過去の岡山県議会一般質問集 <NPO>篇 | ||
<平成23年6月定例会>(2011年6月24日)
(佐藤) 最後に,NPOと新しい公共について伺います。 6月15日に,超党派のNPO議員連盟による議員立法の特定非営利活動促進法(NPO法)改正案が衆参本会議,両方で全会一致で可決されました。これは,1998年3月にNPO法が成立して以来の抜本的な改正でございます。これは,私も非常に高く評価できるものだと思いますが,同時に国からの流れで,県レベルでも責任がかなり生じてくるということでございますが,まずは,今回のNPO法改正の評価と決意についてお知らせください。 ところで,この春,国からの新しい公共支援事業交付金を活用して,岡山県新しい公共支援事業を立ち上げようとしておりますが,ただ新しい公共,NPOという言葉は使わなくても,地域には町内会初めさまざまな既存の組織がある。こうした組織は,もっと応援すべきように思いますが,知事の御認識をお知らせください。 ところで,今回の事業は,岡山県新しい公共の担い手育成支援事業と岡山県新しい公共の場づくりのためのモデル事業に分けられておりますが,前者は3,400万円規模の大事業で,委託対象となる中間支援組織も限られている。なぜ協働でなくて委託なのか,県民生活部長にお伺いします。 後者については,募集の期間が余りに短く,そしておおむね5団体以上で,行政と必ず連携することが要件として求められていますが,これでは新しいNPOが新しい公共空間をつくろうにも,とてもモデルとしては加わることができない。これがNPO支援になっているのか,県民生活部長の御所見をお聞かせください。 私は,行政とNPOとの人事交流が行えるぐらいになって初めて協働は成立するのではないか。端的には,NPOの人材を行政の担当課のトップに据えるぐらいの,そうした覚悟があって,時代の流れに沿った行政サービスに変化するように思います。ただ,こうして減税措置という,いわゆる選択的納税の対象として,専門性や機動性があるNPOや新しい公共が成長してくるに伴って,いずれ行政はむしろルーチンワークを行うか,ただの行政サービスの発注機関にしかならなくなるんじゃないか,そんな気すらしております。ある意味,このNPO,新しい公共支援というのは,行政の覚悟が必要でございますが,お考えをお知らせください。 (知事) 最後に,NPOと新しい公共についての御質問であります。 まず,法改正の評価等についてでありますが,今回の改正では,NPO法人の活動分野の拡大や寄附受け入れに関し,税制上の優遇措置を受けられるNPO法人の認定基準の緩和などが行われておりまして,これはNPO法人の活動の活性化と基盤強化に大きく寄与するものと考えられるところであります。県といたしましては,今後,来年4月の改正法の施行に向けまして,必要な条例改正等を行いますとともに,改正法の内容等の普及に努め,NPO法人の活動の活性化を促進してまいりたいと存じます。 既存の組織の応援でありますが,町内会や婦人会などの団体は,従来から地域住民の安全やコミュニティーの維持・活性化など,行政と住民との間をつなぐ活動を行っていただいておりまして,県といたしましても,さまざまな支援を行ってきているところであります。新しい公共は,NPOに限らず,こういった町内会などの既存組織も含めた担い手が行政との密接な連携のもとで,複雑多様化する地域の課題を効果的に解決しようとするものでありまして,今後とも,新しい公共支援事業の活用も促しながら,既存組織の活動を支援してまいりたいと存じます。 行政サービスの変化でありますが,このたびの減税措置によりまして,専門性,機動性のあるNPO等の財政基盤が確立するとともに,将来的に新しい公共が担う分野が増加することも期待でき,県といたしましては,新しい公共の担い手との協働のもと,県民サービスの向上につなげていきたいと考えております。一方,新しい公共の分野が拡大する中においても,行政には行政サービスを必要な人に行き届かせたり,適切なサービスを提供するなど,果たすべき責務が残っているものと,このように考えているところであります。 (県民生活部長) 次に,NPOと新しい公共に関して,新しい公共の担い手育成支援事業についてでありますが,この事業は新しい公共の担い手となるNPO等の人的・財政的な活動基盤の強化を支援するもので,内閣府のガイドラインでは,「NPO等を支援する民間団体の経験とノウハウを有効活用するため,積極的に中間支援組織等へ委託すること」とされています。県としましては,本ガイドラインを踏まえ,新しい公共の担い手であるNPO等の活動基盤の強化については,県が主体的に取り組むこととし,実施に当たっては,民間のノウハウを有効活用する観点から,委託としたものであります。 最後に,新しい公共の場づくりのためのモデル事業についてでありますが,NPO等への周知を図るため,国の予算要求の段階からボランティア・NPO活動支援センターを通じて情報提供を行いますとともに,国のガイドラインの策定を受け,ことし3月には説明会を開催し,その中でガイドラインに示された行政等との協働が要件であることについて,NPOや市町村等に対して説明してきたところであります。来年度の募集に向けましては,行政との協議など準備が十分でき,この事業に参入しやすくなるように,早い段階から県内各所でNPOや市町村等を対象とした説明会を開催するなど,多数のNPO等から応募が得られるよう周知に努めてまいりたいと存じます。 <平成17年6月定例会>(2005年6月17日) (佐藤) まず,知事のおっしゃられる協働についてお伺いいたします。 行財政改革の取り組みとして,第3次行財政改革大綱の目玉として,地方振興局が再編され,県民局が新しい時代の広域的な地域の総合出先機関となったわけでありますが,支局ではなく,県民局となった振興局があった地域の者には,なかなかダイナミックな変化があったということがわかりがたいものがあります。ただ,その中で明らかに昨年度と違うのは,総務部門を含んで地域政策部ができ,課ではなく協働推進室という室ができたことだと思います。まさに多様な主体との協働のもと,地域の実態を踏まえた施策を的確に展開するための最前線基地であり,大いに期待するものであります。そして,そこに振興班のみならず企画班ができたということは,県民局が本庁の施策を推進するのみならず,独自の政策形成機能を持つことになったと,私は理解しております。