過去の岡山県議会一般質問集 <国際交流>篇 | ||
<平成25年11月定例会>(2013年12月10日)
(佐藤) まさに,予算編成期真っただ中ということで,1月15日ごろに来年度予算がもう内示されてしまうと,なかなかそこから議会として動かすのは難しいぞということになるわけでございますが,ぜひとも特に削減されるような関係の団体の方には十分な伝達というか,こういう方向がありますとかということは事前に,あるいは予算発表同時に示していただきたいなということは要望させていただきたいと思います。 そして,それに関連して今議会で,これは所属委員会にかかわることでございますので教育長にはお伺いいたしません。有識者会議の報告書を受けて,非常に厳しい補助金カット案が当局から示されたことから,岡山県の教育再生の一翼を担う社会教育関係団体,県子供会連合会,県婦人協議会,県PTA連合会,日本ボーイスカウト岡山連盟,ガールスカウト日本連盟岡山県支部,県青年団協議会の方々から,知事,教育長,渡辺議長宛てにその見直しの要望書等が提出をされました。今回の削減理由は,そもそも少額である,そして各団体の自立を促して,加えてNPO等他団体との差別化ができないというものなんですけれども,私はちょっと不思議だなあというふうに思いました。それぞれが県と極めて良好な関係にあって,社会教育法に基づく団体であったり,世界組織,全国組織であったり,数十年以上の誇るべき歴史があって,むしろ国体や国民文化祭のときには県事業を補完すべく県のほうが協力をお願いしてきたこともあります。差別化ができないほどむしろNPOが育ってきているのであれば,むしろそのほうの支援を強化すりゃあいいじゃないかというふうに思うわけであります。何よりも,民間の発想として,こうして今,教育再生が言われてる中で,むしろNPO等を含めた社会教育関係団体との連携強化のほうを私は考えます。私の発想はむしろ真逆なんですけれども,例えば本会議でもたびたび指摘させていただいておりますが,県生涯学習センター,これは人件費でいうと教育庁から20人で約1億円,指定管理者は17人で3,000万円。せっかく指定管理者制度を導入しているのに,二重行政の感は否めないところがあるんですが,今春オープンの人と科学の未来館サイピアも本当に頑張ってはくれているんですが,残念ながら県生涯学習センター全体として見たときに,先ほど来出ている社会教育や生涯学習拠点としてのセンター機能を十分に生かせてないんじゃないかという気がいたします。特に来年,これは岡山市との中でも協議になっている,開催されるユネスコの世界会議は,岡山ではまさに公民館活動が大きなテーマになるにもかかわらず,県の生涯学習センターが県内の公民館の十分なセンター機能が果たせていないんじゃないか,そのことから全県的な広がりを欠いてるような気がしてなりません。 むしろ,ここからは提案なんですが,私は先ほど申し上げた社会教育関係団体やNPO等にはこれを削減する方向にかかるんではなくて,その県の事務局を県の生涯学習センターに設置していただく,それを集結していく。特に,岡山県のNPOが元気なのは,総合福祉・ボランティア・NPO会館,きらめきプラザ内のゆうあいセンターにNPOが集結できる場所があるのも私は大きな理由だというふうに思うんですが,県生涯学習センターにむしろこうした社会教育関係団体を集結して,岡山県の社会教育の充実のために県や県教育委員会といつでもスクラムが組める状態にすべきじゃないかと,そのことを強く思うところであります。ましてや,国際連合教育科学文化機関,ユネスコの国際会議が来年,来るわけでありますから,世界的な社会教育関係団体であるユネスコの日本の事務局,あえて言えば日本支部でありますが,ユネスコの日本支部を県生涯学習センター内に置くぐらい,そのぐらいの勢いがあってもいいんじゃないですかと思います。具体的に,県生涯学習センターに対する現在の評価と先ほど述べた社会教育関係団体のメッカにすることについての感想について,お考えをお知らせください。 ところで,岡山県生涯学習センター同様,岡山県男女共同参画推進センター,岡山県動物愛護センター,岡山県環境保健センターなど,センターと名のつく施設が岡山市内には幾つかあります。時に,政令指定都市になった岡山市においては一部同様の施設があって,これはもう二重行政じゃないかというそしりを受けることもあるんですが,およそセンターと名がつく限りはそこが岡山県のセンターであり,27市町村の人材や情報が集結し,発信される場でないといけないと思います。まずは,政令指定都市かつ県都岡山市にあって,こうした県のセンター施設があることの意義について御認識をお知らせください。 その中で気になるのは,これもいつも申し上げるんですが,岡山国際交流センターでございます。確かに,地の利もあって,企業研修等の場所としては本当に重宝されて,貸し館業務としてこれを見るならば稼働率は極めて高く,財政的にも及第点ということにはなるとは思います。ただ,県の国際交流のセンターとしてはどうなのか,本当に世界に向かうかけ橋として,多文化共生社会の中核施設として機能しているかどうか,まずは岡山国際交流センターのミッションは何かについてお伺いをいたします。 また,現在,公立の小中高で雇われている,雇用されている外国語指導助手,いわゆるALTは,語学指導等を行う外国青年招致事業,これはJETプログラムで来日し,雇用されているケースが多いんですが,今後,小学校教育における英語の義務教育化も相まって,こうした全県に標準的な指導力というのも当然問われてきます。そうしたことが指導されるセンターであってもほしいとも思いますし,また同時に経済状況もありますけれども,今,海外に打って出ない日本の若者に対して,やはり幼児期からいつでも外国の子供たちと触れ合える場所がある,これは御高齢の方の生涯学習ということもあるかもしれませんが,大学や企業等とも連携しながらそうしたサロンが日本人,外国人の双方にあってもよいんじゃないかというふうに思います。残念ながら,今,万国旗一つ掲揚されているわけではない岡山国際交流センターの今後について,現在の形態ならもうこれは貸し館として民間譲渡も考えられる運用のされ方だと思いますが,今後の方向についてお知らせください。 ところで,全国の都道府県や大学にも国際交流センターと称するものは多くあるんですが,行政においては必ずしも岡山県のように県民生活部関係の所管ではなくて,むしろ産業労働部関係の施設であるところも多くございます。国際交流という場合には,当然,経済交流や貿易,さらには観光の観点も含まれますから,国際化そのものを商工関係に所管を変えるのも一つの戦略ではないかというふうに思います。今後,岡山国際交流センターの強化も含め,国際戦略をより発展的にどう強化するか。お考えをお伺いいたします。 関連して,この岡山国際交流センターと県生涯学習センターについて伺います。 平成22年に指定管理者制度に関する局長通知があって,時の片山総務大臣の会見がありました。