過去の岡山県議会一般質問集 <NGO>篇

<平成15年11月定例会>(2003年12月5日)

(佐藤)  最後に,NGOについて伺います。NPO,NGOと続きますが,NGOについてお伺いいたします。
 来年2月の定例県議会への上程を目指して,現在,パブリック・コメントを募集している岡山県国際貢献活動の推進に関する条例(仮称)に関して,私は,正直なところ,なぜこの時期にこの内容なのかという感を強く持っております。都道府県レベルでは,全国初となる国際貢献活動の推進を目的とした条例ということでありますが,国際貢献のイメージが,象徴的にAMDAのようではないか,そのように感じます。私自身も,AMDAの会員として,阪神大震災のボランティアやあるいは救援物資の積み込みは何度もしたことがございますし,何よりイラン大震災では,AMDAのコーディネーターとしてイランの辺境まで行ったこともございます。ですから,AMDAの活動のすばらしさは十分に理解をさせていただいた上で,なお岡山には,さらに多くのNGOが活躍していることを私は強調させていただきたいと思います。
 NGOには,環境,医療・福祉,教育,文化・芸術,人権,スポーツ等々,国際貢献という言葉に象徴されないものも多く,国際交流まで含めてもう少し間口は広いのではないか,そのように思います。例えば,おかやま国際貢献NGOサミットも開催され,岡山ユネスコ協会,アジア教育支援の会,そして黒住教や金光教を初めとする宗教者の方々のネットワーク等々,最近では,有森裕子代表理事のハート・オブ・ゴールドなど,さまざまなNGOが動いております。そして,行政としても,既に青年海外協力隊などをおかやま国際協力大使に委嘱され,これも多分に緊急救援活動のイメージに引っ張られているのではないかなという感は否めませんが,国際救援物資などを集めて備蓄までされておられます。何より,私は,国際貢献という名目で,NGOの協働に関して,県民に義務まで課すのは非政府組織であるNGOの本旨に大きく外れるのではないか,そのように思います。NGOのいう貢献は,もっと自然発露の感情に基づくものではないでしょうか。この状況で,なぜ今義務まで課すような条例の制定が必要なのでしょうか,その理由をお知らせください。
 そもそも今回の条例案は,既存の多くのNGOに対して全く働きかけがなされておらず,唐突に出た感は否めません。どういった声が,この条例案に反映されているのかをお知らせください。
 そして,多くのNGO共通の課題は,NPOと同じであります。特に,若い世代を中心にした次代を担う人材育成,場所や活動資金が問題であって,条例のような抽象的な問題あるいは主な施策は直接の支援にはなりません。現在,約110団体に及ぶNGOが岡山県国際団体協議会というNPOを立ち上げようとしていますが,今後,既存の国際貢献トピア岡山構想を推進する会や,このような団体とどのように連携していくのかをお知らせください。
 何よりもNGOの活動拠点足り得る岡山国際交流センターを管理する岡山県の外郭団体である,岡山県国際交流協会の寄附行為には,NGOやNPOとの連携という言葉が今のところ入っておりませんが,条例制定よりも,こういったできることからまず変えていくことが必要だと思いますが,いかがお考えでしょうか。
 加えて,これが最後の質問で,本当に小さい質問ばかりというか,たくさんの質問,恐縮でございますが,今イラクに自衛隊派遣ということでございます。そういった流れの中で,国際貢献活動ということについて,やはり我々一人一人が考えていかなくてはいけない,そういった状況にある中で,この2月定例会で国際貢献活動を支援する,そういった条例をつくるということについて,タイミング的にはいろいろこれは考えていかなくてはいけない時期ではないかなあというふうに思います。具体的には,緊急救援物資を本当にイラクに送ることができるのか。私は,心情的には送りたいわけですけども,そういったことも許されるのかどうか,非常に生々しい話が出てくる,そういったタイミングにこの国際貢献条例の制定がかかってくるということでございます。こういったタイミングがどうなのか,知事の御所見をお聞かせください。

(知事)  NGOについてであります。
 国際貢献推進条例制定の理由についてでありますが,これは,本年3月,岡山発の国際貢献を考える会から,国際貢献に関する条例の制定について提言を受け,検討を進めてきているものであります。条例の目的は,県民との協働で国際貢献活動を推進をし,もって夢づくりプランの中でうたっております「国際貢献先進県おかやま」の実現を図ろうとするものでありまして,県民の皆様方に対し,具体的な義務を課するようなものではなく,国際貢献に関する機運を醸成して,そして,県民・NGO等との協働によって国際貢献活動を推進をしていこうと,こういうものであります。現在,条例案につきまして,その骨子につきパブリック・コメントを実施中でありまして,今後,条文化に当たりましては,県議会を初め,NGO等広く県民の皆様の御意見をお聞きしながら成案を得るようにしていきたいと,このように考えております。
 NGOとの連携でありますが,国際貢献を考える会におきましては,明石元国連事務次長など有識者に加え,複数の県内NGO関係者──先ほど御紹介いただきました有森裕子さんにも委員として御審議をいただいているところでありまして,また,条例案の骨子につきましては,お話の約110のNGOが構成する連絡協議会の総会の場において説明を行ったところであります。
 また,NGOに共通する御指摘の諸課題の重要性は,県といたしましても十分認識をしております。人材の育成やNGO活動への支援につきましても,条例の中に位置づけをしたいと考えているところであります。今後とも,人材育成はもとより,岡山国際交流センター内にNGOの活動拠点を整備をいたしますとともに,国際貢献トピア岡山構想を推進する会など,NGO諸団体との連携を図ってまいりたいと存じます。
 岡山県国際交流協会の寄附行為についてのお尋ねでございますが,この寄附行為の変更の必要性につきましては,同協会において自主的に御判断されるべきものであると考えておりますが,現在,同協会におかれましては,従来よりNGO等と連携をされまして,地球市民フェスタを初めとする国際交流活動あるいは国際協力等に関する事業を実施しておられるところでございます。
 国際貢献活動についてでございますが,このたびの条例制定の趣旨は,本県の特性というものを生かしながら,外交など国家レベルの活動とは異なる人道的視点に立った,地域や個人レベルでの国際貢献活動を推進して,ひいては県民生活の質的向上と地域社会の活力の向上,これを目指そうというものでございまして,提案に当たりましては,内容等を慎重に検討いたしまして,県民の皆様の御理解を得られる,そういう条例案にいたしたいと考えているところであります。