振興局ができた当初,お代官様をつくるのではなくて,市町村の側に立って,本庁に反旗を翻すような,そんな振興局長が出てきてほしいものだ,それが地方自治に資することになる,振興局制度の意味であるというふうに,前の知事がおっしゃられておられたと伺っておりますけれども,独自企画が積極的に出させるようになれば,まさにそういうことかもしれません。さらに,収税業務体制などはかなり強化されており,まずはこうした県民局内部の体制整備のねらいや,さらには,行財政改革の観点のみならず,地方自治の本旨に照らして,予算編成権等も含めて,本庁と県民局の関係がいかように変わっていくとお考えなのか,お知らせください。 ところで,県民局長がテーマや地域ごとに住民代表を集めた会合を開き,要望や課題を聞く方針とのことでありますが,最優秀賞には5万円の図書券をつけて,管内で官民協働で取り組む事業のアイデアを募集されようとしております。こういった懸賞というスタイルは協働のスタイルとしてはいかがなものでしょうか,また,ボランティアで行っていただくべきようなものにまで金銭が絡んでくるとすれば,それはある意味でボランティア精神への冒涜であって,協働という概念自体の自爆行為になるのではないかと,私は思います。協働を推進することへの金銭等の介在について,知事の哲学を教えてください。 少なくとも,協働という美名のもとに,県の事業推進のために,市民,県民の皆様を税金をもって手足のように使うようなことがあってはいけませんし,提案するのであれば,提案する者が一緒に実施しろというスタイルでは,なかなか提案も出てこないのではないでしょうか。知事は,市民,県民の皆様が行政と協働することのメリットがどこにあるものと認識されておられるのか,お知らせください。 また,地方分権の一層の推進を図っていくためにも,県から市町村への権限移譲を進めるための指針が先般示されましたけれども,移譲する事務に応じた人的支援や財政措置など,県民局の実務にいかなる影響が生じるのか,さらに,人材の移譲も考えられるのか,お知らせください。 また,関連して,協働事業やボランティアに関して,県庁職員の方々の地域活動やボランティアへの参加状況はいかがでしょうか。 ボランティアは強制されるものではないとはいえ,県から頼まれたので断り切れずにボランティアをやっとられる場合も多くございます。例えば,アダプト事業の引き受け主体は行政の有志がやってはいけないのでしょうか。国体ボランティアもそうでありますけれども,県民の皆様に協働を働きかける以前に,みずからが業務としてではなく,汗を流す姿を県庁職員の皆様に見せていただきたいものでありますけれども,県職員のボランティア等への参加についてはどのようにお考えでありましょうか。 (知事) まず,協働についてであります。 本庁と県民局との関係でありますが,各県民局において協働推進室が中心となって,地域の特性を生かした多様な主体との協働による地域づくりを進めていくこととしております。また,本庁と県民局との連携強化のため,県民局長を本庁の政策企画推進会議の構成員といたしまして,地域の声が本庁各部の予算編成に生かされるよう配慮するなど,地域ニーズに基づきまして,本庁と県民局が一体となって施策を推進してまいりたいと考えております。 次に,金銭等の介在についてでありますが,無償のボランティア精神はとうといものであるということでございますが,ボランティア・NPOを含む多様な主体と広い分野で協働を推進していくためには,具体的な事業ごとに適切な協働の形態や役割分担のあり方を判断していく必要があると思います。その上で,協働事業の目的や性格から,県において経費を負担すべきものにつきましては,協働の相手方に対しまして,正当な額の金銭を支払うべきものと考えております。 協働のメリットでありますが,行政が施策や事業を実施する際に,住民やボランティア・NPOなどからの意見や提案を取り入れ,協働して推進していくということは,行政が単独で事業を実施するよりも,住民と行政との相互理解が進み,互いに補い合って多様な地域ニーズへのきめ細かい対応が可能となるものであります。その結果,住民が受け取る公共サービスの質と量が拡大をし,より快適な地域社会の実現が図られ,新たな社会的価値の創造も期待できるものであります。さらに,協働に参加した住民にとっても,社会参加によります自己実現が果たされ,精神的な充足感が得られると考えております。 権限移譲でありますが,それまで県民局で実施していた事務が市町村に移譲された場合,県民局の業務量の減少あるいは市町村への職員派遣などの人的支援も考えられることから,その意味で事業費や人員に何らかの影響は生じ得るものと想定されるところであります。しかし,そういった場合におきましても,引き続き県民局で行う実務の遂行に支障を生じさせることがないように,適切に対応してまいりたいと存じます。 また,人材の移譲でありますけれども,人的支援といたしましての職員派遣や人事交流は想定をしておりますけれども,一方,県を退職しての市町村への身分移管につきましては,市町村から具体的な要望がありますれば,職員の意向も十分に踏まえた上で慎重に検討してまいりたいと存じます。 県職員のボランティア等でありますが,協働の観点から,県職員も一県民として各種の地域活動等に参加することは,意義が大きいと考えております。このため,本県では,職員の地域活動やボランティア活動を支援する目的で,ボランティア休暇を導入いたしまして,その活用を奨励しております。ボランティア活動は,職員の自発的な意思に基づくものでありまして,すべてを把握しているわけではございませんが,ボランティア休暇や休日を利用いたしまして,台風等の被災地支援活動や高齢者福祉施設での介護活動,地域の清掃活動など,さまざまな活動に県職員が参加しております。今後とも,ボランティア休暇制度のさらなる周知徹底を図り,県職員のボランティア活動等がより積極的に展開されますように努めてまいりたいと存じます。 連絡会議でありますが,私自身は,地域サミット等において,各市町村長と当面する行政課題等について率直な意見交換を行い,県政の推進に反映をさせるように努めております。県民局におきましても,市町村長等との会議はもとより,各担当部,課長会議を定期的に開催いたしますとともに,事業の推進に当たりましては,担当者間で意見交換や連絡調整を行うなど,常日ごろから市町村との連携を密にしているところでございます。今後とも,市町村との適切な役割分担のもと,地域の実情を踏まえた協働の県政の推進により一層努めてまいる所存であります。 <平成16年12月定例会>(2004年12月15日) (佐藤) 次に,NPOと行政の協働についてお伺いいたします。私がこのテーマを通して本当に伺いたいことは,NPO支援についてのことではありません。今後の行政の統治スタイルについて,いわば行革の問題であるということを,まずお断りさせていただきます。 昨年の11月定例会で,岡山NPOセンターの財政基盤検討委員会が「レポート2003・NPO財政力強化への提言」をまとめられたのを受け,NPOと行政の協働のルールづくりが必要であると提言させていただきましたが,このたび,岡山県とNPOとの協働の手引(素案)が発表され,今まさにパブリックコメントが募集されています。この手引素案は,パートナーシップ社会の構築に向けて,岡山県とNPOとがどのように連携していくべきかという基本認識や協働事業を行おうとする際の標準的な手法について,県としての統一的な考え方を示すものであって,この手引素案の作成自体がNPOと行政の協働によって作成され,NPO側の声も非常によく反映されていて,今までの行政が作成する文書に比べると非常に内容もわかりやすく,あえて言えば,NPOにぐっと押されているような点を積極的に評価させていただきたいと思います。今回は,この手引素案をベースにして幾つか提言と質問をさせていただきます。 まず,手引素案の中に,協働の背景について,「行政は従来からの統治スタイルでは対応できない,あるいは政策形成範囲を超えたところで問題の解決を迫られるという状況に直面して」おり,「自由かつ機敏できめ細かいサービスが提供できるNPO」との協働が求められるとあります。謙虚と言えば謙虚であると思うのですが,これはもはや時代のニーズに対応できていないと行政がみずから白旗を揚げておられるのでしょうか。血税を払われている県民,市民の皆様からすれば,まさにこの激動する時代の変化の中で,まずは行政自身が従来からの統治スタイルを変えて,政策形成範囲を超えたところで問題解決をして,自由かつ機敏できめ細かいサービスをする姿に期待しているのであります。しかし,それができないのでNPOと協働するというのならば,各担当セクションは廃止して,頼むから税金はもとから寄附という形で,最初からNPOに払わせてくれと,そんな気持ちにもなってしまいます。そもそも論ですが,あえて知事に,なぜ行政がNPOと連携ではなく協働するのか,NPOとの協働を通して端的に小さな政府を目指しておられるのか,新しい公共の担い手の登場で,行政の役割はどのように変わっていくのか,その意味についてお伺いいたします。 次に,この手引素案でも,多少曖昧になっている公益法人についてお伺いいたします。言うまでもなく,社団法人,財団法人といった公益法人もNPOに含まれますが,御案内のとおり,NPO法施行満6年を迎える直前,この11月19日に,政府の有識者会議が公益法人制度改革の基本的枠組みについて最終報告書を提出いたしました。その内容は,こうした社団法人や財団法人といった公益法人制度を廃止して,新しい非営利法人制度(仮称)に移行して,中間法人制度も,この新しい非営利法人制度に統合され,廃止となるというものです。ただ,今回は,NPO法人制度は引き続き存置されるべきものとなりましたが,将来的には,あるいはNPO法人制度も制度に組み込まれることになるのではないかという見方が非常に強くあります。そして,公益性があると判断されれば,登記だけで設立された非営利法人に対して税法上の優遇措置を認めていこうというものですが,この公益性の判断基準,そして判断主体が現在非常に問題になっているのは,御案内のとおりであります。あえて言えば,小泉内閣が掲げた構造改革のうちの公益法人制度改革の端緒となる報告書が今出たということでありまして,この内容そのものについて是非の言及あるいは質問自体は避けさせていただきますが,そもそもこの公益法人制度改革の議論は,公益法人を各省庁の天下り先にしたり,補助金を垂れ流しにしたりするという官益法人に対する批判を受けて,当時特に旧KSD汚職事件を機に進められてきたものであります。まずは,こうした国の取り組みに対して,県として,どれだけ直接関与する公益法人に改革のメスを入れてきたのかについて,お伺いいたします。 そして,これはあくまで個人的な見解でありますけれども,行政が出資したり人的交流を行うという意味での官製の公益法人であれ,あるいは市民活動としてのNPOであれ,それらを新しい非営利法人制度という同じ土俵で一度フラットにして,第三者機関によって公益性を判断された上で,しかるべき非営利法人が行政と協働する時代が来ると考えます。これは,地方においても全く同じことで,岡山県も,現在,官製公益法人を含めて300以上の公益法人を所管しているわけですが,NPOを含めて,これはあくまで行革の観点から,県とのかかわり合いが深い団体との関係を一度フラットにすることによって見直して,そしてそれを再構築していく,そんな時代が来るのではないかと思いますが,知事の御認識をお知らせください。 また,今回の手引素案では,曖昧になっている公益法人との協働についての基準も,私は明確にしていく必要があると考えますが,いかがお考えでしょうか。 特に,社会経済情勢等の変化によって,今公益法人が行っている事業について,営利企業の事業との競合等で,当該事業を必ずしも公益法人が行うことはないんじゃないか,そういった意義の低下が認められるような場合には,解散あるいは営利法人あるいはNPO法人等その他の法人形態に転換したり,さらには公益信託の手法で実施すべきを指導すべきと考えますが,いかがお考えでしょうか。 また,知事は,提案説明の中で,「県の施策事業や施設運営についても,NPO等の参画を一層推進」されるとしていますが,特に今,指定管理者制度の導入が叫ばれる今日,例えれば,施設管理型とでもいうような既存の公益法人については,どういう対応をされるのでしょうか。 さらに,外国人研修制度のように,公益法人の所管がなじまないものあるいは県の委託を受けて行う,いわゆるセミナーや講演会の開催などのソフト面は,むしろ公益法人よりもNPOの方が機動的に対応できる場合も多く,官製公益法人の手から切り離すべきような事業もかなり多くなっているように思うのですが,今後どのように対応されていくのか,御認識をお聞かせください。 加えて,公益法人ばかりではなく,要は経営破綻すれば県が一蓮託生になるような,そんな団体については,もう今の段階で県の直轄に戻すか,さもなくばあらかじめ県民の皆様に,あえて言えば危険性といったものを広くお伝えしておく必要があると考えますが,いかがでしょうか。 