要するに,コストカットのツールを全く否定するわけではないけれども,この指定管理者制度というのは民間事業者等が有するノウハウを活用することにより,行政サービスの質の向上により,施設設置の目的,言ってみればミッションを効果的に達成するためのものであるという大前提の中での注意喚起でありました。その部分が十分に理解されて運用されているかどうか,御所見をお伺いいたします。 (知事) お答えいたします。 センター施設についての御質問であります。 県生涯学習センターについてでありますが,県の生涯学習拠点として指導者養成や県民への生涯学習に関する情報提供等の役割を果たすとともに,指定管理者が管理運営を行っているサイピアについても目標を上回る入館者数となっておりますが,生涯学習の需要性の高まりを踏まえ,さらなる拠点機能の充実に努める必要があると認識しております。お話の関係団体が集結できる場所を設けることについては,今後,研究してまいりたいと存じます。 次に,岡山市にあることの意義についてでありますが,県のセンター施設の設置に際しては,サービス利用者の交通アクセスや情報の受発信の利便性等を勘案し,全県的な視点からその機能を最大限に発揮できるようにする必要があります。こうしたことから,立地条件に制約がある施設や他の施設と一体的に運営することが適当なものなどを除き,岡山市に県のセンター施設が多く所在する結果となったものと考えております。 次に,岡山国際交流センター等のうち,ミッションについてでありますが,同センターは県民と外国人との相互理解を深め,交流を推進し,地域の国際化を図るため,平成7年6月に設置したものであります。 次に,今後の方向についてでありますが,同センターはAMDAや岡山県国際団体協議会を初めとする国際関係NGO,NPOが行う国際会議はもとより,スポーツや料理の文化交流などの国際関連行事に国際化の推進を担う施設として活用されているほか,企業研修等の場としても利用されております。同センターは,新おかやま国際化戦略プランを推進する中で唯一の中核的な施設であることから,お話の日本と外国の子供同士の触れ合いにも留意しながら十分に活用していきたいと存じます。 次に,発展的な強化についてでありますが,県では新おかやま国際化戦略プランに基づき,経済国際化,多文化共生,多様な地域との交流,国際貢献,地球市民育成を推進しており,県民生活との関連が深いという観点から,県民生活部の所管としております。世界の観光需要を取り込み,地域経済の活性化等を目的とする国の成長戦略やプラン改訂案の観光振興プログラムに積極的に取り組むなど,国際化戦略の強化を図りながら同センターの活用,効果的な執行体制も今後,検討すべき課題であると考えております。 次に,指定管理者制度についてでありますが,国際交流,生涯学習センターとも国通知の趣旨を踏まえ指定管理者を選定し,適正な運用に努め,設置目的の効果的な達成に取り組んでいるところであります。国際交流センターでは,指定管理者が企画した国際理解ワークショップや子供交流会などの事業を実施しております。生涯学習センターでは,教育委員会と指定管理者の役割分担のもと,教育委員会は生涯学習指導者の養成等を,指定管理者は全体の施設管理及びサイピアの運営を担っており,県の生涯学習の拠点機能を果たしております。今後とも,利用者アンケートや指定管理者による業務点検も踏まえ,設置目的にかなう公の施設としての管理運営に努めてまいりたいと存じます。 以上でございます。 <平成14年9月定例会>(2002年9月19日) (佐藤) 日朝国交正常化交渉について,拉致被害者が殺されていたことは,日本人としてまことに無念です。国民の生命,自由,財産を守ってこその国であり,自国民を守れない,自国民が殺害されて黙っているようでは,主権国家の体をなしていないと言わざるを得ません。あくまで凛とした態度で絶対に妥協はしてほしくないと思いますが,究極の目標は世界平和であり,そもそも南北の分断の歴史を思うとき,日本人の立場で北朝鮮許すまじと感情的になることだけは避けたいところです。 アメリカの対イラク戦略を含めても,こうした何か第三次世界大戦がリアルに感じられる中,戦後57年がたちました。私は,ことし38歳でございますが,春季慰霊大祭,終戦の日,秋季慰霊大祭には,できる限り護国神社にお参りさせていただき,また東京に行けば,まずは靖国神社にお参りさせていただきたい,そういう意識は働くのでございます。自民党議員としては当然でも,同世代の感覚としては,ある意味珍しいと言われるわけですが,祖国の礎を築いてくださった方々に感謝の誠が捧げられない,あれこれと理屈が先に立ち,まずはそういう感覚が当然であると感じられない,あるいはその感情を発露できないところに現代日本の悲劇があるように思います。とはいうものの,諸先輩方には大変失礼かと存じますが,昭和39年生まれで高度成長期の恩恵をまともに受けて,かように丸々と太りました私には,戦地に行かれた方や遺族の方のお話を伺っても,あるいは地域を歩き,そこに草むした地域の慰霊塔があっても,正直に申し上げてどうしても実感としてわからない部分があるのです。 また,57年前の6月29日,岡山を大空襲が襲い,私が住む,当時は桶屋町──今は平和を祈り,平和町ですが,もう火の海になり,私の曾祖母や祖父の兄弟も防空壕で焼け死んだと言います。しかしながら,10年以上前に亡くなった祖父からも,先日84歳でなくなった祖母からも,結局その詳細は聞かずじまいでした。 また,7月14日には,岡山でも平和祈念事業特別基金の平和祈念フォーラムが開催されましたが,岡山大空襲についてはまだしも,シベリア抑留についてそもそも語られること自体が少ないため,私自身認識が非常に不十分なことを恥じ入りました。そして,このような形で,何か語り継がれることがないままに,当時の物や,当時を生きた方々や,何より大切な日本人の心が消えていく,そんな気がしてならないのです。 世界唯一の,天下泰平の平和ぼけの中で,日本がアメリカと戦争したことなど想像もつかない世代が,これから社会の中枢を占めていきます。私は,偏狭なナショナリズムを叫ぶ気も,昨今はやりのアメリカを批判する気もありません。しかし,アメリカ仕込みのグローバリゼーションの名のもとに,日本人の顔をした何やらわけのわからんよその世界の人間がこれからますますふえていくことには,大変な危機感を覚えています。日本人の潔さ,謙虚さ,優しさや思いやり,自然と共生してかつ厳かに勤勉に生きる,何より,自分の,他人のすべての「命」に対して畏敬と畏怖の念を持つ,それが今の日本のどこにあるでしょうか。 しかし,そんな中で,希望がないわけではありません。先日の日韓共催のワールドカップサッカーで,多くの若者が日本を感じました。もっとも,今まで見向きもしなかった日の丸を振り,しかも顔にペイントできる感覚,さらには,ワールドカップサッカーという国対国のスポーツに狂喜した若者が,原爆投下や戦争をつなげて考えることはできない。そのことは大いに不満ではあります。ただ,間違いなく,世界の中における日本という視点を,このワールドカップサッカーで新しい日本人は構築したと思います。