<平成14年9月定例会>(2002年9月19日)

(佐藤)  日朝国交正常化交渉について,拉致被害者が殺されていたことは,日本人としてまことに無念です。国民の生命,自由,財産を守ってこその国であり,自国民を守れない,自国民が殺害されて黙っているようでは,主権国家の体をなしていないと言わざるを得ません。あくまで凛とした態度で絶対に妥協はしてほしくないと思いますが,究極の目標は世界平和であり,そもそも南北の分断の歴史を思うとき,日本人の立場で北朝鮮許すまじと感情的になることだけは避けたいところです。
 アメリカの対イラク戦略を含めても,こうした何か第三次世界大戦がリアルに感じられる中,戦後57年がたちました。私は,ことし38歳でございますが,春季慰霊大祭,終戦の日,秋季慰霊大祭には,できる限り護国神社にお参りさせていただき,また東京に行けば,まずは靖国神社にお参りさせていただきたい,そういう意識は働くのでございます。自民党議員としては当然でも,同世代の感覚としては,ある意味珍しいと言われるわけですが,祖国の礎を築いてくださった方々に感謝の誠が捧げられない,あれこれと理屈が先に立ち,まずはそういう感覚が当然であると感じられない,あるいはその感情を発露できないところに現代日本の悲劇があるように思います。とはいうものの,諸先輩方には大変失礼かと存じますが,昭和39年生まれで高度成長期の恩恵をまともに受けて,かように丸々と太りました私には,戦地に行かれた方や遺族の方のお話を伺っても,あるいは地域を歩き,そこに草むした地域の慰霊塔があっても,正直に申し上げてどうしても実感としてわからない部分があるのです。
 また,57年前の6月29日,岡山を大空襲が襲い,私が住む,当時は桶屋町──今は平和を祈り,平和町ですが,もう火の海になり,私の曾祖母や祖父の兄弟も防空壕で焼け死んだと言います。しかしながら,10年以上前に亡くなった祖父からも,先日84歳でなくなった祖母からも,結局その詳細は聞かずじまいでした。
 また,7月14日には,岡山でも平和祈念事業特別基金の平和祈念フォーラムが開催されましたが,岡山大空襲についてはまだしも,シベリア抑留についてそもそも語られること自体が少ないため,私自身認識が非常に不十分なことを恥じ入りました。そして,このような形で,何か語り継がれることがないままに,当時の物や,当時を生きた方々や,何より大切な日本人の心が消えていく,そんな気がしてならないのです。
 世界唯一の,天下泰平の平和ぼけの中で,日本がアメリカと戦争したことなど想像もつかない世代が,これから社会の中枢を占めていきます。私は,偏狭なナショナリズムを叫ぶ気も,昨今はやりのアメリカを批判する気もありません。しかし,アメリカ仕込みのグローバリゼーションの名のもとに,日本人の顔をした何やらわけのわからんよその世界の人間がこれからますますふえていくことには,大変な危機感を覚えています。日本人の潔さ,謙虚さ,優しさや思いやり,自然と共生してかつ厳かに勤勉に生きる,何より,自分の,他人のすべての「命」に対して畏敬と畏怖の念を持つ,それが今の日本のどこにあるでしょうか。
 しかし,そんな中で,希望がないわけではありません。先日の日韓共催のワールドカップサッカーで,多くの若者が日本を感じました。もっとも,今まで見向きもしなかった日の丸を振り,しかも顔にペイントできる感覚,さらには,ワールドカップサッカーという国対国のスポーツに狂喜した若者が,原爆投下や戦争をつなげて考えることはできない。そのことは大いに不満ではあります。ただ,間違いなく,世界の中における日本という視点を,このワールドカップサッカーで新しい日本人は構築したと思います。今回の小泉総理の訪朝も,また違った感覚でとらえることができる。そういったワールドワイドな物の見方をだれもが普通にできるようになったように思います。
 そして,1周忌を迎えましたが,昨年9月11日の米国同時多発テロ事件,向こうがくしゃみをすればこちらが風邪を引くアメリカのこととなると,対岸の火事ではなく,隣の火事であり,こういうことは起きるんだ,戦争はごく身近にあるんだという事実が,日本人,とりわけ若い世代に大変なショックを与えたことは間違いありません。そして,彼らは,戦争というものについて,平和について,我が事として考え始めたのです。そして,それは,日本という国を考えるスタートでもあります。思うに,戦後57年,戦争が風化していく中で,世界が,戦争が,再び身近なものになっている現在,ある意味で,改めて日本のことについて考える,世界平和について考える絶好の時期が来ていると思います。逆に,ここを外すと,日本国内で,時代が分断される中で,歴史を見据えることもなく,国を思うこともなく,再び,知らず知らずのうちに,世界でどこのだれが争おうが平気な,あるいはみずから戦争の惨禍に見舞われる道を,我々日本は歩んでいくことになりかねないと思います。今必要なのは,日本の時代と時代をつなぐことです。今,戦争と平和,日本と世界を語らねば,聞かなければ,日本がつながりません。
 そこで,私は,ピース・ミュージアムの構築を提言させていただきます。過去の出来事については,イデオロギーの対立があるのは百も承知の上で,大切なのは,そういった争いを超えて,未来,あしたに向かって,次の世代が,若者たちが,世界の中の日本人として,世界平和に対して何をなすかということです。そのためにも,私は,過去と未来を現在でつなげる「場」が必要だと思うのです。
 まず,知事が考えられる平和とは何ぞや,戦争とは何ぞや,また,岡山県が,世界平和に対して果たす役割についてお知らせください。
 次に,岡山大空襲については,岡山市内の旧出石小学校の校舎内にできた岡山空襲出石資料館などが収集,展示をされておられますが,太平洋戦争のみならず,戦争に関して,岡山県内の戦争資料等は散逸の危機にあると思いますが,どのように把握され,今後どのように対応されるのでしょうか。他県では,さまざまな形,名称で,こういった資料を収集,展示している機関がありますが,遊休施設の活用等を含めて整備することは考えられないでしょうか。
 また,新設になる文書館や県立図書館にこういった資料の収集,管理機能はあるのでしょうか。
 これに関連して,結果的に訴訟にはなりましたが,岡山には個人が所蔵するには膨大な量のさまざまな健康被害や公害等の資料があります。これもまた同様に散逸の危機にあります。こういった資料を,行政としても保存することを検討されますよう要望いたします。
 また,地域によっては,慰霊塔などは高齢化した遺族会の皆様が交代で清掃,管理されているのが実情だと思いますが,年々維持が難しくなっています。こういった状況に対して,どのような支援が考えられるのでしょうか。
 さらに,必ずしも箱物でなくても,こういった資料をデジタルで残すことは考えられないでしょうか。特に,さまざまな立場で戦争を体験された方々のさまざまな声をデジタル録画,デジタル録音し,ホームページ等でデジタル・ピース・ミュージアムを開設し,生きた資料として永久保存するのです。特に,IT先進県岡山県が,そのコンテンツにおいても世界に発信できるものと考えますが,いかがでしょうか。
 加えて,戦争体験者と若者との交流の場づくり等,積極的に行っていくべきだと思いますが,そういった施策は考えられないでしょうか。
 以上,保健福祉部長にお伺いいたします。
 さらに,教育長にお伺いいたします。
 教育長の考えられる平和とは何ぞや,戦争とは何ぞや,また岡山県教育界が世界平和に対して果たす役割についてお知らせください。
 さて,先般,アメリカの同時多発テロ事件から1年たった9月11日,「岡山こども平和の声」の高校生たちが,みずから考えた平和宣言を教育長に渡されました。こうした高校生たちの頼もしい自発的な動きについて,また平和宣言についてどういう御所見を持たれたでしょうか。
 また,今後高校生たちに平和という観点から何を望まれるでしょうか。
 また,国際理解教育の一環としての総合的な学習の時間等で,平和学習についてはどのような取り組みがなされているのでしょうか。
 また,高校生会議等で,学校や地域を超えて平和について考える機会を設けることはできないでしょうか

