎわいの創出を図るなど,岡南飛行場のなお一層の活性化に努めてまいりたいと存じます。 次に,格納庫の有効活用についてでありますが,消防防災ヘリコプター「きび」が岡山空港に移転をした場合に,あくこととなります岡南飛行場の格納庫の活用につきましては,現時点では未定でありますが,他の格納庫用地や航空関連施設用地とともに,航空関係事業者を中心に,あらゆる角度から利用可能性を探りながら,立地の促進に努めてまいりたいと存じます。 (佐藤) 最後に,防災対策について伺います。 先週8年ぶりということで,6月としては異例なことに,台風第4号が上陸しました。また,熱帯低気圧に変わった台風第5号も,多くの雨を降らせました。昨年9月の台風第12号の被害の記憶が生々しいだけに,多く雨が降るだけで緊張を覚えますが,昨年の台風等による被害の復旧については,市町村と協力しながら進んでいると認識してよいのでしょうか。また,今回の台風第4号,第5号に際して,児島湾締め切り堤防の樋門の操作により,児島湖の水位を下げるなどの今年度からの対策,さらに市町村,地域への連絡等がうまく機能したでしょうか。加えて,締め切り堤防の樋門の状態,児島湖,児島湾の水位について,ウエブ上での公開はいつから始まるのでしょうか,あわせて農林水産部長にお伺いします。 そして,この場で何度も申し上げてまいりましたが,締め切り堤防の安全性強化などの対策を国へ提案しておりますが,その成果が出ているのか,お知らせください。 (知事) お答えいたします。 昨年の台風等によります被害の復旧状況についてでありますが,県が管理しております土木及び農林施設では,被害を受けました315カ所のうち,これまでに170カ所が復旧を完了しております。残る箇所につきましても,本年度内に復旧を完了する見込みでありまして,引き続き市町村とも協力しながら,被災箇所の早期復旧に努めてまいりたいと存じます。 次に,児島湾締め切り堤防の安全性強化についてでありますが,県では昨年,台風等の洪水時における防災機能を高める方策の検討と,大規模地震に対する安全性の確保につきまして,国へ提案をしたところであります。これを受け,国では,昨年度末に台風第12号時の児島湖の水位や流入量等をもとに解析モデルを構築し,今年度は引き続きこのモデルを活用して,締め切り堤防樋門からの排水能力や周辺地域への影響について検証を進め,その結果を踏まえ,防災機能を高める方策の検討がなされると聞いております。また,大規模地震への安全対策につきましては,中央防災会議の動向を注視しつつ,国において今年度から耐震診断等に着手し,来年度末を目途に安全性の確認等が行われるものと,このように聞いております。今後とも,児島湾締め切り堤防の安全性強化のための取り組みを国に対し引き続き求めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 (農林水産部長) お答えいたします。 防災対策についてのうち,児島湖の水位調節等についてでございますが,県では昨年度に関係市町等と協議の上,決定いたしました対応マニュアルに基づき,台風接近の1日前に関係市町に連絡を入れ,児島湖の水位を下げますとともに,水位上昇時における基準水位に達するなど,定められたタイミングで児島湖の水位情報等を関係市町に連絡し,適切に対応したところであります。お話の地域への連絡につきましては,各市町の御判断によって連絡していただく,かようになっておりますが,今回は水位が昨年のような異常水位には達せず,地域への連絡は特に行われなかったと聞いております。また,児島湖の水位情報等のウエブ上での公開につきましては,本年9月には県総合防災情報システムを通じ,運用が開始できますよう,現在,開発を急いでいるところでございます。 (佐藤) 知事におかれましては,今後,本当に今までの岡山県政での行政経験を生かしていただいて,さらなる御支援を県にいただきたいということを本当に強く願うところでありますが,その前にぜひ内尾グラウンドについては,地域の子供たち,地域が納得できる,そうした答えを出していただきたい,この御要望をさせていただき,なおかつ児島湾締め切り堤防については,国のほうから別の形で何とかお力添えが賜りますようなことができればいいなあと,これは夢に描かさせていただきたいと思います。 質問でございますけれども,特に今,災害復旧のための施策が行われているんですけれども,例えば藤田にある丙川という川の護岸の工事が行われた。このとき,岡山市がここまでやった,岡山県がここまでやった。確かにやってくださっとんですけども,間にすき間ができて,今ビニールシートがかぶっているような場所があります。あるいは急傾斜地域で砂防地地域に指定されると,これは岡山市の河川なんだけれども,県の管理も入ってくるということで,こうした市と県の連携というのが本当にうまくいっているのかどうか。現場において,例えば市はこれは農林の仕事だ,土木の仕事だ,あるいはこれは県だ,市だ,国だと,こういうやりとりが必要なのではなくて,やはりこれは防災対策については,市じゃろうと,県じゃろうと,国じゃろうと,何課じゃろうと,命にかかわることじゃからやってくれということでございまして,その中でやはり必要なことは,例えば市と県が何か防災対策をやるときには,例えば同時発注をする,これは入札の仕方が難しいと思いますけれども,一緒にそうした形で防災対策を一挙にやってみる。それから地域の方への説明も,そういうふうな形でいけば,一遍に済みますので,ぜひそうした仕組み,特に現場で私も何度か立ち会いをさせていただく中で,この点で大変現場は苦労しております。市と県と国がうまく連絡できる,そうした体制づくりについてどのようにお感じか,お尋ねしたいと思います。 (知事) お答えいたします。 議員御指摘のとおり,県管理,それから市管理,場合によっては国の管理というものも中には出てくるわけだと思いますけども,こういったもののお互いの連携というものは極めて重要だというよう思います。特に事業を行っていこうという際には,その事業間の調整という問題もありますし,また,途中が今の御指摘のように,穴が,間があいてしまうというようなことがあってはならんわけでございますし,地元の説明とかいろんなこともお互いに事業が関係しておりますから,そういった一緒に説明するといったこともできればやるべきではないかというふうに,私も思います。特に,防災対策におきましては,緊急性が高いわけですから,御指摘の点はごもっともというふうに考えております。なお一層県と市の連携強化をしっかりと行っていくように,担当のほうには指示しておきたいと,また,市のほうにもその点をお願いするようにいたしたいと思います。 以上でございます。 <平成23年11月定例会>(2011年12月14日) (佐藤) やれ早口だ,やれ量が多いと,いろいろあるかもしれませんが,これも一つの病でございますので,何とぞよろしくお願いいたします。 ことしを振り返ってみたときに,東日本を襲った大震災・津波,大変な猛暑,岡山県にも甚大な被害をもたらした台風と,まるで我々人間の営みをあざ笑うかのように,大自然が猛威を振るいました。もはや我々は,神仏に何かを試されているのではないかと,えも言えぬ不安に襲われると同時に,四季折々の美しい風景のある我が祖国は,こうして地震や津波,台風と,火山噴火という大天災がある国でもあり,しかしその中で我々の先人たちが確かに生き抜いてきたこと,そして我々も生き抜いていかねばならないのだということも痛感した年でございました。そして,その中で我々が守り続けてきたものは,大自然への畏敬と共生の念,生かされていることへの感謝,そしてかたいきずなであることを,今,改めて思い知らされたように思います。しかし,その中で政治としてなすべきことを速やかに行うことこそが,我々の使命だと思います。特に,大きな被害を出した台風12号,15号につきましては,来年以降も同じような被害が地域に出るとすれば,これは人災であるというそしりは,免れないと思います。 特に,6月定例会で私は,東日本の震災を受けて,児島湾締め切り堤防について,国に対して安全性の確認,強化を強く求めるべきだと申し上げ,さらに児島湾に排水ができない事態が想定される場合の児島湖の水位の調整を含めて,地域の安全の確保をすべきである。さらに,倉敷川や笹ケ瀬川について,老朽化した脆弱な堤防の整備をすべきであると申し上げました。知事は,児島湾締め切り堤防の安全性の確認等については,その後,鹿野農林水産大臣にお会いしていただいて,国に対して強く求めていただきましたが,児島湖については,あらかじめ干潮時に締め切り堤防の樋門操作によって児島湖の水位を下げるなど,適切な排水管理に努めている。そして,干拓地の浸水対策として,岡山沿岸海岸保全基本計画に基づきました堤防の整備や,排水機場の設置を進めているとの御答弁でございました。