今回の小泉総理の訪朝も,また違った感覚でとらえることができる。そういったワールドワイドな物の見方をだれもが普通にできるようになったように思います。 そして,1周忌を迎えましたが,昨年9月11日の米国同時多発テロ事件,向こうがくしゃみをすればこちらが風邪を引くアメリカのこととなると,対岸の火事ではなく,隣の火事であり,こういうことは起きるんだ,戦争はごく身近にあるんだという事実が,日本人,とりわけ若い世代に大変なショックを与えたことは間違いありません。そして,彼らは,戦争というものについて,平和について,我が事として考え始めたのです。そして,それは,日本という国を考えるスタートでもあります。思うに,戦後57年,戦争が風化していく中で,世界が,戦争が,再び身近なものになっている現在,ある意味で,改めて日本のことについて考える,世界平和について考える絶好の時期が来ていると思います。逆に,ここを外すと,日本国内で,時代が分断される中で,歴史を見据えることもなく,国を思うこともなく,再び,知らず知らずのうちに,世界でどこのだれが争おうが平気な,あるいはみずから戦争の惨禍に見舞われる道を,我々日本は歩んでいくことになりかねないと思います。今必要なのは,日本の時代と時代をつなぐことです。今,戦争と平和,日本と世界を語らねば,聞かなければ,日本がつながりません。 そこで,私は,ピース・ミュージアムの構築を提言させていただきます。過去の出来事については,イデオロギーの対立があるのは百も承知の上で,大切なのは,そういった争いを超えて,未来,あしたに向かって,次の世代が,若者たちが,世界の中の日本人として,世界平和に対して何をなすかということです。そのためにも,私は,過去と未来を現在でつなげる「場」が必要だと思うのです。 まず,知事が考えられる平和とは何ぞや,戦争とは何ぞや,また,岡山県が,世界平和に対して果たす役割についてお知らせください。 次に,岡山大空襲については,岡山市内の旧出石小学校の校舎内にできた岡山空襲出石資料館などが収集,展示をされておられますが,太平洋戦争のみならず,戦争に関して,岡山県内の戦争資料等は散逸の危機にあると思いますが,どのように把握され,今後どのように対応されるのでしょうか。他県では,さまざまな形,名称で,こういった資料を収集,展示している機関がありますが,遊休施設の活用等を含めて整備することは考えられないでしょうか。 また,新設になる文書館や県立図書館にこういった資料の収集,管理機能はあるのでしょうか。 これに関連して,結果的に訴訟にはなりましたが,岡山には個人が所蔵するには膨大な量のさまざまな健康被害や公害等の資料があります。これもまた同様に散逸の危機にあります。こういった資料を,行政としても保存することを検討されますよう要望いたします。 また,地域によっては,慰霊塔などは高齢化した遺族会の皆様が交代で清掃,管理されているのが実情だと思いますが,年々維持が難しくなっています。こういった状況に対して,どのような支援が考えられるのでしょうか。 さらに,必ずしも箱物でなくても,こういった資料をデジタルで残すことは考えられないでしょうか。特に,さまざまな立場で戦争を体験された方々のさまざまな声をデジタル録画,デジタル録音し,ホームページ等でデジタル・ピース・ミュージアムを開設し,生きた資料として永久保存するのです。特に,IT先進県岡山県が,そのコンテンツにおいても世界に発信できるものと考えますが,いかがでしょうか。 加えて,戦争体験者と若者との交流の場づくり等,積極的に行っていくべきだと思いますが,そういった施策は考えられないでしょうか。 以上,保健福祉部長にお伺いいたします。 さらに,教育長にお伺いいたします。 教育長の考えられる平和とは何ぞや,戦争とは何ぞや,また岡山県教育界が世界平和に対して果たす役割についてお知らせください。 さて,先般,アメリカの同時多発テロ事件から1年たった9月11日,「岡山こども平和の声」の高校生たちが,みずから考えた平和宣言を教育長に渡されました。こうした高校生たちの頼もしい自発的な動きについて,また平和宣言についてどういう御所見を持たれたでしょうか。 また,今後高校生たちに平和という観点から何を望まれるでしょうか。 また,国際理解教育の一環としての総合的な学習の時間等で,平和学習についてはどのような取り組みがなされているのでしょうか。 また,高校生会議等で,学校や地域を超えて平和について考える機会を設けることはできないでしょうか (知事) 平和と戦争についての考えということでございますが,人類共通の明るい未来の創造というものを目指しまして,人種・宗教などさまざまな違いというものを認め合って,友愛と協和の精神に満ちた,争いのない安穏なる状態,これが平和であり,そうした状態でない場合に起こる国家間等の武力闘争,これが戦争であると,このように思っております。 県といたしましての平和への果たす役割ということでございますが,市町村,県民,NPO・ボランティア等々と協力連携をしながら,本県が持っております医療とか福祉とかITといった,そういうすぐれた技術資源を活用する中で,開発途上国の発展に協力をしていくなど,国際貢献活動に取り組んでいって,平和に寄与していきたいものだと,このように願っております。 (保健福祉部長) 戦争資料等の把握,収集,展示についてでございますが,戦争資料を保存し,後世に伝えていくことは意義のあることと考えておりまして,総合文化センター等で当時を物語る刊行物等を収集,保存し,閲覧に供しておりますほか,平成8年に発刊した戦後50周年記念誌の「援護の歩み」に,県民の方々の戦時体験記録や写真を収録したところでございます。今後とも,岡山県遺族連盟などと協力しながら,戦争資料等の収集,保存に努めることにしておりますが,展示施設につきましては,今後の研究課題とさせていただきたいと思います。 なお,文書館や県立図書館についても,戦争関連記録資料の収集,管理については,今後とも続けていく予定であると伺っております。 次に,慰霊塔等の管理についてでございますが,地域によっては,遺族の方々のほか,町内会,老人会などが清掃活動を行っているところがあると伺っております。こうした活動が広がり,慰霊塔等の適切な維持管理が行われるよう,県としても,岡山県遺族連盟等関係団体を通じて働きかけてまいりたいと考えております。 次に,戦争資料等のデジタル化等についてでございますが,ピース・ミュージアムや若者との交流の場づくり等の御提案をいただきましたが,戦争の悲惨さ体験談等を保存し,次代を担う若者を初め多くの県民の方々に伝えるため,インターネットを含めどのような手段が活用できるのか,関係団体とともに検討してまいりたいと考えております。 (教育長) まず,平和と戦争に関する私の考えについてでございますが,平和と戦争は言葉の意味としては表裏の関係にあると思いますが,私大切だと思っておりますことは,単に武力紛争がないというような状態をつくるということではなくて,恒久平和に向かって一人一人が努力すると,そうした努力する姿勢が大切ではないかと,このように考えております。 