(知事)  平和と戦争についての考えということでございますが,人類共通の明るい未来の創造というものを目指しまして,人種・宗教などさまざまな違いというものを認め合って,友愛と協和の精神に満ちた,争いのない安穏なる状態,これが平和であり,そうした状態でない場合に起こる国家間等の武力闘争,これが戦争であると,このように思っております。
 県といたしましての平和への果たす役割ということでございますが,市町村,県民,NPO・ボランティア等々と協力連携をしながら,本県が持っております医療とか福祉とかITといった,そういうすぐれた技術資源を活用する中で,開発途上国の発展に協力をしていくなど,国際貢献活動に取り組んでいって,平和に寄与していきたいものだと,このように願っております。

(保健福祉部長)  戦争資料等の把握,収集,展示についてでございますが,戦争資料を保存し,後世に伝えていくことは意義のあることと考えておりまして,総合文化センター等で当時を物語る刊行物等を収集,保存し,閲覧に供しておりますほか,平成8年に発刊した戦後50周年記念誌の「援護の歩み」に,県民の方々の戦時体験記録や写真を収録したところでございます。今後とも,岡山県遺族連盟などと協力しながら,戦争資料等の収集,保存に努めることにしておりますが,展示施設につきましては,今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
 なお,文書館や県立図書館についても,戦争関連記録資料の収集,管理については,今後とも続けていく予定であると伺っております。
 次に,慰霊塔等の管理についてでございますが,地域によっては,遺族の方々のほか,町内会,老人会などが清掃活動を行っているところがあると伺っております。こうした活動が広がり,慰霊塔等の適切な維持管理が行われるよう,県としても,岡山県遺族連盟等関係団体を通じて働きかけてまいりたいと考えております。
 次に,戦争資料等のデジタル化等についてでございますが,ピース・ミュージアムや若者との交流の場づくり等の御提案をいただきましたが,戦争の悲惨さ体験談等を保存し,次代を担う若者を初め多くの県民の方々に伝えるため,インターネットを含めどのような手段が活用できるのか,関係団体とともに検討してまいりたいと考えております。