しかし,こうした危険性を指摘させていただいたにもかかわらず,その後,残念ながら9月3日の台風12号,その間の台風,大雨,さらには台風15号で,岡山市南区全域を初め児島湖流域に避難勧告が出され,各地に大きな被害が出て,児島湖流域の市や町からは,県の児島湖の管理体制の見直しについて強い要望の声が上がっております。その点につきまして,まずどのように御認識されているのかをお伺いいたします。 さらに,市や町は県に要望して,それを受けた県のほうは,国に方策の検討を要望して,資料提供しただけでは,根本的な解決にはほど遠いものがございます。逆に,児島湖流域の市や町に,県として具体的に要望できることがあるのか。また,国に具体的に,何を,いつ,どのようにお願いをするのか,お伺いいたします。 加えて,我が党の代表質問に対して,児島湖周辺地域の県管理樋門の操作を原因とする被害は発生しておらず,管理に問題はなかったと答弁されておられますが,問題がないということは,改善の余地すらもないのかをお伺いいたします。 児島湖流域では,少し雨が降るたびに農業用水をのぞき込んで,また,水があふれるんじゃないか,そうしたトラウマを地域住民の方が持っておられる状況で,私は改めて児島湖,児島湾,児島湾締め切り堤防に対して手を加えなければ,来年も台風が来て児島湖がいっぱいになって,もう児島湖に水が流せんようになった。そうした時点で,また,地域が水につかるしかないんかと,こうした不安は払拭されないというふうに思います。 そこで,短期的,中期的,長期的に,児島湖,児島湾,児島湾締め切り堤防に対して,市町村,県,国が何をすべきか,どう連携すべきかについて,私なりの提言,質問をさせていただきます。 まず,地域の方の声として,台風が来る,大雨が降る,そういうときにはもっと早く児島湖の水位を下げるべきではないかという声が大変に多くあります。もちろん干拓農地の水源としての役割を保つため,湖内を一定の水位に保つ必要がございますが,さらに弾力的な運用が可能か,周辺との調整の仕方を含めて,農林水産部長にお伺いいたします。 ところで,9月3日の台風12号のときに,児島湖の水位が正午ごろに2メートルを超え,その後も急激に上昇いたしましたが,児島湾締め切り堤防の樋門があけられたのがやっと夕方になってからでございました。当日の児島湾の満潮の時間は,午後3時ごろ。大体6時間をかけて満潮や干潮を繰り返すわけでございますが,締め切り堤防があけられるタイミングは,児島湾が児島湖よりも潮位が低いとき,すなわち干潮のときでございます。それは,日に2回しかありません。しかし,9月3日の前日は,樋門を1回しかあけることができませんでした。なぜか。言うまでもなく,本来の干潮の時間に児島湾の潮位が児島湖より下がらなかったからであります。なぜ児島湾の潮位が下がらなかったか。1つには,台風の位置。紀伊半島に長く居座って奈良県や和歌山県に甚大な被害をもたらした台風12号でありますが,この場所に台風がいますと,岡山県北では偏西風,いわゆる広戸風が吹きます。一方,県南では引き潮を押し戻してしまう。それで,児島湾の潮が引かなかったということもあります。加えて,旭川ダムの放流が問題だったのではないかという声もございます。これは,大潮と台風が重なった平成16年の台風でも指摘されましたが,旭川ダムがゲート放流を始めると,4時間から5時間後に児島湾に水が到達する。その放流水が潮位に影響したのではないかという声でございます。そして,今回,旭川ダムは,真夜中の午前1時にゲート放流を始めました。そのときに,決してダムは満杯ではございませんでしたが,流域に多く雨が降ることが予想されたため,制限水位以下でありましたが,放流を開始したわけであります。 私は,この判断自体は,むしろ努力されたものだったというふうに思います。ただ,結果として,その放流水が児島湾の干潮の時間に向けて放流された,これが問題だということであります。もちろん旭川の流量がどれだけ児島湾の潮位に影響するのか,この数字を出すのは不可能だとは思うものの,干潮を迎える時間に毎秒1,000トンを超える水が放流されたわけですから,何がしかの影響はあったんじゃないかというふうに思います。特に,今回アンラッキーだったのは,県北の大雨が旭川を流れて県南に到達するその時間に,県南が大雨だったということであります。いずれにせよ,自然現象の児島湾の潮位について,人為的にわずかでも影響を与えられるのは,旭川ダムと湯原ダムの放流しかないわけであります。 そこで,湯原ダムの放流も加えた旭川ダムの放流と児島湾の潮位の関係についてどのような認識をお持ちでしょうか。また,今後,児島湾締め切り堤防の樋門の開閉と旭川ダムの放流についてどのように連携されるでしょうか。工夫の余地はないんでしょうか,あわせてお伺いいたします。 加えて,昭和29年につくられた旭川ダムにつきましては,昭和59年に予備放流方式から制限水位方式に変更されて以来,見直しが行われていません。旭川ダムの利水は,言うまでもなく,発電用の水と岡山市民の飲み水ですから,これを安易に放流して渇水になれば,これこそ人災になってしまいますが,旭川ダムの制限水位の見直しについて,今後の方針を土木部長にお伺いいたします。 加えて,旭川ダムの放流のサイレン自体が何かすら御存じない方が想像以上に今回おられましたが,旭川ダムの放流時の地域への周知の徹底,これを含めた対策について土木部長にお伺いいたします。 次に,児島湖の側について。 今回の台風は,大雨による被害が多かったということが,平成16年の高潮被害が多く出た台風との決定的な違いであったというふうに思います。ただ,児島湖から児島湾に排水ができなくなったというのは,共通であります。そして,今回,観測史上最大の水位を児島湖も記録したわけでありますが,その中で気になるのは,児島湖畔の玉野市東七区にある児島湖流域下水道浄化センターの放流水が急激に増したということであります。台風が来たらトイレに行く回数がふえるという人も,中にはおられるかもしれませんけども,基本的には降水量と下水の浄化水の放流量の増加というのは,本来イコールではありません。要は,雨水が下水道にかなり入ってきたということであります。地域によっては,マンホールのふたがぱかぱかあいていた。あるいは,わざわざそれをあけて雨水を下水道に流したところもあります。結果として,現状の浄化センターの処理能力を超えた下水と雨水の流入があって,消毒液を入れて中間処理の段階で放流をせざるを得ない状況になりました。ただ,それでも児島湖の水位への直接的な影響は,1センチにも満たかなかったというふうに伺ってはおるんですけれども,しかしこれも児島湾の潮位同様,人為的に影響を及ぼせるもの,逆に言えば,改善の余地があるものじゃないかというふうに思います。 まずは,児島湖流域下水道浄化センターの施設拡大も予定されておりますが,放流量の増加が児島湖の水位に及ぼす影響について,現状を含めて御認識をお知らせください。また,改善の余地がないのか,改めてお伺いをいたします。 関連して,児島湖の容量自体が砂や泥が堆積して下がっているという指摘があります。また,児島湖に流入する県管理河川について,すべてについてしゅんせつの要望が上がっております。基本的に,しゅんせつにつきましては,最下流部から行わなければ意味がありませんが,国に対して,児島湖内のしゅんせつを求めることを含めて,今後の児島湖に流入する県管理河川のしゅんせつについてお伺いいたします。 特に,最下流域になる浦安地域では,農作物の品質向上のために水質の改善,これは極めて重要な問題でありますが,こうした児島湖に流入する河川や用水の河口部と合流部においては,岡山市初め周辺市町との連携によるしゅんせつを行ってはどうか,土木部長にお伺いいたします。 また,国のしゅんせつにより揚げた泥をわざわざ固めて児島湖内に集めて土捨て場をつくって,これを県が管理されております。地域では,これを無用の長物という声が上がっておりますが,この土捨て場を今後どうするおつもりなのか,農林水産部長にお伺いいたします。 さらに,6月議会で申し上げた児島湖内部で堤防がない西南側の地区に,今回やはり浸水被害が出ました。1つには,岡山市所管の郡漁港でありますが,一部が民地であります。再度危険性を指摘させていただいて,今後の整備方針について農林水産部長にお伺いいたします。 ところで,今回,雨水を取り込んで児島湖流域下水道浄化センターの放流量が増加したことに,私は2つの問題があるというふうに思います。 1つは,大雨を受けとめる地域の保水力がかなり落ちているということであります。つまりは,昔は水田で宅地化された地域では,雨が一挙に農業用水に流れ込んでしまう,それが一挙に道路にあふれ出るということであります。雨水がたまらないのであります。それが児島湖に一挙に流れ込んでしまう。特に,埋め立て,干拓で農地をつくってきた地域では,農業用水が張りめぐらされておりますが,これ自体そもそも田んぼを潤しながら流れる川でありますから,速く流れることを想定しておりませんし,かんがい排水用のポンプも田んぼに水を張ったり引いたりするものでありますから,排水能力自体はそもそも高くない。