最後に,手引素案の中でも指摘されているNPOと県庁内の各部署をつなぐワンストップの協働相談窓口の必要性について伺います。特に,来秋以降は,岡山県ボランティア・NPO活動支援センター(仮称)内に,担当セクションごと移転して設けるべきではないでしょうか。私は,保健福祉業務や産業振興のようなものは,なるべく実戦部隊と連携が密にできる,現場により近い場所にある方が,屋上屋を重ねることなく,市民サービスにも資すると考えます。特に,NPOと協働を進める行政サイドの窓口は,何も本庁内にある必要はないのではないか,私はそのように考えますが,いかがお考えでしょうか。 (知事) 次に,NPOとの協働等についての御質問でございます。 まず,協働と行政の役割についてでありますが,互いに連絡・協力するという意味の連携に対しまして,共通の目的に向かってともに活動するという観点を重視いたしまして,協働という用語を使っております。 また,NPOとの協働は,複雑・多様化する県民ニーズに対しまして,迅速かつきめ細やかな行政サービスを提供するための効果的な手法の一つとして考えておりまして,協働によって,いわゆる小さな政府を目指していこうとするものではございません。今後,NPO初め多様な主体によって一部の公共的なサービスが提供されるようになってくるといたしましても,社会経済情勢が大きく変化をし,新たな課題が次々と生まれてくる中,最大かつ基本的な公共サービスの担い手といたしまして,行政の役割は今後ますます重要になってくるものと考えております。 公益法人改革でありますが,県の出資割合が大きい団体のみならず,収入の2分の1以上が岡山県からの補助金,委託料等で占められているなど,県の関与が高い公益法人を含む団体につきまして,これを県の外郭団体として定め,すべての外郭団体を対象に,不断の見直しを行ってきたところであります。この見直しを通しまして,第1次の行財政改革以降7つの公益法人を統廃合により削減をいたしますとともに,経営状況の公表を行った上で,県の財政的人的支援の縮小に取り組んでいるところであります。 行政とのかかわりの再構築についてでありますが,公益法人を含めた県とのかかわりの深い団体につきましては,県の外郭団体といたしまして,第3次行財政改革大綱に基づき,民間にゆだねるべきは民間にゆだねるという基本的な考え方に立って,統廃合の検討を含めまして見直しを進めているところであります。今後とも,こうした見直しを積極的に進めていきたいと存じます。 なお,現在,国で進められております公益法人改革におきましては,新たな非営利法人制度を創設した上で,現行の公益法人をこの新たな非営利法人等へ移行いたしまして,そのうち一定の要件を満たすものを,公益性を有するものといたしまして,社会的信用を高める方策等についての検討を進めるという方向性が示されております。県といたしましては,この動向を十分見きわめながら,公益法人全般につきましても見直しを進めてまいりたいと存じます。 公益法人との協働についてでありますが,手引素案では,民法上の公益法人と民法以外の特別法に基づいて設立される公益を目的とする法人をあわせ公益法人と,このように定義しているところでございますが,この中には,設立時の準拠法によって目的や事業が限定されているものが多く見受けられるところであります。そのため,協働に当たりましては,具体的な協働事業の目的や内容等によりまして,相手方の範囲を個別に特定していくという必要があると,このように考えておりまして,一律の基準を設けることは難しいものと存じます。 公益法人の見直しについてでありますが,公益法人の事業内容が社会経済情勢の変化により,営利企業の事業と競合し,または競合し得る状況となっている場合におきましては,まず,公益法人としてふさわしいと認められる事業内容へ改善することが可能かどうか検討するよう指導することとしております。そのような指導を行っても,なお改善されないか改善の見込みがないという場合におきましては,原則として,営利法人等の適切な法人形態への転換も含めた組織の改廃,または公益信託の活用も含めた制度手法そのものの見直しを行うよう指導することとしております。 さらに,今後,公益法人制度改革の法改正がなされ,新しい法人制度へ移行する際には,よりふさわしい法人形態となるように指導してまいりたいと存じます。 施設管理型の公益法人についてでありますが,県が設置する公の施設の管理を主な業務といたします,いわゆる施設管理型の公益法人につきましては,指定管理者制度の導入を踏まえますと,全体の業務のうち施設管理を行う業務部分につきましては,原則として,営利企業と競合し,または競合し得る状況となるものと考えられます。したがいまして,こうした公益法人に対しましては,先ほども申し述べたような事業内容の改善等の指導を行うことが必要となってくるものと考えております。 公益法人から切り離すべき事業への対応についてでありますが,県が公益法人等に委託している業務につきましては,まずは,限られた財源の効率的な活用を図る観点から,一般事務事業評価など各種評価制度を通じまして,年度ごとにその必要性や進め方を検証した上,適切に対応しているところでございます。今後も,こうした検証によって,業務を委託する必要性があるものにつきまして,効果・効率性というものを十分検討した上で,委託先を選定するなど,適切に対応してまいりたいと存じます。 県と関係の深い団体についてでありますが,これまでも欠損が累積するなど厳しい経営状況にある外郭団体につきましては,経営状況の公表を行った上で,経営健全化計画の策定等によります抜本的な経営改革に取り組んできたところであります。今後は,外郭団体の経営状況につきまして,より詳細でわかりやすい情報公開に努めますとともに,目標管理の考え方を取り入れた経営評価を実施・公表することとしておりまして,こうしたことを通じまして,経営改革の必要が判明した団体につきましては,厳しく改革を促してまいる所存であります。 最後に,ワンストップの協働相談窓口についてでありますが,岡山県ボランティア・NPO活動支援センター(仮称)については,平成14年1月の岡山県ボランティア・NPO活動促進委員会からの提言の中で,ボランティア・NPO等と県・市町村との協働の橋渡しとなることが基本コンセプトの一つに掲げられております。これを受けまして,議員御指摘のとおり,県とNPOとの協働の接点となります窓口を同センターに設けたいと考えているところであります。 <平成16年9月定例会>(2004年9月15日) (佐藤) 次に,岡山市南方の旧国立病院跡地の新総合福祉・ボランティア・NPO会館(仮称)についてお伺いいたします。 この施設には,中央児童相談所,女性相談所,社会福祉協議会,県消費生活センター,さらに福祉人材センター,福祉相談センター等々に加えて,ボランティア・NPO活動支援センター,さらには待望の聴覚障害者の方の情報提供施設が同居いたします。何しろ,これはPFIの事業形式でございますから,管理運営もPFI事業者の判断によるということですが,7階建ての巨大なこの施設の内容は,一般にはまだ未知なる部分が非常に多く,既に開館1年前になっているにもかかわらず,関係者の方からどうなっているのかといった不安の声が上がってきております。そもそも,この南方の国立病院跡地は,駐車場への長い列で御記憶のように,交通の便が実はさほどよいところではございません。とりわけ障害者の方にとっては,岡山駅からも中途半端に近い距離で,いわゆるシャトルバスでも走らせないと,非常に行きがたい場所ではあります。また,導線のユニバーサルデザイン化,周辺の照明灯等の整備もなされないといけません。こういった点の整備はどのようにお考えなのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。 この新会館の管理運営で一番重要なことは,福祉関係の各種団体が同居することで,ある意味,例えば障害のある方の雇用が図れたり,またNPO・ボランティアが積極的に活用されるということだと思います。また,こうした団体を有機的に結びつけていくためのマネジャーを置く必要があると思いますが,総合することの意味とあわせて見解をお知らせください。 ところで,総合をうたう割に,それぞれの施設の連携をしようにも,協議会的なものをつくるにも,管理運営主体すらいまだ不明で,連絡調整どころか,どこに何が来るのか,お互いが知らない状況になっています。早急に入居予定団体による情報を共有した連携の機会が必要だと考えますがいかがお考えでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。 また,この会館の開館に伴って,後楽園の玄関口であり,文化ゾーンの中にある既存の現在の岡山市石関町の総合福祉会館,そして出石町のゆうあいプラザの有効活用も考えていかないといけませんが,いかように活用されていくのでしょうか。 さらに,具体的にお伺いいたします。 まず,NPOについてです。「新世紀おかやま夢づくりプラン」の数値目標の200を既に超えているNPOでございますが,さらにインキュベートを考えた施設をつくる計画のようであります。もはやふ化した後は,いかに大きく育てていくのかを考える時期に来ているのではないでしょうか。行政の掲げるNPO法人が幾つあるかなどという数値目標の達成自体は,個々のNPOには関係のないことでありまして,既存のNPOには,むしろ,人・情報・物・お金,連携の充実こそが重要であり,あえて言えば,行政サイドからしても,NPOの新規創設支援に加えて,既存のNPOをいかに支援していくのかという視点の方が重要な時期に来ているように思います。NPO支援を起業支援と同様にとらえてはいけないのではないか。そして,既存のNPOが各階の施設といかに連携していくのかという視点も極めて重要であります。だからこそ,管理運営等のNPO支援の主体もNPOであるべきだと私は考えますが,こういった点についていかように御認識でございましょうか。 これに関連して,一般に,NPO法人と言っても,その活動内容は実にさまざまでございますが,その中には,後でも伺いますが,介護保険の指定事業者であるものも約30団体あるそうであります。NPOは,特定非営利活動法人でございますが,介護保険が介在した場合,その実質は営利活動で,本来イメージされているNPO法人そのものではないのではないか,あるいはほかのNPO法人と同列に論じるべきではないのではないかという声がNPOの内部から上がってきております。 そこで,知事がNPOとの協働と言われる場合のNPOは,こうした介護保険サービス事業者を意味しているのか,夢づくり指標に掲げる認証数の中に,こうしたNPOの増加をイメージされているのか,また新会館でこうしたNPOをインキュベートして,社協等との協働を考えておられるのか,お伺いいたします。 次は,待望の聴覚障害者情報提供施設についてであります。これをもって,全国でも非常にまれと言われておりました聴覚障害者と視覚障害者の複合支援施設である岡山市西古松の視聴覚障害者福祉センターは,視覚障害者支援の単独施設になる予定と聞いておりますが,来年,新会館に入居する聴覚障害者情報提供施設の管理運営についてお伺いいたします。 聴覚障害者の方の中には,厳密に分ければ,聾者,難聴者,中途失聴者がおられます。そして,その連携が極めて重要であると思います。特に,手当てが必要なのは,突然聴覚を失われた方々で,そういった中途失聴の方々が生活支援も含めた相談にお越しになられる総合の相談窓口の開設も必要だと思います。さらに,そういった各種協会の事務局が集積するということも肝要だと思います。また,いわゆる聴覚障害者の方で手話を理解される方は,実は全国調査の結果では約15%しかおられないと言われておりますが,そういった意味では,手話サークル同様,要約筆記クラブへの支援も重要であります。そして,こういった施設の管理運営もまたそういった団体の連携組織にゆだねるべきだと思います。こういった点についていかように御認識でしょうか。 (知事) 次に,新総合福祉・ボランティア・NPO会館(仮称)等についてであります。 まず,総合の意味等でありますけれども,新会館は,ボランティア・NPO活動の支援拠点,福祉活動の拠点,県の相談・支援拠点の3つの機能をあわせ有するということで,総合拠点機能施設といたしまして計画をしているものであります。新会館に入居いたしますボランティア・NPO,各種団体等が連携をすることによって,それぞれの事業効果がより一層高まるものと,このように私も期待をしております。議員御指摘の,団体を有機的に結びつけていくためのマネジャー設置のお話でございますが,これは意義ある御提案であると私は受けとめておりまして,団体間の連携を図る仕組みづくりを今後具体化をする中で,お話いただきました趣旨が反映できますように各団体とも十分協議をしてまいりたいと存じます。 