(教育長)  まず,平和と戦争に関する私の考えについてでございますが,平和と戦争は言葉の意味としては表裏の関係にあると思いますが,私大切だと思っておりますことは,単に武力紛争がないというような状態をつくるということではなくて,恒久平和に向かって一人一人が努力すると,そうした努力する姿勢が大切ではないかと,このように考えております。
 国際貢献先進県を目指しております岡山県に生きる私たち教育関係者が,世界の人々と協力しながら,世界平和の実現と維持に向けた不断の努力をするとともに,国際社会の中で日本人としての自覚を持ち,進んで世界平和に貢献できる人材を育成することが私たちにとっては大切であると考えております。
 次に,高校生たちによる平和宣言等についてでございます。先日,この平和宣言を持って私のところへ高校生が訪ねて来られまして,久しぶりに若い者と直接楽しいひとときを過ごすことができました。この戦争への記憶が薄れつつある我が国におきまして,高校生が,自発的に過去や現在の戦争を見つめ,恒久平和を実現するために自分たちに何ができるかを考え,取り組むことは大変意義あることだと考えております。この高校生の平和宣言には,一人一人が戦争や紛争について学習し,理解を深めるとともに,日々思いやりを持って行動することが平和につながると書いてありました。その考えやこうした姿勢に大変共感を覚えたところでございます。
 私といたしましては,高校生が広く社会に目を向け,自分の意見を持つとともに,他人の意見にも十分に耳を傾け,平和の実現のため考え,行動する力を身につけてくれるよう大いに期待をしているところでございます。
 最後に,平和学習についてでございますが,学校では,社会科などでの学習とあわせまして,総合的学習の時間におきまして,外国の留学生との交流会を持つなど,国際理解教育の視点に立ちまして,平和についての理解を深めております。
 また,高校生会議では,昨年開催しました岡山県高校生議会での宣言を初め,学校や地域を超えて国際貢献の講演会や募金活動に取り組んでおりまして,今後も,こうした取り組みが充実されることを期待しているところでございます。



<平成14年2月定例会>(2002年3月5日)

(佐藤)  次に,NPO,NGOについて伺います。
 非常に残念ながら,外務省の日本のNGO2団体の参加拒否問題は,政権基盤を揺るがしかねない大問題に発展してしまいました。私は,NGOの発言云々というよりも,その後のマスコミの報道のあり方についてもちょっと残念に思うところがあります。ただ,いずれにせよ,NPO,NGOが時として非常に大きな政治的な影響力を持つこと,さらには,税金からなる補助金を受けている限りは,国民に対してNPO,NGOにも大きな責任があるということが明確になったという意味で,ある種のきっかけにもなったというふうに思います。
 ところで,本県においては,このたび岡山市石関町にボランティア・NPO活動支援センターの整備をしていただくことは大歓迎であり,また,NPO支援の中核組織NPOサポートネットワークが岡山NPOセンターとしてみずからが特定非営利活動法人格を取得したこと,さらには,NPOのサミットも大成功をおさめるという非常によい話がありました。
 ところが一方で,NPO法人事務局長が,組幹部とともに暴力行為で逮捕されるという非常につらい事件もありました。しかしこのことは,皮肉にもNPOに社会的な信用があること,また県の行っている法人格の認証が,許可ではなくきちんと認証という形で正しく機能していることの証左ともなりました。
 まず,こういった状況の中で現在知事は行政とのかかわりにおいて,NGOやNPOに対してどのような認識を持っておられるでしょうか。
 法人格は認証により取得できますし,これが事実上の許可になることはあってはならないと私は思いますが,NPOへの法人格の付与とその後の活動のチェックは別の話です。法人格取得以後の具体的活動状況について休眠中の法人等も含めてどのように把握されているのでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。
 また,NPOオンブズマンというわけではありませんが,行政によるものではなく,NPOの自己評価,NPO同士の相互チェック機能,あるいはその組織というものが早晩必要になってくると考えますが,生活環境部長はこの点につきどのように認識され,また支援されようとお考えでしょうか。

 次に,岡山国際交流センターに関して伺います。
 同センターは,平成7年6月24日岡山県がJR岡山駅西口に設置した施設で,国際交流,国際理解,外国人向けサービスなどの総合的機能を備えた,中四国における国際交流の拠点となっています。また,平成17年「晴れの国おかやま国体」主会場の西の玄関口であり,地元商店街や急速に進む再開発地域の核施設でもあります。ただ,閉館時間が早い,図書資料室の資料貸し出しができない等々の問題はかねてから指摘されているところです。私は,国際交流から離れたイベント会場として利用されることも重要ですが,より本来の国際交流の岡山県のセンター機能を果たすべきではないかと考えます。こういった観点から幾つか提言させていただきます。
 まず第1に,同館の宿泊施設等は必ずしも空間が有効に活用されているようには思えません。4階に1部屋交流サロンはありますが,例えば県内のNGOの事務所を集積させる等,よりセンター機能を果たす空間の活用方法は考えられないでしょうか。
 あわせて,「国際貢献先進県おかやま」という構想の中で,国際交流センターが果たすべき役割をどのようにお考えでしょうか,知事にお伺いいたします。
 次に,IT先進県をうたう岡山県ですから,外国語のOSのインストールされたパソコン端末があってもよいのではないでしょうか。また,ITを活用した国際協力のソフトを充実するなどして,センターで外国人及びNGOやNPOが自由に活用できるようにできないでしょうか。さらに,留学生関係のボランティア活動の支援を強化する施策は考えられないでしょうか。具体的には,県民の方々にメンバー登録をしていただき,日本での家族的な役割を果たしてくださるような方々を募り,主にその方々を対象に留学生との接し方を学んでいただくような講習会を開いたり,またメンバーをふやすための広報活動,異文化理解のための講演会等が考えられます。1回限りのお祭りやパーティーのようなものではなく,お互いの文化を伝え合う,後につながるセンターであるべきだと考えますが,いかがでしょうか。
 以上は,企画振興部長にお伺いいたします。
 さらに関連して,本年は日韓共同開催のサッカー・ワールドカップがあり,さらに本県と江西省との友好提携10周年であると同時に,郷土の偉人岡崎嘉平太先生ゆかりの日中国交正常化30周年の記念すべき年でもあります。両国には直行便も飛んでおり,国際交流はもとより,観光振興等に結びつけるべきだと思いますが,知事はいかがお考えでしょうか。