つまり,児島湖流域はもともと水が抜けがたいわけであります。もちろん農地が宅地化される,発展する,そのことのすべてがいけないわけではないわけでありますけれども,それをするのであれば,保水力と排水力を補う必要がある,あるいはポンプや樋門による水の制御をよほどきちんとしておく必要があると思います。特に,今,地域住民の方々にも目の前を流れる農業用水が,これが一体どこから来て,どこに流れるのか,そして樋門やポンプがどこにあって,それをどなたが管理されているのかもわからなくなってしまっている,そうした節がございます。実際は,土地改良区や水利土木委員,町内会や消防団の方々が必死の思いで樋門やポンプの管理をしてくださっておりますけれども,昔とは決定的に地域の保水力が異なってきています。恐らく台風でなくとも集中豪雨,ゲリラ豪雨で,農地を宅地化した地域で浸水被害が今後拡大する可能性がございます。 まずは,遊水地のような保水機能の確保,道路マップのような農業用水マップをつくり,さらには信号機のような樋門やポンプの設置状況,機能確認等,根本的なチェックをする必要があると思いますが,こうした農地を宅地化した都市近郊型の浸水被害に対する対策をお知らせください。 さらに,最大の遊水地というと,私は水田そのものであるというふうに思います。防災というよりも,これは減災という観点から,食の確保,環境保全などに加えて,農地の多面的機能として,地域の減災対策として,大規模な農地を緊急時の遊水地としても確保・保全するという考え方も必要であるというふうに思いますけれども,御所見をお知らせください。 加えて,今回排水ということでは,揚排水機の排水機能や消防団を含めた可動式のポンプをフル回転をさせたものの,老朽化等の排水力不足,故障,燃料切れが続出いたしました。農業用の排水機設置には,背後地の農地の面積基準が大変重く,今後はやはり可動式の排水ポンプ,さらには今回の被害の中でフル回転した国土交通省のポンプ車のような可動式の機動性の高い車両を,例えば,県北でいうラッセル車や除雪車のように,沿岸部には緊急配備ができる体制をつくることが必要だと思います。老朽化したポンプの改修やポンプ車両配備を含めて,排水ポンプ等排水機能の現状の認識と今後の強化方針をお知らせください。 さて,雨水が児島湖に入る問題の2点目でありますが,言うまでもなく,児島湖流域下水道浄化センターには,早島町,岡山市,倉敷市,玉野市の下水が来ているわけでありますが,これは汚水と雨水が分離されて処理される分流式という仕組みをとっています。しかし,岡山市と倉敷市の中心部の比較的早く整備された下水道については,もともと下水道に雨水を取り込む合流式という仕組みになっております,特に,岡山市中心部については,基本的には合流式の北区七日市西町の旭西浄化センターで処理され,旭川に放流されるものですが,汚水の一定量については,分流式の児島湖流域下水道浄化センターで受ける形になっております。言いかえれば,岡山市中心部の汚水をわざわざ玉野市まで運んで処理して,それを児島湖に放流しているという話になるわけであります。さらに,昭和38年1月につくられた旭西浄化センターは,汚水については今年度末には,児島湖流域下水道へ送水し,雨水滞水池として整備される予定となっております。しかも,先ほど申し上げた大雨を受けとめる地域の保水力という意味では,岡山市中心部の保水力はかなり落ちていると言わざるを得ないと思います。特に,雨水が西川や枝川といった農業用水にあふれるような場合には,もはや下水道に流れなくなった時点で地下街に雨水が流入する可能性,いわゆる都市型の洪水の可能性が高まっているというふうに,私は思います。 そこでまず,今後の下水道整備,旭西浄化センターも関連して,岡山市内の雨水処理に対する現状認識,さらに改善のために岡山市とどのように連携するのか。さらに,関連して,今後のまちづくりで特に都市部においては雨水が地下に浸透しにくく,短時間に川に集中して流れ込む都市型水害に対する現状認識,大型ショッピングモールなどがつくられる場合には,地下貯水タンクなどの遊水地機能を持たせることを要請すべきであるというふうに思いますが,土木部長の御認識をお知らせください。 さて,旭川ダムや児島湖流域下水道浄化センターの放流や締め切り堤防の樋門の開閉を工夫しても,やはり潮位,水位の変化が自然現象であるからには,最終,最後はそれに関係なく,児島湖から児島湾に強制排水ができる,そうした仕組みをつくるべきだという声がかなり多く上がっております。しかし,ここにも2つ問題があります。 1つは,平成16年の台風の被害による児島湾側の高潮対策が終わっていないということであります。たとえ児島湖から水をかき出しても,児島湾の側がそれによりつかる可能性があります。特に,東日本大震災以降,津波の想定も大きく変わっており,本来であれば高潮でなく津波を想定した基準で沿岸を守る必要がありますが,児島湾側の海外保全施設の現状と今後の方向についてお知らせください。 また,仮にこうした大きな排水ポンプ,これを締め切り堤防にずらっと並べるとすれば,恐らくこれはもう見たこともないような巨大なポンプの設置が必要になると思います。 そこで,問題になるのは,やはり締め切り堤防そのものであります。6月議会で申し上げたように,締め切り堤防はそもそも厚さ15メートルから20メートルに達する軟弱な海性粘土層に築造されているため,構造物としては必ずしも強固なものであるとは言えません。そして,これが国の施設であるからには,安全性の確認強化を国に求める必要がありますが,さらに堤防のかさ上げ,排水ポンプの設置についての検討も必要だと思います。今後の方針をお知らせください。 次に,児島湖流域以外で防災体制の確立についてお伺いします。 まず,企業との関係において,岡山県ではさまざまな団体と災害時応援協定の締結を推進しています。今回の台風被害の中で,私は津波や河川のはんらん等大規模な水害が発生した場合に,一時避難施設として近隣住民が避難できるよう,民間企業等の建物の高層階,これを開放する協定の締結を推進する必要性を強く感じました。御所見をお聞かせください。 また,突然発生した自然災害,大火災,テロ攻撃などの緊急事態に有効な手を打つことができなければ,経営基盤の脆弱な中小企業は,廃業や事業縮小,従業員解雇に追い込まれるおそれがございます。 そこで,事業資産の損害を最小限にとどめつつ,中核となる事業の継続,あるいは早期復旧を可能とするために,平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法,手段など取り決めておく計画BCP(事業継続計画)の必要性を感じます。BCPは,顧客の信用を維持し,市場関係者から高い評価を受けることになり,株主にとって企業価値の維持・向上にもつながります。東京都のように,中小企業に対してBCP策定支援を行うお考えはないか,お伺いいたします。 関連して,災害時に優先されるべき業務を非常時優先業務として選定し,それぞれの業務について,業務開始目標時間を設定する県政におけるBCPはいかようになっているか,危機管理監にお伺いいたします。 加えて,東京都では,平常時には防災学習施設のある都市公園として,災害発生時には首都圏広域の現地対策本部,広域支援部隊等のベースキャンプ,災害医療の支援基地として機能する東京臨海広域防災公園を指定しておりますが,総合グラウンド等を広域防災公園として整備されるおつもりはないか,お伺いいたします。 特に,地域防災計画における災害発生時のレベルフォーの非常体制では,全職員が一斉参集するわけでありますが,現実問題,危険も伴って居住地から参集すること自体が可能かどうか。第1配備,第2配備,現地機動班要員,自局の応急対策業務を行う特別配置職員と,さらに細かくシミュレーションすべきだと思いますが,危機管理監の御所見をお聞かせください。 また,今回の台風被害の中,一番タイムリーに災害情報が届いたのは,エリアメールであったという声があります。これは,気象庁が配信する緊急地震速報や地方公共団体が発信する災害避難情報などを受信することができる,NTTドコモの携帯電話向けサービスで,対象エリアにいる利用者に限定して配信されたものであります。携帯電話各社と県総合防災情報システムのリンクなど,災害情報の提供にさらなる工夫ができないか,危機管理監にお伺いいたします。 最後に,今回各避難所の備蓄ではラジオがなく,テレビ,パソコンが設置されておらず,情報が入ってこなかった,体育館等がそもそも浸水していて,プライバシーの問題もあるけれども,教室の2階以上を使えなかったのかという声もありますが,避難場所としての公立小中高校の問題点についてどのような御認識があるか。さらに,子供用の備蓄,最重要備蓄物資,すなわち水,食料,携帯トイレの重点配備に加えて,ソーラー発電機,携帯電話充電器,さらには消毒液等,避難所の備蓄のあり方についてどのような認識をお持ちで,今後どうしていくのか,御所見をお伺いいたします。 (知事) まず,児島湖流域の防災体制等についての御質問であります。 児島湖の管理体制の見直しについてでありますが,今回の台風第12号接近時においも,県ではあらかじめ干潮時に湖内の水位を下げるとともに,記録的な豪雨による水位の上昇に対しましては,外潮位を見きわめながら最大限の排水を行うなど,樋門操作は適切に行ったと考えております。一方,流域市町から要望のあった関係機関への情報伝達,連絡体制等の連携強化につきましては,重点的に取り組む必要があると考えておりまして,現在,児島湖の管理に関する連絡会において,流域市町とともに具体策の検討を行っているところであります。 市町等への要望についてでありますが,県では,今回のような浸水に対しましては,関係機関が連携し,それぞれの役割に応じた対策を講じるべきと考えておりまして,流域市町には,まずは内水排除に万全を期していただきたいと,このように考えております。また,国に対しましては,今回の台風による降雨と河川からの流入及び外潮位が湖内水位に与えた影響の検証と,児島湖の防災機能をさらに高める方策について早急に検討するよう,既に要請し,資料提供も行っているところでありまして,その結果が示された段階におきまして,県といたしましても必要な取り組みを行ってまいりたいと存じます。 県管理樋門の操作についてでありますが,児島湖周辺地域の県管理樋門につきましては,現時点では操作を原因とする被害は発生していないことから,管理に問題はなかったと考えておりますが,児島湖流域の浸水対策について,市町から相談があれば適切に対応してまいりたいと存じます。 旭川ダムの放流等についてのうち,潮位との関係等についてでありますが,御指摘の9月2日18時の干潮時に,締め切り堤防樋門の開門ができなかった際には,旭川ダムからは放流はしておらず,一方,9月3日のダム放流時には開門できたことから,ダムの放流により開門できなくなるほどの潮位への影響はないものと考えております。両ダムの洪水調節は,流入量と降雨の状況等から,必要量の放流を行うものでありまして,樋門の開閉と放流を連携させることはできないと考えております。 児島湖流域下水道浄化センターについてでありますが,日放流量を児島湖の水位に換算すれば,現時点で約1.3センチメートル,最終的な増設後で約3.2センチメートルとなりまして,水位への影響は差し引き約1.9センチメートルの上昇があると認識をいたしております。このたびの放流量増加は,下水への雨水の流入が主な原因でありますが,雨水の流入を防ぎましても,その雨水は河川等を通じまして児島湖へ流入するということでありますので,児島湖水位の低下にはつながらないものであります。一方,下水を適切に処理するという観点からは,雨水の流入を防ぐことが重要でありまして,流域の市町に対しまして,下水道の適切な管理運営を徹底するよう強く働きかけてまいりたいと存じます。 しゅんせつについてのうち,児島湖等についてでありますが,豪雨に先立って下げておける水位には,潮位の影響などにより限界があることから,児島湖の湖底を掘削しても洪水時の児島湖の水位を下げることにはつながらず,国に湖内のしゅんせつを求めることは考えておりません。児島湖に流入する県管理河川では,土砂が堆積し,河道が阻害されている箇所につきまして,しゅんせつを引き続き実施いたしますとともに,笹ケ瀬川や倉敷川では,河川整備計画において,堤防の整備が完了した後,河道の掘削を行い,流下能力の向上を図ることとしております。 都市近郊型の浸水対策についてでありますが,対策といたしましては,内水排除のための河川ポンプ等の整備や流出抑制のための雨水貯留施設の整備等が考えられますが,これらにつきましては,土地利用全体の中で検討,整備する必要がありまして,市町の主体的な取り組みが必要であります。今後,市町と連携をしながら,児島湖周辺の土地利用のあり方や浸水対策につきまして検討してまいりたいと存じます。 遊水地としての農地利用についてでありますが,お話の農地を緊急時の遊水地として活用することで,貯留機能を高めることは,減災対策の取り組みの一つではありますが,排水が難しい低平地という地形条件や,農作物への影響,農家,非農家を含めた地域全体での合意形成など,多くの課題が考えられますことから,今後,関係機関と児島湖流域の防災・減災対策のあり方について検討をする中で研究してまいりたいと存じます。 排水機能の現状等についてでありますが,児島湖流域には,県市が管理している多くの排水機場がありまして,一部には設置後50年を超え,老朽化により排水機能の低下が見られ,更新時期を迎えているものがあると認識しております。また,ポンプ車両は国が市町村の要請に応じて出動させているものでありまして,機動性が高いことから,一定の排水効果はあると考えております。県におきましても,今後,検討してまいりたいと存じます。 県では,岡山市南区と玉野市において,現在,排水機場の整備を進めているところでありますが,今後とも,役割分担に応じた浸水対策に取り組みますとともに,内水排除を担う市町が地域の排水計画を考える中で,排水機の更新や能力の増強等のお話があれば,協力あるいは助言をするなど,市町との連携を図りながら適切に排水機能の強化に努めてまいりたいと存じます。 海岸保全施設の現状等についてでありますが,16年の台風による高潮被害を踏まえて改訂いたしました岡山沿岸海岸保全基本計画に基づき整備を進めておりまして,児島湾内において対策が必要な14カ所のうち1カ所の整備を完了し,現在10カ所で事業を実施しております。また,津波を想定した対応につきましては,現在,国において検討が進められております新たな地震動等の想定及びこれに基づく基準等の見直しを踏まえまして,適切に対応してまいりたいと存じます。 締め切り堤防のかさ上げ等についてでありますが,お話の堤防かさ上げや排水ポンプの設置も含めまして,防災機能をさらに高める方策の検討を去る10月に国に対し要請し,検討に必要な降雨に関する資料等を提供しておりまして,今後,国の検討により排水ポンプの設置等についても方向性が示されるものと考えております。県といたしましては,その方向性を踏まえ,関係機関と連携し,児島湖流域の防災機能をさらに高めるよう必要な取り組みを行ってまいりたいと存じます。 次に,児島湖流域以外の防災体制についての御質問であります。 まず,民間企業等との協定締結についてでありますが,県では,これまで民間が所有するものも含め,津波避難ビルの指定を推進するよう沿岸市に助言してまいりました。このたびの東日本大震災や台風災害を受けまして,県内市町村にも高層の建物を一時避難施設として開放する協定を民間企業等と締結する動きがありまして,今後,県といたしましてもその意義や必要性を普及啓発するなどいたしまして,協定締結の取り組みが促進されるように支援してまいりたいと存じます。 BCPに関し,中小企業の支援についてでありますが,BCPについては,これまで県のホームページや産業振興財団の情報誌を活用いたしまして,その必要性の周知に努めているところでありますが,本年8月に実施いたしましたアンケート調査では,策定済み,または,策定中の企業は約5%にとどまっておりまして,このような状況を踏まえ,商工会議所,商工会等の支援機関と連携し,一層の周知を図りますとともに,具体的な策定支援につきまして,現在,検討を行っているところであります。 広域防災公園についてでありますが,県地域防災計画では,現在,大規模災害時の支援物資等の受け入れ候補地を,岡山空港,流通センター等としておりまして,広域防災拠点としての機能は,こうした施設を中心に確保してまいりたいと存じます。 なお,県総合グラウンドなど一定の広さを持つ公園は,既に広域避難所として指定されていることなどから,御指摘の広域防災拠点機能を有する公園として整備するということは,考えていないところであります。 避難所についてでありますが,学校を避難所とする際は,一層のバリアフリー化や避難所運営における学校と地元市町村との役割分担などの問題があると認識をいたしております。また,水や食糧,調製粉乳等は,目標数量を定めて確保に努めているところでありますが,その他の種類の物資の備蓄や学校などの各避難所への分散備蓄につきましては,今後その必要性や課題等につきまして,他県の状況も踏まえまして研究をしてまいりたいと存じます。 (危機管理監) 児島湖流域以外の防災対策についてのうち,まず県の業務のBCPについてでありますが,最も大きな被害を受ける大規模な地震を想定したBCPを作成することとしておりまして,現在,庁内関係各課等が選定いたしました災害時に優先して実施する非常時優先業務の取りまとめ等を行っているところであります。 なお,県のBCPにつきましては,地域防災計画を踏まえる必要がありますことから,防災計画の見直しと並行して,本年度末を目途に作成したいと考えております。 