総合福祉会館等の活用でありますが,まず現在の総合福祉会館につきましては,新会館に入居団体の大半が移転をすることから,保健・医療・福祉を中心にいたしまして,さらに教育・文化など幅広い観点から有効活用が図られますように,共同所有しております財団法人岡山県福祉事業団と協議を現在進めているところであります。 また,ゆうあいプラザにつきましては,新会館がオープンをした後は,県の普通財産といたしまして有効な活用を図ることといたしたいと存じます。 次に,NPO支援の考え方でありますが,新会館のNPO活動支援センターは,NPOの立ち上げ支援のみならず,交流,連携,相談,情報発信等,NPO活動を促進するための総合的な支援の拠点といたしまして,多くのNPOに活用されますように今後努めてまいりたいと存じます。 また,管理運営等についてでありますが,「岡山県ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針」に基づきまして,ボランティア・NPOとの協働により行うこととしておりまして,現在,その具体的な手法というものを検討しているところであります。 介護保険事業者であるNPO法人についてでございますが,高齢者の介護事業は特定非営利活動の一つとなっておりまして,収益を特定非営利活動のためだけに使うのであれば,NPO法人として問題はないと,このように解されているところであります。NPOとの協働という場合のこのNPOも,快適生活指標に掲げております認証数も,また新会館における協働の対象も,介護保険事業者を含むすべてのNPOを包括するものと考えております。今後とも,パートナーシップ社会の実現に向けまして,多様なNPO活動を積極的に促進をしてまいりたいと存じます。 聴覚障害者情報提供施設でありますが,この施設は,県内に住むすべての聴覚障害者に対しまして,情報提供とコミュニケーションの確保を図っていくための拠点施設であるということを踏まえまして,現在,指定管理者制度を導入する方向で管理運営も含めまして,そのあり方について関係団体等の意見を聞きながら検討しているところであります。聴覚障害者はもとより,支援する団体やボランティアグループ等が自由に活用できますように努めてまいりたいと考えております。 (保健福祉部長) まず,新総合福祉・ボランティア・NPO会館(仮称)のアクセス等の整備についてでございますが,障害者の方の利用の便を図るため,屋根つきの身体障害者用駐車場を21台分整備するとともに,福祉タクシー専用の乗降スペースを確保することとしております。 また,お話いただいた導線のユニバーサルデザイン化などは重要なことと認識しておりまして,点字と音声による視覚障害者の誘導装置やスロープなどの施設整備を進めるとともに,周辺環境整備やアクセスについても,必要に応じて岡山市など関係者へ働きかけるなど,すべての人が利用しやすいものとなるよう改善に努めてまいりたいと考えております。 次に,入居団体による連携についてでございますが,新会館の機能を十分に発揮するためには,お話のとおり,入居団体の連携の機会が必要であると考えております。現在,ボランティア・NPO活動支援センター及び聴覚障害者情報提供施設について管理運営主体の検討を行っているところであり,できるだけ早く管理運営主体を決定いたしまして,連携の機会を設けてまいりたいと考えております。 <平成15年12月定例会>(2003年12月5日) (佐藤) 次に,NPOについてお伺いいたします。 県内の認証NPOは,既に170を数え,まさに百花繚乱でさまざまな活動が展開されていますが,多くのNPOに共通した悩みが,財政的な基盤が弱いということです。そうした中,先日,岡山NPOセンターの財政基盤検討委員会が,「レポート2003−NPOの財政力強化への提言−」を発表されました。この提言書の作成自体が,日本財団の助成事業ということでありますが,岡山NPOセンターの各理事がみずから執筆された非常にすばらしい提言書で,全国でも,なかなかこれだけの提言はないと思います。今回は,その提言書を踏まえた上で,NPOに関して幾つかの質問をさせていただきます。 NPOが社会を変革する新たな主体となるためには,会費,受託事業,収益事業,助成金,寄附金,融資といった財政基盤を強化する必要があります。その中で,NPOの側からすれば,委託事業については,財政基盤の安定のために非常に魅力的ではあるわけですが,あたかも行政の下請になる,そういった危険性もはらんでいます。言いかえれば,助成事業の主体はNPOでありますけれども,委託事業の主体は委託者である行政にあって,責任も行政にあると思いますが,NPOが委託事業を受けることで,組織基盤とも言えるミッションが脅かされる,そういった危険もあるわけです。そういった観点から,提言書の中では,NPOの側からNPOと行政の協働に関するルールが示されています。私は,行政のサイドにも,委託先の選定から事務評価まで含めて,こうした明確なルールに基づいて,しかもそれが公開されることが必要であると思います。あるいはNPOと行政が協働する前に協定といったものも必要なように思いますが,知事はいかがお考えでしょうか。 また,提言書の中では,基盤強化のツールとして,自己評価を積極的に位置づけて,具体的な自己評価シートを示されています。こうした自己評価の公表がNPO自体への信頼を高めるものと思いますが,私は,委託内容が行政主導型か,あるいはNPO主導型か,あるいは企画公募型かを峻別した上で,どんな場合も責任は行政にあって,行政自体の事務事業評価自体は必要である,そのように思います。少なくとも,NPOの事業委託について,事務事業の部分そのものを丸投げして,行政の事務事業評価の逃げ道になることがないよう,行政が委託すること自体の効果も含めた事務事業評価も必要であると考えますが,いかがでしょぅか,生活環境部長にお伺いいたします。 ところで,財政基盤の強化のためには,いわゆる借入金というものも考えられます。特に,国の委託金が出るまでをこのNPOがつなぐというようなことも必要になってくるかもしれません。特に,立ち上げのみならず,運営そのものにも融資があれば,NPOの運営も随分楽になることと思います。そういった意味では,労金さんのように,市井の地銀や信用金庫が融資制度をつくってくださればありがたいですし,北海道NPOバンクのような私募債をつくるようなことも必要かもしれません。何より,県が検討するとした県民ボランティア・NPO基金の現状はどうなっているのでしょうか。