(知事)  次に,NPO,NGOと行政とのかかわりについてでありますが,特に阪神・淡路大震災以降,こうした団体の果たしていく役割の重要性というものが見直されまして,国際貢献や環境,あるいは文化など多様な分野におきまして,行政とかあるいは民間企業では対応できないきめ細かい社会サービスというものを提供したり,あるいは時代を先取りする活動を行うことが実証されてきております。しかし一部に,お話にございましたようなNPO法人にかかわる事件が起こっていることは,これはまことに遺憾なことでありまして,県といたしましても,この点につきましては毅然とした態度で対応をすべきものと,このように考えておりますが,基本的には,NPOやNGOと行政との関係は,それぞれの機能分担のもとでお互いが自主性を尊重した協働,すなわちパートナーシップの関係にあるべきものと認識をしております。
 次に,国際交流センターの機能についてでありますが,今後,国際貢献ボランティアの育成やあるいはNGOの活動支援などの事業を実施して,同センターが,「国際貢献先進県おかやま」を目指した人,情報,心の交流拠点としての役割を果たしていくように努力してまいりたいと存じます。あわせまして,関係団体等の御意見をお伺いをしながら,国際交流の促進を初め,NGOの方々が活動しやすい環境づくりなど,交流センター機能がより一層発揮できるよう施設の有効活用方策等につきましても検討をしてまいりたいと考えております。
 韓国,中国との交流等についてでありますが,中国とは,江西省との友好提携締結10周年を契機に,友好訪問団の相互派遣などを実施いたしたいと考えております。また,上海の旅行会社に対します岡山向け旅行商品の開発の働きかけや中国江西省からの経済代表団の受け入れを検討いたしております。
 また,韓国とは,ワールドカップ共同開催の本年が日韓国民交流年でございますので,関係団体と連携をした文化・スポーツ交流とともに,韓国での国際観光展への出展やあるいは商談会を計画するなど,多くの分野での一層の交流の活発化に努めてまいりたいと存じます。

(企画振興部長)  岡山国際交流センターにおきましてのITの活用についてでございますが,センター機能の拡充を図りますため,新たに中国語などのOSがインストールされましたパソコン端末の増設のほか,NGOの活動状況や各種支援制度,あるいは外国語が通じる公共施設などの情報が容易に検索できるソフトの充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に,ボランティア支援についてでございますが,外国人の方々の岡山での生活がより充実したものとなりますよう,岡山国際交流センターに国際ボランティア人材バンクを今月中に開設すべく関係機関との協議・調整を進めているところでございます。この中で,佐藤議員からも御提案がございました留学生の相談相手やホームステイの受け入れなどを行う留学生等協力家庭ボランティアといった制度を設けまして,県民の方々に広くこのバンクへの登録を呼びかけますとともに,協力家庭を対象にいたしました研修会の開催なども検討してまいりたいと考えております。

(生活環境部長)  NPO法人の活動状況の把握についてでありますが,特定非営利活動促進法では,法人格取得後も,毎年1回事業年度終了後3カ月以内に県に対し事業報告書や収支決算書等一定の書類を提出することとなっており,これらの書類に基づいて活動状況を把握しているところであります。
 本県の状況としましては,認証した法人のうち,平成14年2月末までに報告が必要であった42法人につきましては休眠法人はなく,すべての法人から事業報告書等の提出を受けております。
 なお,法人の具体的活動が法令等に違反していると認められる相当の理由がある場合には,当該法人に対し報告の徴収や立入検査等を行うことができるものでありまして,今後,必要に応じこうした措置を講じてまいりたいと存じます。
 次に,自己評価等についてでありますが,NPOが自己評価またはNPO相互のチェックを行い,その結果を活動や組織運営に生かしていくことは極めて重要であると認識しております。これらの自己評価や相互チェックを支援する組織につきましては,行政ではなく,NPOの運営や活動を支援するNPOの自律的判断に基づく取り組みが望ましいと考えております。このため,県としましては,そうした支援組織であるNPOと連携し,自己評価やマネジメント手法についてセミナーや研修会,さらには情報誌やホームページによる情報提供をもって支援してまいりたいと存じます。



<平成12年6月定例会>(2000年6月20日)