次に,災害発生時の体制についてでありますが,突然発生する地震の場合には,勤務課所の近くに居住する職員をあらかじめ緊急初動班員として指定し,迅速な対応を行いますとともに,道路状況等により,本来の勤務課所へ出勤ができない職員は,最寄りの県民局等へ参集することとしております。このような体制により,災害時の機動的な対応に努めておりますけれども,3連動地震による被害想定や今回の台風災害等を踏まえますと,今後,非常時の体制を見直す必要があると考えておりまして,そうした中でお話のシミュレーションや職員の参集訓練の実施等についても検討してまいりたいと存じます。 最後に,災害情報の提供についてでありますが,お話のエリアメールは,NTTドコモに加え,来年春からはau,ソフトバンクでも同様のサービスを開始する予定でありますが,これにより市町村では,県総合防災情報システムに加えまして,各携帯電話事業者ごとに避難情報等を入力することとなり,業務が煩雑になるなどの課題が生じるというふうに考えております。このため,来年度から着手することとしております県総合防災情報システムの再構築の作業の中で,各携帯電話事業者を含め,さまざまなメディアと連携し,一層効率的かつ迅速に災害情報を県民に提供できる方策を検討してまいりたいと存じます。 (農林水産部長) 児島湖流域の防災体制等についてのうち,湖内の水位についてでありますが,台風の接近が予測されるなど,豪雨により児島湖の水位が異常に上昇するおそれがある場合に,あらかじめ湖内の水位を下げておくことは,大変重要であると考えておりまして,水利関係者等の理解のもと,弾力的に水位を事前に下げる対応を行っているところであります。今後とも,潮位による制約はありますが,大雨等が予想される場合には,事前の樋門操作により湖内水位を下げるよう努めてまいりたいと存じます。 次に,土捨て場についてでありますが,お話の場所は国営事業によるしゅんせつ土を活用し,児島湖内の水流を改善するため,締め切り堤防護岸の一部として整備されたもので,県が国から管理を受託しているところであります。土捨て場の利用については,管理者である県から岡山市等関係機関に対し照会を行いましたが,利用計画がなく,現在に至っており,今後,自治体等から相談があれば,所有者であります国の意見も聞きながら適切に対応してまいりたいと存じます。 次に,西南側地区の整備方針についてでありますが,郡漁港については,7月に管理者である岡山市に対し,早急に整備するよう申し入れを行ったところでありますが,現時点では具体的な整備計画は決まっていないと聞いております。また,民有護岸の整備につきましては,所有者が行うものでありまして,相談があれば必要な指導,助言を行ってまいりたいと存じます。 (土木部長) 児島湖流域の防災体制等についてのうち,旭川ダムの放流等のうちの制限水位の見直しについてでございますが,旭川ダムの制限水位より下には,水道やかんがい用水等がためられており,10年に1回程度の渇水の際にも利水が確保できるよう定めたものでありますので,制限水位を見直すことは,こうした利水容量を削減することになりますため,考えていないところでございます。 続きまして,放流時の周知につきましてでありますが,旭川ダムでは放流開始時及び放流量が一定に達すると予想されるたびに,警報車による通知と警報局サイレン吹鳴を事前に実施するとともに,岡山市が関係町内会長等に連絡を行っているところであります。また,サイレンについては,その内容の説明看板を河川堤防等に設置しておりますが,放流時の周知方法を含め,毎年洪水期前に実施する関係町内会長等も参加する連絡会議において,チラシ配布を依頼するとともに,県のホームページも活用するなど,さらなる周知に努めてまいりたいと存じます。 続きまして,しゅんせつのうちの周辺市町との連携についてでありますが,河川管理者が行うしゅんせつは,堆積物により流下能力が低下し,治水安全上緊急性を有する箇所から実施しているところでありまして,御指摘の箇所につきましては,今後,そのような箇所でのしゅんせつが必要となった場合には,周辺市町と連携し,適切に対応してまいりたいと存じます。 次に,児島湖流域の防災体制等についてのうちの雨水処理についてでありますが,岡山市内で現在雨水処理を計画している区域は,5,700ヘクタールであり,そのうち約2,400ヘクタールの整備を終えており,合流式の約900ヘクタールは,旭西浄化センターで受け入れ,分流式の約1,500ヘクタールはポンプ等で河川に排水しております。雨水の流入で旭西センターの受け入れ量が増加しても,児島湖流域下水道浄化センターへは,晴天時の汚水量に相当する量を送っており,流域下水道センターの受け入れ量は増加しないこととなっております。旭西センターは,処理区域に比べ雨水の処理能力が低いことから,市に対し施設の増強については働きかけてまいりたいと存じます。 都市型水害につきましては,岡山市中心部は戦後の復興期にそのほとんどが市街化され,保水力の低下はその時点からの課題であります。既設の施設に対する貯留施設の整備は,困難な面もございますが,新たに整備される大規模な施設に対しましては,岡山市,倉敷市において補助制度を設け,企業に対し設置を促しているところであります。 <平成23年6月定例会>(2011年6月24日) (佐藤) 次に,具体的に地域を絞ってお伺いさせていただきます。 まずは,1959年に,国営児島湾沿岸農業水利事業として完成した児島湾締め切り堤防についてでありますが,長さは1,558メートル,国から委託を受けて岡山県が維持管理しております。岡山海岸保全事業として締め切り堤防一連の施設が改修はされましたが,そもそも厚さ15メートルから20メートルに達する軟弱な海性粘土層に築造されているため,構造物としては必ずしも強固なものであるとは言えません。そして,児島湾締め切り堤防上の道路は,御案内のとおり,路線バスを除く大型車両の通行はいまだに禁止され,これにかわる道路として,児島湾大橋が1983年に完成しております。私は,地震により液状化して崩壊した児島湾締め切り堤防を津波が破壊して,笹ケ瀬川,倉敷川を海水が逆流するというのが想定できる最悪の事態だというふうに思いますが,端的に国の施設である児島湾締め切り堤防は大丈夫なのか。国に対して安全性の確認,強化を強く求めるべきだと思いますが,お考えをお聞かせください。 関連して,児島湾締め切り堤防で遮られた児島湖内部で,なぜか締め切り堤防西南側の地区だけ堤防がございません。言うまでもなく,背後地は県が分譲する住宅街でありますが,児島湾にいわば排水ができない事態が想定される場合の児島湖の水位の調整も含めて,地域の安全の確保についてお伺いをいたします。 加えて,児島湖に流れ込む倉敷川や笹ケ瀬川について,河川行政からいえば,本来は堤防等の整備というのは,河口部からというのが一般的でございますが,笹ケ瀬川については,足守川との合流点以南について,老朽化した脆弱な堤防になっております。今後の整備方針についてお知らせください。 次に,私は航空産業学習,航空産業拠点としての岡南飛行場の可能性を信じている者ですが,意外にこの岡南飛行場の潜在能力が認識されていないように思います。特に,小型機専用飛行場にシフトしていくと思われた近隣の広島西飛行場も,この5月に広島県知事と広島市長が会談し,県が提案するヘリポート化を市が受け入れて,廃港が決定。今後は,2012年10月を目途に,県と市が共同でヘリポート運営を行うとされております。ある意味,中国地方における岡南飛行場の役割がどんどん大きくなっていると思いますが,知事の御認識をお知らせください。また,バブル経済の崩壊の中で,岡南飛行場が残された背景には,岡山県航空協会さん初めスカイパーク構想を掲げた大きな運動がございました。当時の第4次岡山県総合福祉計画では,「今後の小型航空機の需要の増大に対処するため,小型機専用飛行場として,駐機場,格納庫などの整備を図るとともに,広く県民が飛行機に親しめるよう施設整備を進める。また,操縦士,整備士の養成基地として充実を図る」と,計画されております。改めて岡南飛行場が残された理由が,今どのように生かされているのか,今後生かしていくのか,あわせてお伺いいたします。 ところで,2009年度は,管理運営に係る収支で1億8,600万円もの赤字を計上した岡南飛行場について,平成23年2月定例県議会で,知事は,「今後とも,効率的な管理運営に努めて,格納庫用地等への立地促進に積極的に取り組むとともに,小型機専用飛行場ならではの特色を生かしたにぎわいを創出して,岡南飛行場の活性化を図る」と答弁されました。この小型機専用飛行場ならではの特色を生かしたにぎわいの創出についてでありますが,開港から満20周年を迎えた岡山空港開港20周年記念祭が開催されたときも,同じ20周年の岡南飛行場は黙殺されました。地域や関係者が一体となって,そろそろ岡南飛行場にスポットライトを当てる催しを開催すべきだと思いますが,知事のお考えをお知らせください。 