国際貢献先進県を目指しております岡山県に生きる私たち教育関係者が,世界の人々と協力しながら,世界平和の実現と維持に向けた不断の努力をするとともに,国際社会の中で日本人としての自覚を持ち,進んで世界平和に貢献できる人材を育成することが私たちにとっては大切であると考えております。 次に,高校生たちによる平和宣言等についてでございます。先日,この平和宣言を持って私のところへ高校生が訪ねて来られまして,久しぶりに若い者と直接楽しいひとときを過ごすことができました。この戦争への記憶が薄れつつある我が国におきまして,高校生が,自発的に過去や現在の戦争を見つめ,恒久平和を実現するために自分たちに何ができるかを考え,取り組むことは大変意義あることだと考えております。この高校生の平和宣言には,一人一人が戦争や紛争について学習し,理解を深めるとともに,日々思いやりを持って行動することが平和につながると書いてありました。その考えやこうした姿勢に大変共感を覚えたところでございます。 私といたしましては,高校生が広く社会に目を向け,自分の意見を持つとともに,他人の意見にも十分に耳を傾け,平和の実現のため考え,行動する力を身につけてくれるよう大いに期待をしているところでございます。 最後に,平和学習についてでございますが,学校では,社会科などでの学習とあわせまして,総合的学習の時間におきまして,外国の留学生との交流会を持つなど,国際理解教育の視点に立ちまして,平和についての理解を深めております。 また,高校生会議では,昨年開催しました岡山県高校生議会での宣言を初め,学校や地域を超えて国際貢献の講演会や募金活動に取り組んでおりまして,今後も,こうした取り組みが充実されることを期待しているところでございます。 <平成14年2月定例会>(2002年3月5日) (佐藤) 次に,岡山国際交流センターに関して伺います。 同センターは,平成7年6月24日岡山県がJR岡山駅西口に設置した施設で,国際交流,国際理解,外国人向けサービスなどの総合的機能を備えた,中四国における国際交流の拠点となっています。また,平成17年「晴れの国おかやま国体」主会場の西の玄関口であり,地元商店街や急速に進む再開発地域の核施設でもあります。ただ,閉館時間が早い,図書資料室の資料貸し出しができない等々の問題はかねてから指摘されているところです。私は,国際交流から離れたイベント会場として利用されることも重要ですが,より本来の国際交流の岡山県のセンター機能を果たすべきではないかと考えます。こういった観点から幾つか提言させていただきます。 まず第1に,同館の宿泊施設等は必ずしも空間が有効に活用されているようには思えません。4階に1部屋交流サロンはありますが,例えば県内のNGOの事務所を集積させる等,よりセンター機能を果たす空間の活用方法は考えられないでしょうか。 あわせて,「国際貢献先進県おかやま」という構想の中で,国際交流センターが果たすべき役割をどのようにお考えでしょうか,知事にお伺いいたします。 次に,IT先進県をうたう岡山県ですから,外国語のOSのインストールされたパソコン端末があってもよいのではないでしょうか。また,ITを活用した国際協力のソフトを充実するなどして,センターで外国人及びNGOやNPOが自由に活用できるようにできないでしょうか。さらに,留学生関係のボランティア活動の支援を強化する施策は考えられないでしょうか。具体的には,県民の方々にメンバー登録をしていただき,日本での家族的な役割を果たしてくださるような方々を募り,主にその方々を対象に留学生との接し方を学んでいただくような講習会を開いたり,またメンバーをふやすための広報活動,異文化理解のための講演会等が考えられます。1回限りのお祭りやパーティーのようなものではなく,お互いの文化を伝え合う,後につながるセンターであるべきだと考えますが,いかがでしょうか。 以上は,企画振興部長にお伺いいたします。 さらに関連して,本年は日韓共同開催のサッカー・ワールドカップがあり,さらに本県と江西省との友好提携10周年であると同時に,郷土の偉人岡崎嘉平太先生ゆかりの日中国交正常化30周年の記念すべき年でもあります。両国には直行便も飛んでおり,国際交流はもとより,観光振興等に結びつけるべきだと思いますが,知事はいかがお考えでしょうか。 (知事) 次に,国際交流センターの機能についてでありますが,今後,国際貢献ボランティアの育成やあるいはNGOの活動支援などの事業を実施して,同センターが,「国際貢献先進県おかやま」を目指した人,情報,心の交流拠点としての役割を果たしていくように努力してまいりたいと存じます。あわせまして,関係団体等の御意見をお伺いをしながら,国際交流の促進を初め,NGOの方々が活動しやすい環境づくりなど,交流センター機能がより一層発揮できるよう施設の有効活用方策等につきましても検討をしてまいりたいと考えております。 韓国,中国との交流等についてでありますが,中国とは,江西省との友好提携締結10周年を契機に,友好訪問団の相互派遣などを実施いたしたいと考えております。また,上海の旅行会社に対します岡山向け旅行商品の開発の働きかけや中国江西省からの経済代表団の受け入れを検討いたしております。 また,韓国とは,ワールドカップ共同開催の本年が日韓国民交流年でございますので,関係団体と連携をした文化・スポーツ交流とともに,韓国での国際観光展への出展やあるいは商談会を計画するなど,多くの分野での一層の交流の活発化に努めてまいりたいと存じます。 (企画振興部長) 岡山国際交流センターにおきましてのITの活用についてでございますが,センター機能の拡充を図りますため,新たに中国語などのOSがインストールされましたパソコン端末の増設のほか,NGOの活動状況や各種支援制度,あるいは外国語が通じる公共施設などの情報が容易に検索できるソフトの充実に努めてまいりたいと考えております。 次に,ボランティア支援についてでございますが,外国人の方々の岡山での生活がより充実したものとなりますよう,岡山国際交流センターに国際ボランティア人材バンクを今月中に開設すべく関係機関との協議・調整を進めているところでございます。この中で,佐藤議員からも御提案がございました留学生の相談相手やホームステイの受け入れなどを行う留学生等協力家庭ボランティアといった制度を設けまして,県民の方々に広くこのバンクへの登録を呼びかけますとともに,協力家庭を対象にいたしました研修会の開催なども検討してまいりたいと考えております。 <平成13年12月定例会>(2001年12月12日) (佐藤) さて,先日,もったいなくも,知事と議長が上海便の増便要請に訪中される便にたまたま乗り合わさせていただき,若い経済人たちと計7名で,主に岡山から上海に進出している幾つかの企業の工場を見てまいりました。これは物すごいものでした。経済的に豊かであるかどうかではなく,頑張ればきっと報われる。きっとあしたはきょうよりよくなるだろう,そう無条件に信じられる,要するに夢を描くことができる,そんな中国の青年の姿が私にはうらやましくもありました。