(佐藤)  さらに,こうした人のお役に立ちたいという思い一つで世界に飛び出していく青年として,青年海外協力隊がいます。青年海外協力隊事業は,開発途上地域の住民と一体となって当該地域の経済及び社会の発展に協力することを目的とする海外での青年の活動を促進し及び助長する事業です。
 昭和40年4月に,外務省所管の事業としてスタートし,その後昭和49年8月に国際協力事業団(JICA)が発足し,その重要な事業の一つとして受け継がれ,今までに69カ国約2万人の隊員が派遣されています。現在,約2,500人が約60カ国に派遣され,7部門約140職種で活動をしています。技術や知識を生かして,派遣された現地の人々とともに生活し,働き,その国の言葉を話し,相互理解を図りながら自助努力を促進させる形で協力活動を展開する。それが青年海外協力隊の基本姿勢です。もちろん,岡山県からも毎年多く青年が,この青年海外協力隊に参加しますが,彼らの共通の悩みは,帰国後の就職がないことです。彼らの活動期間は2年間で,2年後には日本社会に復帰することになります。が,現職参加の方は,現場復帰できる場合もありますが,実際は,公務員でも退職してでないと参加できない場合があるように,大概はすべてを投げ打って海外へ向かう方が多いようです。約75%の方が,学生か新卒者か退職参加者です。すなわち,帰国後の就職先が未定なのです。2割は帰国後1年以上たっても就職先が未定とのことです。むちゃができるのも青年の特権といえば特権ですが,崇高な思いと帰国後のその待遇のギャップを思うとき,余りに気の毒としか言いようがありません。
 そこで知事にお伺いいたします。
 まず,岡山県から青年海外協力隊に参加する青年に対してどんな思いをお持ちでしょうか。また,その実態についてどのように把握されておられるでしょうか。
 特に,まずは現職派遣について,帰国後の再就職について,県内企業に対してアピールしていくこと等は御計画でしょうか,企画振興部長にお伺いします。
 また,人材の宝庫としての青年海外協力隊OBを職員として迎えることは考えられないでしょうか。特に,イベントに終わりがちな国際交流事業を地域活性化の一方策として長期的な展望に立って考えるとき,指導者としての彼らは即戦力であると考えますがいかがでしょうか。あわせて県職員の方の派遣実績についてもお聞かせください。総務部長に伺います。
 また,総合的な学習の時間等で彼らの経験を生かせる方策はないでしょうか,教育長にお伺いいたします。
 加えて,はるか遠くから故郷岡山を思う彼らに,岡山の情報は届いているでしょうか。岡山が彼らの派遣地に届いているでしょうか。例えば,国際交流センター内に,そういった情報が集まったり発信されたりする仕組みは考えられないでしょうか,企画振興部長にお伺いいたします。
 国際化の推進,国際協力の促進のために,ぜひ青年海外協力隊の経験と若いエネルギーを生かしていただければと切にお願い申し上げます。

(知事)  次に,青年海外協力隊事業でございます。
 参加青年に対する思いと実態でございますが,本県出身の協力隊員は,本年3月末までに260名の方が52カ国へ派遣をされておりまして,農林水産,土木あるいは保健衛生など幅広い分野におきまして,それぞれ現地における厳しい環境とか,あるいは困難な状況のもとで技術指導等に精力的に取り組んでおられます。そして,派遣国の発展に大きく貢献をされておりますことは大変意義深く,私といたしましてもその活躍を心強く思っているところでございます。
 先日も今回帰国されました協力隊員の方々とお会いをいたしまして,派遣先での活動とか,あるいは御労苦を直接お聞きをしたところでございます。同時に,協力隊のOBの方々も御出席をされておられまして,帰国後の再就職の厳しさにつきまして,御質問にもございましたが,その実態をお伺いをしたところでございます。この帰国後の就職確保などの問題につきましては,国際協力事業団(中国国際センター)が中心となって取り組んでおられるところでございますが,県といたしましても県内の企業等に対しまして協力を要請をしてまいりたいと考えております。

(総務部長)  青年海外協力隊OBの採用等についてでございますが,職員の採用は,地方公務員法におきまして能力主義に基づく競争試験によることが原則とされておりまして,協力隊OBを競争試験等によらずに優先的に採用することは困難でございますので,御理解を願いたいと思います。
 県職員の参加についてでございますが,この事業は職員の身分を有したまま参加できるということになっておりまして,これまで教員を含めまして12名の職員が協力隊に参加しているところでございます。帰国後は,この貴重な経験を職務に生かしまして活躍していただいているところでございます。

(企画振興部長)  青年海外協力隊員の帰国後の再就職についてでございますが,本県出身の帰国隊員の就職状況は,ここ3年について見ますと,現職復帰を含めまして約8割程度と聞いております。
 県では,帰国隊員の就職先の確保を図りますために,本年2月に国際協力事業団との共催によりまして県内企業や経済団体との懇談会を開催し,帰国隊員の雇用受入や現職のまま参加できる制度の導入を働きかけたところでございますが,今後とも,帰国隊員が就職できるよう,県内企業あるいは経済団体等に雇用の受け入れ等の協力を要請してまいりたいと存じます。
 現地の隊員に対する岡山の情報の提供についてでございますが,本県では,今年度から,新たにインターネットにより岡山の各種の情報を海外に発信していくことといたしておりまして,来月から,順次,青年海外協力隊の方々にも毎月の岡山の話題など最新情報を提供していきたいと考えております。また,Eメールを活用して,隊員の方々の活動の状況や現地の情報が届いた場合には,岡山国際交流センターを通じまして関係団体等へ伝えてまいりたいと存じます。

(教育長)  青年海外協力隊経験者の総合的な学習時間等での活用についてでございますが,青年海外協力隊の方々が,開発途上国に赴きまして,経済社会の発展のために献身的な活動をされていることは,日本の国際貢献の上からも大きな意義あることでございます。そのため,県の教育委員会といたしましても,規程を整備いたしまして希望する現職職員には参加の機会を設けております。
 また,帰国した方々からは,これまでも学校での講話や教員研修の講師などをお願いしておりますが,今後とも,国際理解や環境問題などについて,総合的な学習の時間や教科の学習で,ゲストティーチャーとして海外での豊かな経験を生かして指導いただくことは,児童生徒にとって大変有意義なことでございまして,御協力いただければありがたいと考えております。