また,山口県のように,県費で中小企業診断士がサポートし,金融機関の融資に結びつける方策は考えられないでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。 これらに関連いたしまして,17年にオープンする新総合福祉・ボランティア・NPO会館についして,PFI事業であるとは言いながらも,特にインキュベート機能を持つNPOに関する部分について大きな動きが見られません。実際,だれがどんな運営をしていくのか,インキュベーションマネジャーのようなものを置くのか等々,実務的な検討を行う運営委員会準備会のようなものを立ち上げないと,17年度には間に合わないのではないでしょうか,生活環境部長のお考えをお示しください。 また,NPOは,県が認証しますが,実際の活動は市町村であり,しばしばNPOへの認識不足のような事態が生じています。市町村職員の研修をどのように行っていくのでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。 (知事) 次に,NPOとのルールづくりでありますが,行政とNPOが相互の立場を尊重しながら協働事業を推進するためには,協働のためのルールを確立することが必要であると考えております。このため,第3次岡山県行財政改革大綱でもお示しをいたしましたように,NPOなど関係者で構成する委員会を設置いたしまして,協働推進マニュアルを策定し,これに基づきまして,さらに積極的にNPOとの協働事業に取り組んでいきたいと考えているところであります。 (生活環境部長) まず,NPOとの協働に関する事務事業評価についてでありますが,より効果的で質の高いサービスを提供するためには,協働の主体である行政とNPOが,それぞれの立場や視点で事業の評価を行い,その結果を次の事業に反映させることが必要であると考えております。このため,今後,策定する協働推進マニュアルの中で事務事業評価の具体的な方法を定めていきたいというふうに考えております。 次に,県民ボランティア・NPO基金についてであります。本県が取りまとめました岡山県ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針におきまして,中期的に検討する施策として,県民の募金による基金創設を掲げているところでございます。募金による基金の創設につきましては,まずNPOの役割や活動に対する県民の理解を深めることが重要であると考えておりまして,このため,普及啓発に現在努めているところでございます。今後,県民の募金への機運の高まりや景気の動向などを見きわめながら,基金の創設について引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。 また,お話の山口県の制度を本県に導入することにつきましては,融資に当たっての保証措置などの困難な課題があると考えておりますけれども,NPOの活動を支援する方策につきましては,引き続き幅広く検討してまいりたいというふうに考えております。 新総合福祉・ボランティア・NPO会館についてでございますが,新会館のNPO活動支援センターの運営等につきましては,平成14年1月に,専門家によって構成されます委員会で取りまとめられました「岡山県ボランティア・NPO活動支援センターに係る提言」に,基本的な考え方が示されておるところでございます。これを踏まえまして,管理運営体制や利用方法等の具体的な事項につきまして,県民・ボランティア・NPO等で構成する検討会議を来年度早々に立ち上げ,平成17年末のオープンに向けて検討を行うことといたしております。 市町村職員の研修についてでありますが,お話のとおり,NPOの実際の活動は,市町村等の地域と深くかかわっておりまして,市町村職員もNPOに対する認識を深めることは必要であると考えております。このため,これまで市町村職員も対象にしました自治研修所での関連講座やNPOをテーマにした研究会などを開催してきているところでございますけれども,今後,策定を予定している協働推進マニュアルの普及に合わせまして,これらの取り組みをさらに充実していきたいというふうに考えております。 <平成14年2月定例会>(2002年3月5日) (佐藤) 次に,NPO,NGOについて伺います。 非常に残念ながら,外務省の日本のNGO2団体の参加拒否問題は,政権基盤を揺るがしかねない大問題に発展してしまいました。私は,NGOの発言云々というよりも,その後のマスコミの報道のあり方についてもちょっと残念に思うところがあります。ただ,いずれにせよ,NPO,NGOが時として非常に大きな政治的な影響力を持つこと,さらには,税金からなる補助金を受けている限りは,国民に対してNPO,NGOにも大きな責任があるということが明確になったという意味で,ある種のきっかけにもなったというふうに思います。 ところで,本県においては,このたび岡山市石関町にボランティア・NPO活動支援センターの整備をしていただくことは大歓迎であり,また,NPO支援の中核組織NPOサポートネットワークが岡山NPOセンターとしてみずからが特定非営利活動法人格を取得したこと,さらには,NPOのサミットも大成功をおさめるという非常によい話がありました。 ところが一方で,NPO法人事務局長が,組幹部とともに暴力行為で逮捕されるという非常につらい事件もありました。しかしこのことは,皮肉にもNPOに社会的な信用があること,また県の行っている法人格の認証が,許可ではなくきちんと認証という形で正しく機能していることの証左ともなりました。 まず,こういった状況の中で現在知事は行政とのかかわりにおいて,NGOやNPOに対してどのような認識を持っておられるでしょうか。 法人格は認証により取得できますし,これが事実上の許可になることはあってはならないと私は思いますが,NPOへの法人格の付与とその後の活動のチェックは別の話です。法人格取得以後の具体的活動状況について休眠中の法人等も含めてどのように把握されているのでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。 また,NPOオンブズマンというわけではありませんが,行政によるものではなく,NPOの自己評価,NPO同士の相互チェック機能,あるいはその組織というものが早晩必要になってくると考えますが,生活環境部長はこの点につきどのように認識され,また支援されようとお考えでしょうか。 次に,岡山国際交流センターに関して伺います。 