爆発的に伸びる中国,人口1,300万人の巨大都市上海の街や人の魅力,可能性に圧倒され,私の中では中国がマイブームになっておりますので,今回は中国にちなんだ質問から始めさせていただきます。 11月10日に,中国がWTO(世界貿易機関)の加盟申請を承認されたのは,記憶に新しいビッグニュースです。これで中国も国際経済社会のメンバーとして認知され,国際的な通商ルールが通用する国に仲間入りしました。これにより投資や貿易の障壁も減り,世界の企業の投資がますます中国に向かうと思われます。そもそも,世界人口の5分の1,13億人を擁する中国は,比較的良質で安く,豊富な労働力と成長力を秘めた巨大な消費市場であり,企業にとって大きな魅力です。 中国にとっては,WTO加盟は短期的なデメリットもあるとも言われていますが,同時進行の西部大開発と2008年オリンピック開催という2大プロジェクトによって克服可能であると思われます。途中,経済成長率が鈍化したり,調整する局面に入ったりすることはあっても,政治的なリスク,これはかなりあると思うんですが,政治的なリスクを除けば中国経済の成長は約束されていると見てよいのではないかと思われます。 一方,我が国の企業は,日本国内はもちろん,ほかのアジア諸国にあった拠点を再編し,中国に集約するような生産体制のシフトが目立っています。このまま対中シフトが加速すれば,日本国内でも地方を中心に雇用機会が奪われかねないという懸念があります。まさに,今日本企業にとっては総合的な対中戦略が不可欠です。日本の産業界は,生産拠点の中国への移転による国内空洞化だけではなく,あるいは対中戦略そのものの空洞化というより深刻な問題を抱えています。 また,政治的にも,自国内の構造改革が進まないなどと言っているような場合ではなく,中国といかに共存共栄するかの方策を示すことが,21世紀の日本の国の興亡をかけた一大テーマであると私は思います。 このことは,岡山県にとっても決して例外ではありません。岡山県からは,被服・繊維製品や機械器具の製造業を中心に,海外進出企業の4分の1が上海とその周辺に集中しているわけですが,対中戦略について,この地方分権の時代に,わざわざ中央の意向に沿うこともなければ,いわんや2億8,000万人の人口のアメリカ合衆国にお伺いを立てる理由もありません。中国の規模,国民性,華僑の歴史からしても,いかに岡山県独自のネットワークを築き上げるかが岡山の未来を決すると言っても過言ではないと思います。我々の目と鼻の先に13億人の人間がいるのです。 そこで,まず知事にお伺いいたします。 大きな質問になりますが,中国のWTO加盟が岡山県にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。 次に,平成10年開設の中国東方航空の上海への国際定期航空路があること自体,岡山の大変な財産だと思いますが,さらに週3便の増便を目指されることは本当にすばらしいことだと思います。このことが,観光のみならず,経済的にどういう効果,特にフィードバックが岡山にあるか,お知らせください。 また,さらなる中国への新空路開設に当たって,中国全体を俯瞰するような調査はされているのでしょうか。 岡山−北京線,あるいは岡山−ハルビン線,岡山−深セン線は考えられないでしょうか。日本−ハルビン線は現在新潟空港しか直行便が就航していませんが,週3便ですが搭乗率もなかなかのものです。北陸,東北,北海道地方の空港がハルビン線の直行便に対し力を入れているそうですが,山形県の庄内空港から来年度に中国北方航空の直行便の就航が実現するようです。日中両国の歴史的な経緯,あるいは日中航空協定の中で,西日本の地域から新規路線開設に向けての話が浮上してこないのはいろいろな問題があるのかもしれませんが,まずはプログラムチャーター便から始め,週2便程度で定期便開設,搭乗率も恐らく上海線以上にいく可能性もあると思います。 また,中国南方航空を相手に広東方面,とりわけ爆発的に発展する深センへの航路は考えられないでしょうか。 これに関連しまして,海外への空港の新規路線開拓については,岡山空港から国内の一地域を経由して開設することは考えられないでしょうか。このためには,日本国政府と当該国政府との航空交渉の必要性,あるいは着陸料等の必要経費の増大等はあると思いますが,このことを加味しても集客が見込めると思いますが,いかがでしょうか。 さらに,平成9年より,ジェトロ上海センター岡山経済交流部,すなわち,これは事実上の岡山県の上海事務所になるわけですが,上海事務所を開設されているわけですが,岡山県の世界への窓口として,まさに汗をかきながら最前線でネットワークを広げられておるその現地での御労苦には本当に頭が下がります。しかしながら,世界レベルで見ると,岡山県という行政単位で,中国,とりわけ上海市を相手にするのにはなかなか難しいのではないかというふうに思います。そのためにも,現地に出されている各県の事務所や日本と現地の企業に注目し,両方の情報ネットワーク,とりわけ人的ネットワークを強化することが重要です。端的には,岡山上海事務所を核とした地方レベルでの対中戦略プランが必要であると考えますが,いかがお考えでしょうか。 加えて,中国は既にパソコン7,000万台,ネット人口1,900万人の世界最大級のIT市場になっています。お隣の島根県では,既にIT人材交流を始めたと聞きますが,岡山情報ハイウェイの実績を中国と結ぶ方策はないでしょうか。 また,人事交流という意味では,観光旅行や役員研修ではなく,経済交流を目的として大量に青年,若手企業人を中国に派遣,交流させる施策が必要だと思います。21世紀にどんな連中と我々が国際舞台で戦うのか,あるいは手を組むのか見ておく必要がありますが,そのような施策はお考えでしょうか 。 (知事) 中国のWTO加盟による影響についてのお尋ねがございましたが,ただいま議員の方からも御指摘がございましたが,本県の産業構造の特色といたしまして,全国的に見ましても対中国への輸出の比率が本県は高うございますし,また中国への進出企業というものも多いということでございます。こういったことから,本県からの輸出が拡大をするということが予想されますし,また同時に原材料調達コストの低減等によりまして,中国に進出をしております企業の価格競争力の強化につながるものと見込んでおります。一方,これも御指摘ございましたが,生産拠点の移転によります産業の空洞化や,あるいはこれに伴う雇用の減少,低価格製品の流入増によります企業,生産者への影響というものも大変懸念されるところであると考えております。 次に,中国東方航空の増便についてでありますが,増便によります上海線の利便性の向上に伴いまして,観光,ビジネスなどの人々の交流が一段と活発化するとともに,航空貨物につきましても輸送能力の拡大によりまして集積が期待できるなど,中国との経済,文化等の交流に一層の弾みがつくものと考えております。 