<平成11年12月定例会>(1999年12月10日)

(佐藤)  さて,このようにゼロサムゲーム的に地球的規模で物事を考えますと,現在あるイデオロギーや国境も神様の落書きにすらならないと思えますし,結局何かの犠牲の上に我々の繁栄があるのならば少し謙虚に優しい気持ちにもなってまいります。「情けは人のためならず」,「困ったときはお互いさま」という言葉も身にしみますし,環境問題,福祉問題も他人事ではなくなります。ゆえに,会ったこともない人たちや行ったこともない国も,地球の上にいるからにはやはりどこかでつながっている,そう考えざるを得ないのです。仮に情報ハイウェイがなくても岡山県と世界はつながっています。
 思うに,ODA(政府開発援助)がかなり外交戦略的要素が強いのに比較して,NGO(ノン・ガバメンタル・オーガニゼーション)で活動される方の根底には,こういった「困ったときにはお互いさま」,そういった思いもあるようです。
 御案内のとおり,NGOは通常非政府組織と訳されることが多いようですが,日本ではNPOと区別して使われ,非営利をいうNPOの中でもさらに,特に国境を意識して,それを越えるボランティアという意味で使われていることが多いように思います。しかし,諸外国では,政府の活動と区別される民間の国際的な組織として,地球的規模の諸問題に対して,各国政府または国連機関の活動を補完,協力したり,発展途上国での災害,飢餓,難民問題などへの対応で重要性がますます高まってきています。多くのNGOが政策形成過程に深くかかわっており,一般に考えられているボランティアとは全く異なっています。
 NGOといえば,岡山に本部を置くAMDA(アジア医師連絡協議会)は全国的にも有名ですが,岡山県ではほかにも,ことしの6月に第55回日本ユネスコ運動全国大会イン岡山を大成功させ,地道に環境問題に取り組み,環境サポートセンター設置を目指す岡山ユネスコ協会,ネパールを中心に教育支援を行うAEA,フィリピンを中心に不要になったリコーダーを送るリコーダーをおくる会,ユニセフ協会,アムネスティ等々,さらに宗教団体が行うNGOを含めると数十の団体が活発に活動しています。そういった中で南北ネットワークなどNGOのネットワーク組織も定期的に活動しています。特に,NGOに対しては,街づくりグループや福祉ボランティアと比較して直接市民生活とはかかわりがないのではないか,こういった活動への助成は優先課題,緊急課題ではないのではないかという意見もありますが,実際は,こういった国際的な視野を持った市民団体が21世紀の地方政治に対して果たす役割は極めて大きなものだと私は思います。
 世界を取り巻く状況は,人,物,情報等の流れが地球的規模で拡大する一方で,環境問題,人口,資源,エネルギー問題など,国際的に協力して解決すべき問題が存在しています。こういった中で,岡山県の問題は世界の問題,世界の問題は岡山県の問題という認識が必要であると思います。スインクグローバリー,アクトローカリーという言葉はNGOの世界ではよく言われることでありますが,岡山県は岡山県としてすぐれた技術を生かした技術協力や開発途上国への人づくり支援などの取り組みが必要であると思います。そのためにも行政とNGOが連携して国際協力を進めていくべきだと思います。
 そこで,知事にお伺いいたします。
 現在,どの程度岡山県は国際協力,国際貢献をし,各市町村においてはどうでしょうか。また,知事はNPOの活用とよく言われますが,今後,NPOの中で特にNGOをどういった形で活用していかれるのでしょうか,具体的にお示しください。
 また,関連して,NGOを含めたNPO一般について何らかの支援措置をさらに進める計画はおありでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。
 さらに,岡山県新総合福祉・ボランティア会館は,NGOに対してもNPO一般と同様に利用できる計画なのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。
 さて,本日,「人間尊重」をテーマに第6回国際貢献NGOサミットが県内の数会場に分かれて開幕いたしました。このサミットは,国際貢献をテーマにした日本で初めてのNGOの国際会議として1994年から始まり,医療,教育,宗教,環境,福祉などをテーマに地道に行われてきたもので,これまでに数十カ国に及ぶNGOの代表者が来岡されており,多くのボランティアが会の運営を支えてきました。このサミットを主催する国際貢献トピア岡山構想を推進する会──通称トピアの会といいますが──AMDAや岡山ユネスコ協会などが集まり結成されたNGOのネットワーク組織であり,国際貢献都市岡山を世界に向け発信しようという,いわば地域づくりの組織でもあります。特に,トピアの会の中の小委員会が国際貢献,国際交流をテーマに積極的に商店街の活性化に取り組んだりもしております。
 ところで,NGOの国際会議をなぜ岡山でやるのかにつき,AMDAの菅波先生は「岡山は,教育や医療,宗教などといった人としての品位を高める文化をはぐくみ,よりよき精神風土を備えている。NGOも人道援助活動を理念にしている。岡山にはNGOを育てる条件,風土があり,世界の人道援助活動の拠点になり得る」と説明されています。そして,トピアの会は,いわゆるインターナショナルNGOが集積する「西のジュネーブ」に対して,ローカルNGO,リージョナルNGOが集積する「東の岡山」を目指しています。「西のジュネーブ,東の岡山」というまことに大胆な提言であり,実現のためにはそれだけの時間とお金もかかることではありますが,21世紀の岡山の一つの姿ではなかろうかと思います。
 そこで,知事にお伺いいたします。
 きょうから始まった国際貢献NGOサミットを県としてどのように評価されますか,お教えください。また,こういったNGOサミットの成果として,例えば姉妹校縁組がなされたり,数々の民間交流が始まっていますが,県としてこれをどうフォローされていくのでしょうか,あるいは岡山情報ハイウェイ構想の一環として,こういった情報を県からも世界に向けて発信するなどサポートできないか,お伺いいたします。
 次に,私は別に面識はございませんが,阪神タイガースの野村監督がおっしゃることに,何を残すかで人の価値は決まるそうであります。下はお金を残す人,中は名を残す人,上は人を残す人だそうで,お金も,名声も,人も残している方だけに深いなあと思うわけですが,特に男は子供が産めないだけにやたら何かを残したがる気がいたします。そうしてみると,幕末の志士たちがその思いでつながっていたように,やはりかなり意識して人を残していかないといけない,それが人間の一つの評価なのだと思います。少なくとも10年先を思うなら10年後の人材も育てなくてはいけない,20年後を憂うのであれば未来からの使者である今の子供たちを思わなくてはいけない,21世紀の岡山を思うと,やはりどれだけの人材が自前で育つか,どれだけの人材を残していけるかが勝負であると思います。人材によって岡山県は栄えるという「富県人材論」を唱えたく思いますが,21世紀をにらんで地方競争を乗り切っていくために,行政の中でどのように人材を育てようとされているのか,あるいはどんな人材が育ち,どんな成果が上がっているのか,21世紀のあるべき地方公務員の姿を含めて,その人材論を知事にお伺いいたします。