ところで,1785年,岡山城下の京橋から滑空し,まさに日本で初めて空を飛んだとされる浮田幸吉,その名も「鳥人幸吉」は,岡南飛行場対岸の備前国児島郡八浜の出身でございます。言ってみれば,世界で初めて飛行機で空を飛んだというのが,岡山県人ということでございますが,1997年には,所払いされていましたが,旧岡山藩主池田家当主池田隆政様より岡山所払いは許されております。今の岡山の子供たちに,郷土の偉人「鳥人幸吉」の魂を施策として生かすことができないか。また,岡南飛行場あるいは岡山空港の愛称を「鳥人幸吉飛行場」,あるいは「鳥人幸吉空港」として,航空産業の成果物の展示や幸吉の資料などを展示・顕彰し,空に向かう岡山県の勢いをアピールしてはどうかと考えますが,あわせて県民生活部長の御所見をお伺いします。 (知事) これに関し,地域の安全確保についてでありますが,児島湖は,干拓農地の水源としての役割を有しておりますため,湖内を一定の水位に保つ必要がありますが,洪水が予測される場合におきましては,あらかじめ干潮時に締め切り堤防の樋門操作によって,児島湖の水位を下げるなど,適切な排水管理に努めているところであります。 また,干拓地の浸水対策として,岡山沿岸海岸保全基本計画に基づきました堤防の整備や排水機場の設置を進めているところでありますが,お話の場所は,岡山市が管理する郡漁港区域内に位置し,同計画に基づいて岡山市において海岸保全施設を整備することとされていることから,岡山市に対して整備の促進を申し入れてまいりたいと存じます。 笹ケ瀬川の整備方針についてでありますが,20年に河川整備計画を策定し,現在最も流下能力が低い足守川合流点から上流の白石橋までの約2キロメートル区間の整備を重点的に行っているところでありまして,お話の足守川合流点から下流の笹ケ瀬橋までの堤防整備につきましては,現在実施中の区間の進捗状況を踏まえまして検討してまいりたいと存じます。 次に,岡南飛行場等についての御質問であります。 まず,役割の認識等についてでありますが,広島西飛行場の廃港によりまして,中四国地方で唯一の小型機専用飛行場となることから,その拠点性はさらに高まるものと期待をいたしております。第4次県総合福祉計画に掲げられていた施設整備の方針は,その後,行財政改革によりまして,一部を見直した上で,駐機場やターミナルビル等を整備したところでありまして,現在,公用ヘリコプターや航空事業者など,10団体が立地をし,防災,訓練,撮影,遊覧など,幅広く利用されているところであります。今後,小型機専用飛行場としての活性化を図っていくため,引き続き利用促進に努めますとともに,格納庫用地等への立地促進に取り組んでまいりたいと存じます。 スポットライトを当てる催しについてでありますが,岡南飛行場の特色を生かしたにぎわいを創出するためには,駐機している多彩な小型航空機等を身近に感じることのできる催しなどによりまして,多くの県民に飛行場を訪れていただくということが大切であると考えております。このため,今年度,子供からお年寄りまでが気軽に参加し,航空機と触れ合えるイベントを立地事業者や地元町内会等と連携して開催することとしておりまして,今後もこうした取り組み等によりまして,飛行場の活性化に努めてまいりたいと存じます。 (県民生活部長) まず,岡南飛行場等に関しまして,鳥人幸吉の活用についてでありますけども,空を飛ぶことに生涯をかけた郷土の偉人である幸吉の精神は,子供たちのチャレンジ精神をはぐくむことにつながることから,これまでも国民文化祭を機に,幸吉など岡山ゆかりの先人100人を紹介した冊子を作成し,すべての小・中学校に配布するなど,その偉業を紹介しているところであります。幸吉の名を空港の愛称にとの御提案につきましては,岡南飛行場と岡山空港の名称は,昭和63年に新しく岡山空港が開港して以来利用者に定着し,地域になじんでいることから,引き続きこの名称を使用してまいりたいと存じます。また,展示・顕彰等につきましては,空港をアピールする有効な一つの方法と考えられることから,空の日のイベント等の機会をとらえ,広く紹介してまいりたいと存じます。 (佐藤) だんだん4期目になりますと,登壇回数も限られてくるということがありまして,登壇したら早口でべらべら質問してしまいますことを,まずもっておわび申し上げたいと思います。 その中で,2つの再質問と2つの要望をさせていただきたいと思いますが,1つは,これは要望でございますが,児島湖のほうの,これは国に対して言っていただけるということでありますが,樋門の管理については,これは県の管理ということでございますが,先ほど知事おっしゃられたように,干潮時には下げるんだと,これは当たり前のことなんですが,それだけではなくて,例えば集中豪雨が発生するぞということも,今わかる。そしてまた,県北のほうで大きな雨が降れば,これは例えば旭川ダム放流したら数時間後に児島湖のほうはいっぱいになるわけでありますから,そこら辺のメカニズムというのをきっちりと全部連携しながら,干潮時に流しゃあえんじゃというもんじゃなくて,干潮時でなくても流さなくてはいけない,児島湖のほうから児島湾に水を出さなくてはいけない場面もあるんだというふうに,ぜひこれは臨機応変に対応していただければと思います。 それからもう一つ,内尾のことでございますが,内尾グラウンドについては,理解をもらったということでございますが,問題はこれから発生するということでございまして,まだ県民の皆様もこの内尾グラウンドがメガソーラーの誘致の場所になっているということを,実はまだ十分に御存じない。こうした状況の中で,これから子供会連合会等のソフトボール大会が始まってくる中で,何とここにメガソーラーを誘致するのかという話が,これから出てくるということでございますから,それをやられるのであれば,よほど理解いただくために御努力いただかなくてはいけないということで,その点はよろしくお願いいたします。 お伺いしたいことは,2つでございますが,1つは,ちょっと答弁漏れというわけではないんですが,私が申し上げたかったのは,1つには,避難路が決められていない。要は,避難ルートが決まっていないということで,例えば東南海・南海沖地震が起きた,そして2時間から2時間半後に,2メートルから3メートルの津波が岡山を襲いましたといったときに,じゃあ県南の人間が県北に逃げようでとなったときに,どの道を通って逃げるんですかということすら,実は決まっていない。交通渋滞の中で,津波から逃げられない可能性すらあるということで,私たちは避難ルート,避難路の確保すらを認識していないということでございますが,このことはぜひやっていただきたいと思いますが,その中で知事がおっしゃられた中央構造線については,メカニズムが違うので,これはシミュレーションは別ですとおっしゃられましたが,要はシミュレーションされるのかされないのか,このことについてお伺いしたいのが1つ。 そして,県庁の耐震化構造と,私は実は林原さんの土地の問題というのは絡んでいるというふうに思っておるんですが,先ほどおっしゃられたように,30年たったこと,後のことはようわからんなということではあるんですが,私まだ子供が10歳でございまして,子育て世代とすれば,30年後ぐらいなら当然責任は負わにゃあいけんと,わかってやらにゃあいけんということでありまして,その中で,例えば引き合いとしては吉備中央町の吉備高原都市を県庁移転先に出しましたが,しかし考えによれば,例えば林原の跡地,このところを例えば県庁をここに移転する,あるいは市役所がどうなるかわかりませんけれども,いわゆる道州制ということで,本当に我々が州都を目指すんだと,そうした思いがあるのならば,林原のあの場所に州政府を誘致するんだと,そのぐらいのやはり夢を描いていただきたいし,また,国会議員の先生方にも,ぜひこれは政府の機関であったり,あるいは国際機関,こうしたものが林原のあの場所に来るんだと,そのためにこの林原を使っていこうというふうなことで,長い目で考えていただきたいということで,目先,今はとりあえずここは耐震化構造せにゃあいけんぞということは,30年間はここに県庁があり続けるということでありますが,そうではなくて,岡山県のグランドデザインや岡山市のグランドデザインを描く中で,何をやりたいのか。場合によっては,この岡山県庁がここにあることによって岡山市の未来を阻害する可能性すらあるということでありますから,そうした意味では,まさに耐震化構造が必要なのはもちろん当たり前のことなんですけども,ただここを何のために今後使っていくかという大前提,グランドデザインの中で描いていただきたい。先ほどは,吉備高原都市ということを申し上げましたが,林原も私は一つの移転先の候補地であるということだとすれば,市のほうから何か言われるまで,県とすれば待っておりますというのではなくて,やはり政治的な御判断でどんどんこういう場面では,国も県も市も一体となって動いていただきたい,そのことについての御認識をお伺いしたいと思います。 <平成19年12月定例会>(2007年12月12日) (佐藤) 次に,岡南飛行場についてお伺いいたします。 私は,岡南飛行場について,この議場で提言させていただいたのは平成13年の2月定例会ですが,実は会議録を読み返しますと,驚くべきことに,平成13年以来この議場で岡南飛行場という言葉すら発せられておりません。昭和63年,岡山空港が開港し,そちらの方は20周年のお祝いが言われますが,実は岡南飛行場も同じ20周年で,これからの施策次第では,岡山の誇りになり得るんだということを本日は申し上げたいと思います。 岡南飛行場は,平成4年に国から小型航空機の拠点飛行場の第1号として認定され,エプロンの拡張整備もなされ,定期旅客便はございませんけれども,小型航空機の基地として,貨物輸送,遊覧飛行,撮影宣伝飛行などが行われており,近年は小型ビジネスジェット機の運航整備基地として注目を集めております。ある意味,全国でもこれだけの潜在能力があって自由度が高い飛行場はそうそうなく,他県の航空関係者からすれば,まさに岡山は宝の持ち腐れになるのではないかといった状況に見えるようです。 また,この地で操業されて株式公開を目指すまで成長された整備会社の社長さんの思いで,少しでも飛行機やヘリコプターを身近に感じてほしいと,随時整備場の見学もできるため,土曜,日曜には家族連れやカップルの人気スポットにもなっています。私も,地域の方とここで青空市をやりたいもんだなという構想を持っておりますけれども,多くの野鳥が飛来する阿部池や,先日,森先生からありましたように,DOWAホールディングスさんを中心にした児島湖花回廊プロジェクトもあって,今後,桜や自然観賞の拠点になっていくかもしれません。もともとはスカイパーク岡山構想という夢があって,日応寺の岡山空港ができた後も,あえて浦安の旧岡山空港を残して岡南飛行場としたわけでございますが,笠岡ふれあい空港も加えて,こうした空港が3つもある岡山県の優位性をいかに生かしていくかは,岡山の夢そのものだと私は思います。もちろん,来年のサミットを控えて,テロ対策の強化も必要ですし,岡南飛行場は住宅街が広がる地域との兼ね合いで,午後6時30分までしか使えない,そういった制限もあり,ヘリコプターの低空飛行やタッチ・アンド・ゴーの過度の繰り返し,これは避けなくてはいけませんけれども,一方で,旧広島空港である広島西飛行場もコミューター定期便に動きがあって,小型機専用飛行場にシフトしていくとすれば,わずか十数分の距離など,直接のライバルとこれをみなすべきで,うかうかしておれません。あえて言えば,岡山空港は広島空港を,岡南飛行場は広島西飛行場をライバルとみなして競争していく必要がありますが,まずもって知事の現在の岡南飛行場への認識をお知らせください。 私は,岡山空港よりもはるか近くに飛行機やヘリコプターに接することができる岡南飛行場は,子供たちに大空への夢を描くきっかけになるには抜群の環境と言えると思います。高校生や大学生が航空機の整備について体験ができて,例えば小学校1年生の私の息子が──鉄ちゃんでございますが──鉄道マニアとして新幹線の運転手になりたい,そのように言うように,世界をまたにかけるパイロットや整備士になりたいと願う子供がたくさん出てくればよいと思います。加えて,岡山に集積する航空産業の拠点にもなり得ます。こうした航空産業学習,航空産業拠点としての岡南飛行場の可能性について,御所見をお聞かせください。 また,地域との連携による青空市の開催や飛行場でのレストラン経営など,活性化に向けたさまざまな可能性について,今総合的に考える協議会,研究会の設置も必要だと考えますが,いかがでしょうか。 加えて,今後導入が予定される消防防災ヘリコプターについては,県警ヘリコプターの「わしゅう」や岡山市消防ヘリコプター「ももたろう」──現在岡南飛行場におりますが──この兼ね合いから,リスク分散という考えもあるのかもしれませんが,山の中で霧が発生しやすい岡山空港よりも,平地から直ちに飛び立てる岡南飛行場の方がこうした航空防災拠点に向くと私は思いますが,今後の方向も含めてお知らせください。 これに関連しまして,今後整備される警察署等の公共施設や,また県民局や支局,さらには民間ビルの屋上等には,防災・救援拠点として消防防災ヘリコプターの離着陸が可能なようにするのが,私はこれはもう時代の趨勢だと考えますが,離着陸場の整備状況と今後の方向について,総務部長にお尋ねいたします。 ところで,先般,この質問のためもありまして,岡南飛行場から私は自家用のヘリコプターに乗せていただきまして,瀬戸内海の島々の上を旋回いたしました。とりわけ,アートプロジェクトが進む直島や犬島の上空を旋回するにつけて,これが世界標準なんだというものを思い知らされた気がします。私たちのふるさとの景色,ふるさとの海が,日本初の国立公園に指定されたのもむべなるかなという,世界有数の景色であることを実感いたしました。 一方で,この岡南飛行場も,この海にも通じているはずなのに,いわゆる海洋レジャー等と連携できる潜在能力があるのに,それを十分に生かし切れてもいないなあというふうにも感じました。例えば,一流のプロ野球選手やサッカー選手が物事を真横に見ながら,脳の中でそれを置きかえて,鳥のように俯瞰する能力があるからこそ,的確に動けるのではないかと私は考えるのですが,それはこうした俯瞰する目というのは,一流の経営者や政治家にも絶対に必要な能力なのかもしれません。 知事は,瀬戸内海をクルージングされたり,空からゆっくりと瀬戸内の景色を眺められたことがおありでしょうか。そのとき何を感じられたでしょうか,お伺いいたします。 特に,知事の提唱される中四国州を考えながら,今は中国と四国の境になっている瀬戸内海を見たとき,この海を,空をどう考えるのか思いをめぐらせると,交通の結節点という中に,岡山をいかに中四国州における海と空の結節点にするかということが重要であると私は思います。陸だけではなくて,海,空についても中四国州の拠点となるよう,県内の港湾,空港の機能強化や,中四国地域との連携のあり方についてお伺いいたします。 あわせて,中四国海・空の連絡会議のようなものの設置を考えたらいかがでしょうか,お考えをお知らせください。 加えて,かような可能性がある岡南飛行場について,我々はこれを「こうなん」と読めるわけですけれども,残念ながら県外の方には「こうなん」となかなか読むことができません。この飛行場という言い方は,空港と運用形態が異なるので,これはもう理解できるにしても,いかにもこれでは自己完結のスケールの飛行場になってしまいます。コウノトリ但馬空港,たんちょう釧路空港,高知龍馬空港といった愛称もございますし,ここで思い切って20周年で公募をかけて,例えばスカイパーク瀬戸内といったような夢のある愛称をつくるか,あるいはネーミングライツによる名称変更を考えたらいかがでしょうか,御所見をお聞かせください。 関連して,岡山空港についてもお伺いいたします。 このたびの将来の定期路線化の夢につながる香港への定期チャーター便の就航を心から歓迎するものでありますが,岡山空港では,平成16年からビジネスジェット基地化構想が推進されており,格納庫の民間企業への貸し付けがことしの5月からもう既に始まっております。ビジネスジェット機の飛来は,着陸料,停留料,収入の増大のみならず,地元企業への経済波及効果を及ぼすことになり,私は,先ほどの岡南飛行場のあり方とも相まって,岡山空港の活用策として,また地場航空産業の振興のためにも,まことに時宜を得た施策であるというふうに思います。 しかし,格納庫が小さくて,2機目の大型ビジネス機が岡山空港に飛来した場合,格納庫には1機しか入らないため,1機は必ずスポットに駐機しなくてはならない,そういった状況になっております。しかしながら,現状のこのスポットの運用では十分に対応し切れず,先ほど申し上げた岡山県の施策の信用問題にもなりかねない状況になっております。抜本的な対応策が必要になっておりますが,知事の御所見をお聞かせください。 (知事) 次に,岡南飛行場についてであります。 まず,現在の認識でありますが,岡山空港の開港にあわせまして,岡山空港は大型機を中心とした定期便等に,岡南飛行場は小型機による不定期の航空輸送や訓練等に使用するという機能分担を行ったところであります。現在,岡南飛行場には,小型機エプロンを67スポット整備をしておりまして,県警察本部や岡山市消防局を含め,航空事業者など9者が立地いたしますとともに,年間着陸回数も6,000回を超えるなど,西日本では有数の小型機専用飛行場になっているところであります。今後とも,格納庫用地への航空事業者の誘致などに積極的に取り組み,岡南飛行場の一層の活性化に努めてまいりたいと思います。 航空産業の拠点等の可能性でありますが,小型機の専用飛行場として利用促進に努めてまいりました結果,現在39機が常駐しておりまして,これに伴い,航空機の整備等の事業も拡大してきているところであります。