中国との新空路開設の調査についてしたことがあるかとのお尋ねがございましたが,平成9年3月,岡山と中国各地との路線開設の可能性について調査を実施をしておりまして,それによりますと,岡山−上海線,岡山−北京線の運航可能性が高いという結果が出ております。県といたしましては,この調査結果や,あるいはプログラムチャーターの成果というものを踏まえまして,上海線の開設を図ったところであります。 岡山−深セン線等についてでありますが,中国へは今年度岡山空港から北京市に既に7便のチャーター便が運航されておりまして,この実績を踏まえ,関係航空会社に岡山−北京線の開設に向けた働きかけを強めてまいりたいと存じます。 御質問にございました深セン線,ハルビン線につきましては,当面需要動向等を研究をしてまいりたいと存じます。 国内他地域を経由した空路の開設についてでございますが,お話がございました手法は,直行便に比べまして集客力にすぐれているということでございまして,今後の新規国際路線開設に向けての有力な手法として,お話にありました手法を活用してまいりたいと存じます。 人的ネットワーク等の強化でありますが,上海事務所では,ジェトロのネットワークを十分活用をいたしますとともに,中国各地の自治体事務所との連絡会議で定期的に情報交換を行ってきております。また,上海や香港エリアに進出をしております県内企業の協力を得ながら,人と情報のネットワークの形成にも取り組んできております。今後とも,上海事務所を核として,広がりのある人的ネットワークの強化に努めてまいりたいと存じます。 岡山情報ハイウェイの実績と中国についてでありますが,岡山情報ハイウェイを初めとする高度情報化に積極的に取り組んでまいりました岡山県と,IT社会構築に向けて目覚ましい進展を遂げつつあります中国との間で技術的,人的交流を行うことは大変有意義であると考えられます。さきの「東アジアIT協力会議」等の成果を生かし,具体的な交流方策を検討してまいりたいと存じます。 経済交流を目的とした派遣等についてでありますが,現在既に相当数の経済団体や企業グループなどが中国を訪問しておりまして,上海事務所が現地での交流というものを支援をいたしております。また,岡山県国際経済交流協会におきましても,ミッションの派遣やあるいは中国語の現地実践研修などを行っておられます。青年や若手企業人等がみずから学んでいただくこと,これが基本ではございますが,県といたしましても,今後ともこのような交流の場づくり,あるいは交流機会の情報提供などの支援を行って,経済交流をもっと活発に展開をするよう努めてまいりたいと存じます。 <平成13年2月定例会>(2001年3月8日) (佐藤) 現在取りまとめておられる「新おかやま国際化推進プラン(仮称)」の素案を拝読いたしますと,平成8年に策定された旧プランの計画期間である今年度までのわずか5年間に,情報技術の著しい進歩,輸送手段の発達等,世界との時間・距離が急速に短縮し,人,物,情報・サービスのボーダーレスな移動がますます活発になり,国際化への適切な対応が極めて重要になったことが本当によくわかります。 そのうち,国際経済拠点岡山を目指すために既にお示しいただいている「どっとcom・おかやま」を基本コンセプトとするアクションプログラムが具体的に推進されることを切に望みたいところでありますが,今回は,素案のいうところの「共生社会創造国際化プログラム」と「国際貢献先進県・おかやまプログラム」と「ハートフルおかやま国際化プログラム」についてお伺いいたします。 まず,「共生社会創造国際化プログラム」に関して,地域の日本人と外国人が快適に生活するためには,多様性を認め合うとともに,言語,生活習慣などから生じる障害を取り除くことが必要ですが,そのためにも,外国人への生活関連情報等の提供,地域交流の促進,人権意識の啓発と相互理解の促進に努める共生社会の実現が望まれます。 とりわけ,留学生や就学生は,いずれ岡山と母国の友好関係を築く上で,そのかけ橋として将来重要な役割を担っていただくことが期待されます。現在岡山県への留学生は約800人,1990年の約300人から比べると右肩上がりで急増しています。しかしながら,私は,岡山県に来た留学生は必ず岡山が嫌いになって母国に帰っていくのだという話を聞いたことがあります。母国に帰れば彼らは彼らの岡山を語るでしょう。言ってみれば民間の外交官である彼らに,一人でも多く岡山ファンになってもらうこと,懐かしい幸せな思い出をつくってもらうことは極めて重要だと思います。 そこで,知事にお尋ねします。 岡山県に暮らす留学生,とりわけ私費留学生の皆さんに対してどういう認識をお持ちでしょうか。知事の提言される国際ボランティア人材バンクは留学生にも資するものでしょうか。また,具体的な支援策があればお知らせください。 また,多くの留学生が決して楽ではない経済状況にある中で,彼らにとって重要なのはビザに関係なく勤務できるいわゆるアルバイトの情報です。インターネットを含めてそういった情報を提供できないでしょうか。また,留学生を,総合的な学習の時間を初めとする教育現場に人材として活用するすべはないか,教育長にお尋ねいたします。 加えて,例えば留学生全国大会を岡山で開催するなど,全国に,世界に向けて岡山を発信することは考えられないでしょうか。 次に,「国際貢献先進県・おかやまプログラム」に関して,まずもってさきのインド西部大地震のAMDAの緊急救援に際して,私も救援物資の積み込み作業に参加させていただきましたが,その際に岡山県の執行部の有志の皆様方から段ボール箱何箱分もの救援物資が届きました。私,大変に感動いたしました。せっかくですので御報告させていただきます。 そのAMDAを初め多くの国際ボランティアがあり,その御支援をと一昨年の12月議会でお願いさせていただきましたが,国際貢献のNGOを後方支援しながら,逆に県の方がそのNGOのネットワークの恩恵を受けることはあるのでしょうか。 関連して,国際貢献のための人材育成,ネットワーク確立のために日本人と外国人の子供同士の交流が極めて重要だと思いますが,どのようにお考えでしょうか。 加えて,昨年11月,ユネスコ(国連教育科学文化機関)の「環境教育に関する国際専門家会議」がスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラで開かれましたが,この会議への日本からの招聘・参加は岡山ユネスコ協会のみでありました。この際に提示された環境サポートセンター構想,これは環境問題に関する情報サービス活動拠点として岡山ユネスコ協会が日本ユネスコ協会やユネスコ本部に提案しているものですが,この構想が多くの賛同を得たものと伺っています。 インターネットで世界各地の環境情報を収集,交換し,専門家が解析した解決に役立つ情報を全世界に発信する。また,人材育成のための環境教育プログラムや世界各地の実情に合わせた環境改善プログラムの開発もあわせて行うという,環境問題で世界貢献するというスケールの大きな話です。恐らく,産・官・学共同の研究開発や産業集積も望めると思います。