(保健福祉部長)  新総合福祉・ボランティア会館についてでございますが,平成9年度に策定いたしました基本構想では,ボランティア活動への支援機能を会館の基本的機能の一つと,このように位置づけているところでございます。
 今後,NPO,NGOなど各種団体が地域や分野を越えて相互交流できる場,そうした場の提供につきましても基本計画の中で検討してまいりたいと存じます。

(知事)  国際協力についてのお尋ねがございました。国際協力,貢献の県の取り組み一般についてということでございますが,岡山県といたしましては,本県が持っております特性あるいは岡山県が持っております蓄積した技術といったものを生かした,御存じのとおり提携しております中国の江西省,そことの環境にかかわります技術協力をやっておりますし,あるいはアジアとか南米地域等からの海外技術研修員の方々を受け入れまして,そして国際貢献ボランティアの養成をして,これからの国際貢献社会の中に役立っていくようなそういう人材の養成をしているわけでございまして,このようなことで幅広く国際協力を展開しているわけでございます。
 また,市町村の状況を見ておりますと,各市町村は,国際協力事業団がございますが,これを通じました技術専門員の派遣とかあるいは受け入れ,また友好提携先をいろいろ各市町村ごと縁組を組んでいらっしゃいますから,そこからの研修の受け入れ等,従来からのそういった国際交流の実績というものを背景としながら,地域の特性をそれぞれ生かされまして積極的に技術協力とかあるいは人づくりの支援といったようなことを行われております。
 県といたしましては,県とそして市町村間の連携をすることが重要でございますので,国際化に関する連絡会議がございますので,そういった会議等を通じまして,市町村との情報交換とか,あるいは国際協力の推進につきまして県の方からも市町村にお願いをいたしております。さらに,積極的に国際協力を展開するように諸施策を推進してまいりたいと考えております。
 NGOについてのお話がございましたが,この活用につきましては,申し上げるまでもなく,21世紀に向けまして世界へ貢献する岡山ということを標榜しておりますけれども,これを実現するためには国とそして地方公共団体と,そして御質問がございましたこのNGO,これがそれぞれの役割を果たしながら相互にお互い連携,協力することが基本の柱でなきゃいけないと思います。このため県といたしましては,先ほど申し上げました国際貢献ボランティア,こういう方々等の人材養成をしておりますし,また本日開催をされておりますが,NGOが活動しやすいトピアの会のような活動の応援をすると,こういったことに加えまして,県とAMDAが一緒になりまして,先ほど申し上げた中国の江西省の環境の協力を進めるための会議,これは環境保全対策会議と申しておりますけれども,これを開催しております。こういったようなことでNGO等の民間団体との緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
 本日開催の国際貢献NGOサミットの評価とフォローということになるわけでございますが,これは平成6年度からスタートしたということでございまして,世界のNGOの方々を岡山に招いて,そしてそのNGOの方々が相互に情報交換とかあるいは共同の援助活動についてお話し合いをしていただいております。そしてまた,これを契機といたしましての国際姉妹校縁組とか,あるいはNGOが共同して行う事業,こういったことを進めるということになりましたということでございまして,このことは世界に開かれ,そして世界に貢献をしていく岡山づくりという観点からは,大変有意義なことと評価をさせていただいております。県といたしましても,こういったような動きをしっかり把握をいたしまして,今後さらに開発途上国への技術協力とかあるいは人づくりの支援,こういったようなこと等々,本県の特性を生かした国際協力の促進方,そして充実に努めてまいりたいと考えております。
 これらのことに関しまして,情報ハイウェイによってサポートしてはということでございますけれども,インターネットを通じまして岡山県の魅力とかあるいはいろんな先進的な取り組みを世界に向けてこれを積極的に発信をしていくということは,世界に開かれた岡山県づくりの観点からも大変重要でございますし,先日は,岡山県のホームページにつきましても,英語版につきまして情報発信をスタートしたわけでございます。県といたしましては,この国際貢献NGOサミット

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