また,県内では,航空機部品を製造する企業も育ってきております。こうしたことから,航空学習や航空産業の拠点としての岡南飛行場の可能性につきましては,これは一つの御提案と考えておりますので,今後,研究をさせていただきたいと存じます。 また,活性化に向けたさまざまな可能性の検討でありますが,現在,岡南飛行場の運営に関しまして,航空事業者を初めとした関係の皆様との連絡会議を定期的に開催しているところでありまして,こうした場も活用しながら検討してまいりたいと思います。 航空防災拠点についてでありますが,現在,消防防災ヘリを早期に導入する方向で,鋭意検討しているところであります。消防防災ヘリの運航基地となる航空防災拠点につきましては,既存施設の活用や航空法上の手続等から,岡山空港と岡南飛行場が考えられるところでありますが,全県的な防災力の強化を図るという基本的な視点に立って,災害時のリスク管理や経済性並びに気象条件や地理的条件など,さまざまな観点から,最も適切な場所の検討を現在進めているところであります。 瀬戸内の景色でありますが,私も飛行機あるいはヘリコプターで上空から見たことがございますが,眼下に広がる大パノラマの両側に横たわる本州と四国,そして,その間できらめく瀬戸内海の中に,瀬戸大橋と多数の島々が見え,その美しい環境を維持していくということの必要性を感じますとともに,一衣帯水の関係とも言えます中四国の連携の意義につきましても思いをいたしたところでございます。 いずれにいたしましても,全体像を俯瞰し状況を把握するということは,的確な判断のために必要であり,また視点を変えて考えるということは,新たな発想を得るためには大切なことであると考えております。 海と空の結節点等でありますが,中四国州を見据えたとき,世界に誇り得る共有の財産である瀬戸内海を活用するということは大きなテーマであり,その中で本県といたしましては,陸上交通の優位性を生かしながら,瀬戸内海から中四国,さらには海外に広がる陸・海・空の総合的な結節点となるということを目指し,県内の港湾,空港の拠点性を高めていくということが重要と考えております。 このため,水島港を初めとする港湾施設の基盤整備や岡山空港の利便性の向上を進めるなど,広域的な人・物の流れやニーズに対応いたしました施設面での機能強化と,航路・空路の拡充,近県からの利用促進に努めますとともに,関係県と連携いたしました海外からの観光客の誘致等にも取り組んでいるところであります。 御提案いただきました中四国海・空連絡会議の設置ということにつきましては,先ほど申し上げました観光客の誘致等の取り組みの強化,あるいは中四国サミットの場の活用等によって対応してまいりたいと存じます。 愛称等についてでありますが,お話のように,愛称を持つ地方空港があることは承知いたしておりますが,岡南飛行場の名称は,昭和63年の岡山空港開港に伴い変更して以来,利用者に定着してきているとともに,飛行場周辺の通称である岡南というこの名は,橋や公民館などの公共施設や民間商業施設等の名称に幅広く使われているなど,地域になじんだものとなっていると思います。このため,ネーミングライツを含めまして,岡南飛行場の名称を変更することは考えておりません。 岡山空港についてでありますが,遊休施設でありました格納庫を活用するため,ビジネスジェットを誘致し,本年5月から利用が始まっております。岡山空港のスポットにつきましては,北京−大連線や香港へのチャーター便など,利用航空機が増加する中で,定期便を優先した運用を行っているところでありまして,お話のビジネスジェットの格納庫外での駐機に関しましては,空港の管理運営上一定の制限があるのはやむを得ないものと考えております。 いずれにいたしましても,岡山空港の利用は,このビジネスジェットを含めまして,引き続き増大すると見込まれているということから,今後の空港施設整備につきまして,現在,関係者で委員会を設けて協議中でありまして,スポットの増設等につきましても,この委員会の中で検討してまいりたいと存じます。 (総務部長) ヘリコプターの離発着場についてでありますが,大規模災害時等において,空からの救出・救助活動は大変有効と考えており,ヘリの離発着場の確保は重要と認識いたしております。現在,県内で大規模災害時等に離発着できる常設及び緊急離着陸場は,建物の屋上8カ所も含め,433カ所となっておりますが,今後とも,県内消防本部等と連携し,屋上施設を含めて,できる限り多くの離着陸場の確保に努めてまいりたいと存じます。 <平成13年2月定例会>(2001年3月8日) (佐藤) 次に,岡南飛行場についてお伺いいたします。 昭和63年3月の岡山空港開港に伴い,小型機専用の飛行場として生まれ変わった岡南飛行場は,管制圏または情報圏を持たない飛行場での対空通信情報提供や気象情報提供などユニークな運営が全国から注目されています。平成4年に国から小型航空機の拠点飛行場──ゼネラルアビエーション空港の第1号として認定され,現在はエプロンの拡張整備が進んでいるわけですが,この開発事業は地元・地域の経済,産業,文化と我が国の航空振興に役立つ機能整備が図られています。 とりわけ,地元岡山市民にとってはある種のせつなさや懐かしさが込み上げてくるのがこの飛行場です。また,現在は,県警や消防のヘリコプターの発進基地になっている頼りになる飛行場です。今回は,時代の荒波を生き残り,さらにハード面が整備されつつあるこの愛すべき岡南飛行場の有効活用といった観点から,知事及び土木部長に質問をさせていただきます。 まず,岡南飛行場拡張整備事業第1期の供用開始はおおむねいつごろからと認識させていただいたらよろしいのでしょうか。 また,今後の岡南飛行場の利用促進を図るため,地元住民,航空関係者,行政関係者等いろいろな方々の意見を聞く場を設けてはいかがでしょうか。 次に,エプロン拡張に伴ういわゆる利用促進のポートセールスですが,とりわけ,例えば八尾空港からの行き来を考えると,高松空港,広島西飛行場との関連が問題になりますが,岡南飛行場の整備,サービス強化を含め,どのような対策をお持ちでしょうか。 さらに,管制塔からの対空通信情報提供は岡南飛行場の特徴ではありますが,一方,不規則飛行の指導など,航空交通の安全はどのように確保されるのでしょうか,対策をお知らせください。 この項最後に,夜間照明設備のない岡南飛行場は夜間駐機受け入れができません。冬場なら午後4時30分,夏場でも午後6時30分が限界とされています。そこで,岡山空港で小型航空機の夜間駐機受け入れが行えないでしょうか。 (知事) 次に,岡南飛行場でございます。 利用促進についてでございますが,岡南飛行場は,全国でも数少ない小型航空機の拠点飛行場として整備を進めているものでありまして,来年度は新たなエプロンなども供用されることから,今後,岡南飛行場の利用促進を図るために,航空関係者はもちろんのこと,地元などの関係する方々からの御意見も参考にしながら,多くの方々に利用しやすい飛行場の運営方法というものを検討してまいりたいと存じます。 (土木部長) 岡南飛行場の供用開始についてのお尋ねでございますが,岡南飛行場では,現在,エプロンの拡張や誘導路の増設及び航空灯火の整備などを進めており,それらの工事も最終段階を迎えております。平成13年度は,航空法上の検査を受け,その後の諸手続を経て,平成13年8月から9月にかけての供用開始ができるよう国との協議を重ねているところでございます。 次に,ポートセールスについてでございますが,整備の面では,駐機スペースの拡充はもちろんのこと,格納庫用地も個人向けから企業向けまでさまざまなニーズに対応することにしております。また,サービス面では,類似飛行場にはない施設として,共同スペースを設け機体の清掃や始業点検に利用していただくことにしております。今後,これらの特徴を生かしたポートセールスを展開していきたいと考えております。 次に,航空交通の安全についてでございますが,現在,岡南飛行場では対空通信や気象などの航空機の安全な運航に欠かせない情報を提供しているところでございます。また,航空機が離着陸する際にも所定の経路の遵守を促し,安全性の向上に努めているところでございます。しかしながら,所定の経路を逸脱した飛行が行われることもあるため,より確認しやすい目標物を定めることや不規則飛行を行う者に対して効果的な指導方法の検討を行っているところでございます。 最後に,岡山空港への小型航空機の夜間駐機の受け入れについてでございますが,新空港を開港する際に,定期航空の安全確保の観点から岡南飛行場を小型機専用飛行場として存続させ,岡山空港との機能分担を図ることとしたものであります。したがって,岡山空港への小型航空機の夜間駐機につきましては,緊急かつやむを得ない場合に限って受け入れているものでありまして,御理解を賜りたいと思います。 | ||
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