まさに,風光明媚な瀬戸内海を初め豊かな自然がある晴れの国であり,しかも岡山情報ハイウェイがあり,さらには,児島湖の問題も抱えている我が岡山県にふさわしいような構想だと思いますが,どのようにお感じでしょうか。 この項最後に,「ハートフルおかやま国際化プログラム」に関して,外国人観光客をいかに誘致し,いかに心温かいおもてなしをさせていただくかは極めて重要であると思います。しかし,観光客と一口に言っても,来日の目的は,例えば教育や福祉や文化,スポーツ,NGOなどの国際交流であったり,あるいは観光も広域に他県にわたるケースもあろうと思います。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの開園とも相まって,売り込みには明確な国際観光戦略が必要であると考えますが,どのようにお考えでしょう。 特に期待されるマレーシア航路の開設以後は,当然シンガポール,インドネシア,タイ,ベトナムなどへの相互の旅行機会が増すと思いますが,そういった周辺国への対応についてあわせてお伺いいたします。 (知事) 自由民主党の佐藤議員の質問にお答え申し上げます。 「新おかやま国際化推進プラン」についてであります。 私費留学生についての認識でございますが,私費留学生の多くの方々は,仕送りや,あるいは奨学金だけでは不足する学費とか生活費を補うために,アルバイトをしながら勉学に励んでおられるところでございまして,また帰国されました後におきましては,それぞれの分野の指導者として活躍をされ,そして本県との友好交流のかけ橋としての活躍が期待されていると考えております。 国際ボランティア人材バンクについてでございますが,外国人が地域社会の一員として安心して生活していくことができるように,ボランティア活動を通じて支援をしていくことを目的としておりまして,留学生に対しましても,日常生活に必要な通訳とか翻訳,岡山の文化や生活習慣等を理解するための文化講座やホームステイなど,さまざまな分野で支援できるようなものにいたしたいと考えております。 また,県の支援策といたしましては,私費留学生奨学金給付制度のほかに,県立文化施設への入場料の全額免除,さらには岡山県国際交流協会と連携をいたしまして,日本語講座や各種の生活情報の提供や相談等を行っております。 アルバイト情報の提供についてでございますが,アルバイトを求める企業等は,主として大学,職業安定所,民間情報誌などを通じまして求人を行っているのが実態でございまして,留学生の多くはそれらの情報を活用しておられるとお聞きをしております。これらの情報は,御案内のとおり,その集約とか短期間での更新ということから考えますと,それが必要だということから考えますと,インターネット等を利用したその情報提供を行うということはなかなか難しい問題があると,このように考えております。 世界に向けての発信についてでございますが,本県では,大使招聘事業等を通じまして岡山県のPRを行っているほか,岡山情報ハイウェイを活用いたしまして,岡山県の魅力やあるいは話題など,各種の情報を4カ国語によりまして国内外に発信をしております。 また,御提案の留学生全国大会を岡山で開催することにつきましては,岡山情報を全国に発信する一つの方法ではございますけれども,県内の留学生,大学など関係者の方々の意見を聞きながら勉強してまいりたいと考えます。 NGOネットワークの恩恵についてでございますが,県といたしましても,ネットワークを通じまして,NGOそれぞれの海外支援現場における情報とかノウハウの把握,国際貢献ボランティア現地研修の実施,さらには県とNGOとの連携による国際貢献活動の展開において協力支援をいただけるものと考えております。 日本人と外国人との子供同士の交流についてでありますが,外国の子供たちと交流をいたしましてお互いの文化とか生活習慣への理解を深めることは,将来,子供たちが国際人として国際貢献を初めさまざまな分野において活躍をしていただく上におきましても,大変意義深いことと考えます。このため,県といたしましても,来年度NGOが開催予定の「国際姉妹校2001こどもサミット」への支援のほか,子供同士の国際交流が活発に展開されますように,姉妹校縁組とか小・中・高校生の海外派遣などにつきまして各種情報の紹介・提供に努力をしてまいりたいと思います。 環境サポートセンター構想についてお話がございましたが,この構想は,岡山ユネスコ協会が提案をしたものでございまして,世界各地のNGOや市民グループからの環境情報を収集・解析をし,そしてインターネットで地球上の市民を対象に提供することによりまして,環境教育の推進とか環境問題の解決に向けた支援を行うものであると,このように聞いております。聞いておりますという意味は,この構想は,日本ユネスコ国内委員会にお聞きしましても,そちらの方ではまだ聞いてないと,このような状況にあるわけでございまして,今私どもが把握しているところによりますと,この構想は,2002年に南アフリカで開催されます予定の国連の環境会議「リオ+10」に再度提案されるという情報もあるなど,現時点では具体的な内容というものが必ずしも定かになっていないところでございまして,今後,この構想の内容を見きわめる中におきまして,本県といたしましても,環境情報発信拠点としての位置づけが可能なものなのかどうか検討をしてまいりたいと存じます。 国際観光戦略でございますが,外国人観光客の誘致に当たりましては,本県のすぐれた観光資源や広域的な連携を生かした展開に加え,おもてなしの心のこもった受け入れ態勢の充実強化が不可欠であると考えます。こうしたことから,島根,鳥取,香川及び高知と,広域的な国際観光テーマ地区というものを構成しておりまして,海外での観光宣伝等を行いますとともに,外国人観光客受け入れセミナーの開催,外国のマスコミや旅行業者の招聘などの事業に取り組んでいるところであります。 また,今月末のユニバーサル・スタジオ・ジャパンのオープンに当たりましては,大阪府との観光交流促進協定を踏まえまして,関西圏との広域的な周遊も視野に入れた外国人観光客誘致に取り組むなど,今後とも,常に新しい戦略を持ちながら国際観光の振興に努めてまいりたいと存じます。 マレーシア周辺国への対応でございますが,マレーシア航路が開設をされました後におきましては,マレーシアはもとより,東南アジア諸国との相互交流が今まで以上に活発に進むことが期待できるところでございまして,外国語版のホームページによります観光情報発信の充実に取り組んでまいりたいと考えております。また,これらの国々で事業展開をされておられます県内企業の方々の活動とか,あるいは教育,文化面での交流などのさまざまな機会を通じまして本県の観光の魅力というものをPRをしてまいりたいと存じます。 (教育長) 留学生の教育現場での活用についてでございますが,現在,幾つかの小学校や高等学校の総合的な学習の時間などで外国の文化,生活について学ぶ際に,非常勤講師としてお願いしております。また,留学生をボランティアティーチャーとして招きまして,外国の料理をつくったり,民族衣装を身につけるなど,その国の文化を学び,国際理解を深めている学校も30校程度ございます。 このような留学生を交えた学習は,子供たちにとって有意義でございますが,多くても1校当たり年間10時間程度の対応しかできず,恒常的,継続的な活用は難しいところでございます。御理解いただきたいと存じます。 <平成12年6月定例会>(2000年6月20日) (佐藤) さらに,こうした人のお役に立ちたいという思い一つで世界に飛び出していく青年として,青年海外協力隊がいます。青年海外協力隊事業は,開発途上地域の住民と一体となって当該地域の経済及び社会の発展に協力することを目的とする海外での青年の活動を促進し及び助長する事業です。 昭和40年4月に,外務省所管の事業としてスタートし,その後昭和49年8月に国際協力事業団(JICA)が発足し,その重要な事業の一つとして受け継がれ,今までに69カ国約2万人の隊員が派遣されています。現在,約2,500人が約60カ国に派遣され,7部門約140職種で活動をしています。技術や知識を生かして,派遣された現地の人々とともに生活し,働き,その国の言葉を話し,相互理解を図りながら自助努力を促進させる形で協力活動を展開する。それが青年海外協力隊の基本姿勢です。もちろん,岡山県からも毎年多く青年が,この青年海外協力隊に参加しますが,彼らの共通の悩みは,帰国後の就職がないことです。彼らの活動期間は2年間で,2年後には日本社会に復帰することになります。が,現職参加の方は,現場復帰できる場合もありますが,実際は,公務員でも退職してでないと参加できない場合があるように,大概はすべてを投げ打って海外へ向かう方が多いようです。約75%の方が,学生か新卒者か退職参加者です。すなわち,帰国後の就職先が未定なのです。2割は帰国後1年以上たっても就職先が未定とのことです。むちゃができるのも青年の特権といえば特権ですが,崇高な思いと帰国後のその待遇のギャップを思うとき,余りに気の毒としか言いようがありません。 そこで知事にお伺いいたします。 まず,岡山県から青年海外協力隊に参加する青年に対してどんな思いをお持ちでしょうか。また,その実態についてどのように把握されておられるでしょうか。 特に,まずは現職派遣について,帰国後の再就職について,県内企業に対してアピールしていくこと等は御計画でしょうか,企画振興部長にお伺いします。 また,人材の宝庫としての青年海外協力隊OBを職員として迎えることは考えられないでしょうか。特に,イベントに終わりがちな国際交流事業を地域活性化の一方策として長期的な展望に立って考えるとき,指導者としての彼らは即戦力であると考えますがいかがでしょうか。あわせて県職員の方の派遣実績についてもお聞かせください。総務部長に伺います。 また,総合的な学習の時間等で彼らの経験を生かせる方策はないでしょうか,教育長にお伺いいたします。 加えて,はるか遠くから故郷岡山を思う彼らに,岡山の情報は届いているでしょうか。岡山が彼らの派遣地に届いているでしょうか。例えば,国際交流センター内に,そういった情報が集まったり発信されたりする仕組みは考えられないでしょうか,企画振興部長にお伺いいたします。 国際化の推進,国際協力の促進のために,ぜひ青年海外協力隊の経験と若いエネルギーを生かしていただければと切にお願い申し上げます。 (知事) 次に,青年海外協力隊事業でございます。 参加青年に対する思いと実態でございますが,本県出身の協力隊員は,本年3月末までに260名の方が52カ国へ派遣をされておりまして,農林水産,土木あるいは保健衛生など幅広い分野におきまして,それぞれ現地における厳しい環境とか,あるいは困難な状況のもとで技術指導等に精力的に取り組んでおられます。そして,派遣国の発展に大きく貢献をされておりますことは大変意義深く,私といたしましてもその活躍を心強く思っているところでございます。 先日も今回帰国されました協力隊員の方々とお会いをいたしまして,派遣先での活動とか,あるいは御労苦を直接お聞きをしたところでございます。同時に,協力隊のOBの方々も御出席をされておられまして,帰国後の再就職の厳しさにつきまして,御質問にもございましたが,その実態をお伺いをしたところでございます。この帰国後の就職確保などの問題につきましては,国際協力事業団(中国国際センター)が中心となって取り組んでおられるところでございますが,県といたしましても県内の企業等に対しまして協力を要請をしてまいりたいと考えております。 (総務部長) 青年海外協力隊OBの採用等についてでございますが,職員の採用は,地方公務員法におきまして能力主義に基づく競争試験によることが原則とされておりまして,協力隊OBを競争試験等によらずに優先的に採用することは困難でございますので,御理解を願いたいと思います。 県職員の参加についてでございますが,この事業は職員の身分を有したまま参加できるということになっておりまして,これまで教員を含めまして12名の職員が協力隊に参加しているところでございます。帰国後は,この貴重な経験を職務に生かしまして活躍していただいているところでございます。 (企画振興部長) 青年海外協力隊員の帰国後の再就職についてでございますが,本県出身の帰国隊員の就職状況は,ここ3年について見ますと,現職復帰を含めまして約8割程度と聞いております。 県では,帰国隊員の就職先の確保を図りますために,本年2月に国際協力事業団との共催によりまして県内企業や経済団体との懇談会を開催し,帰国隊員の雇用受入や現職のまま参加できる制度の導入を働きかけたところでございますが,今後とも,帰国隊員が就職できるよう,県内企業あるいは経済団体等に雇用の受け入れ等の協力を要請してまいりたいと存じます。 現地の隊員に対する岡山の情報の提供についてでございますが,本県では,今年度から,新たにインターネットにより岡山の各種の情報を海外に発信していくことといたしておりまして,来月から,順次,青年海外協力隊の方々にも毎月の岡山の話題など最新情報を提供していきたいと考えております。また,Eメールを活用して,隊員の方々の活動の状況や現地の情報が届いた場合には,岡山国際交流センターを通じまして関係団体等へ伝えてまいりたいと存じます。 (教育長) 青年海外協力隊経験者の総合的な学習時間等での活用についてでございますが,青年海外協力隊の方々が,開発途上国に赴きまして,経済社会の発展のために献身的な活動をされていることは,日本の国際貢献の上からも大きな意義あることでございます。そのため,県の教育委員会といたしましても,規程を整備いたしまして希望する現職職員には参加の機会を設けております。 また,帰国した方々からは,これまでも学校での講話や教員研修の講師などをお願いしておりますが,今後とも,国際理解や環境問題などについて,総合的な学習の時間や教科の学習で,ゲストティーチャーとして海外での豊かな経験を生かして指導いただくことは,児童生徒にとって大変有意義なことでございまして,御協力いただければありがたいと考えております。 | ||
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