同センターは,平成7年6月24日岡山県がJR岡山駅西口に設置した施設で,国際交流,国際理解,外国人向けサービスなどの総合的機能を備えた,中四国における国際交流の拠点となっています。また,平成17年「晴れの国おかやま国体」主会場の西の玄関口であり,地元商店街や急速に進む再開発地域の核施設でもあります。ただ,閉館時間が早い,図書資料室の資料貸し出しができない等々の問題はかねてから指摘されているところです。私は,国際交流から離れたイベント会場として利用されることも重要ですが,より本来の国際交流の岡山県のセンター機能を果たすべきではないかと考えます。こういった観点から幾つか提言させていただきます。 まず第1に,同館の宿泊施設等は必ずしも空間が有効に活用されているようには思えません。4階に1部屋交流サロンはありますが,例えば県内のNGOの事務所を集積させる等,よりセンター機能を果たす空間の活用方法は考えられないでしょうか。 あわせて,「国際貢献先進県おかやま」という構想の中で,国際交流センターが果たすべき役割をどのようにお考えでしょうか,知事にお伺いいたします。 次に,IT先進県をうたう岡山県ですから,外国語のOSのインストールされたパソコン端末があってもよいのではないでしょうか。また,ITを活用した国際協力のソフトを充実するなどして,センターで外国人及びNGOやNPOが自由に活用できるようにできないでしょうか。さらに,留学生関係のボランティア活動の支援を強化する施策は考えられないでしょうか。具体的には,県民の方々にメンバー登録をしていただき,日本での家族的な役割を果たしてくださるような方々を募り,主にその方々を対象に留学生との接し方を学んでいただくような講習会を開いたり,またメンバーをふやすための広報活動,異文化理解のための講演会等が考えられます。1回限りのお祭りやパーティーのようなものではなく,お互いの文化を伝え合う,後につながるセンターであるべきだと考えますが,いかがでしょうか。 以上は,企画振興部長にお伺いいたします。 さらに関連して,本年は日韓共同開催のサッカー・ワールドカップがあり,さらに本県と江西省との友好提携10周年であると同時に,郷土の偉人岡崎嘉平太先生ゆかりの日中国交正常化30周年の記念すべき年でもあります。両国には直行便も飛んでおり,国際交流はもとより,観光振興等に結びつけるべきだと思いますが,知事はいかがお考えでしょうか。 (知事) 次に,NPO,NGOと行政とのかかわりについてでありますが,特に阪神・淡路大震災以降,こうした団体の果たしていく役割の重要性というものが見直されまして,国際貢献や環境,あるいは文化など多様な分野におきまして,行政とかあるいは民間企業では対応できないきめ細かい社会サービスというものを提供したり,あるいは時代を先取りする活動を行うことが実証されてきております。しかし一部に,お話にございましたようなNPO法人にかかわる事件が起こっていることは,これはまことに遺憾なことでありまして,県といたしましても,この点につきましては毅然とした態度で対応をすべきものと,このように考えておりますが,基本的には,NPOやNGOと行政との関係は,それぞれの機能分担のもとでお互いが自主性を尊重した協働,すなわちパートナーシップの関係にあるべきものと認識をしております。 次に,国際交流センターの機能についてでありますが,今後,国際貢献ボランティアの育成やあるいはNGOの活動支援などの事業を実施して,同センターが,「国際貢献先進県おかやま」を目指した人,情報,心の交流拠点としての役割を果たしていくように努力してまいりたいと存じます。あわせまして,関係団体等の御意見をお伺いをしながら,国際交流の促進を初め,NGOの方々が活動しやすい環境づくりなど,交流センター機能がより一層発揮できるよう施設の有効活用方策等につきましても検討をしてまいりたいと考えております。 韓国,中国との交流等についてでありますが,中国とは,江西省との友好提携締結10周年を契機に,友好訪問団の相互派遣などを実施いたしたいと考えております。また,上海の旅行会社に対します岡山向け旅行商品の開発の働きかけや中国江西省からの経済代表団の受け入れを検討いたしております。 また,韓国とは,ワールドカップ共同開催の本年が日韓国民交流年でございますので,関係団体と連携をした文化・スポーツ交流とともに,韓国での国際観光展への出展やあるいは商談会を計画するなど,多くの分野での一層の交流の活発化に努めてまいりたいと存じます。 (企画振興部長) 岡山国際交流センターにおきましてのITの活用についてでございますが,センター機能の拡充を図りますため,新たに中国語などのOSがインストールされましたパソコン端末の増設のほか,NGOの活動状況や各種支援制度,あるいは外国語が通じる公共施設などの情報が容易に検索できるソフトの充実に努めてまいりたいと考えております。 次に,ボランティア支援についてでございますが,外国人の方々の岡山での生活がより充実したものとなりますよう,岡山国際交流センターに国際ボランティア人材バンクを今月中に開設すべく関係機関との協議・調整を進めているところでございます。この中で,佐藤議員からも御提案がございました留学生の相談相手やホームステイの受け入れなどを行う留学生等協力家庭ボランティアといった制度を設けまして,県民の方々に広くこのバンクへの登録を呼びかけますとともに,協力家庭を対象にいたしました研修会の開催なども検討してまいりたいと考えております。 (生活環境部長) NPO法人の活動状況の把握についてでありますが,特定非営利活動促進法では,法人格取得後も,毎年1回事業年度終了後3カ月以内に県に対し事業報告書や収支決算書等一定の書類を提出することとなっており,これらの書類に基づいて活動状況を把握しているところであります。 本県の状況としましては,認証した法人のうち,平成14年2月末までに報告が必要であった42法人につきましては休眠法人はなく,すべての法人から事業報告書等の提出を受けております。 なお,法人の具体的活動が法令等に違反していると認められる相当の理由がある場合には,当該法人に対し報告の徴収や立入検査等を行うことができるものでありまして,今後,必要に応じこうした措置を講じてまいりたいと存じます。 次に,自己評価等についてでありますが,NPOが自己評価またはNPO相互のチェックを行い,その結果を活動や組織運営に生かしていくことは極めて重要であると認識しております。これらの自己評価や相互チェックを支援する組織につきましては,行政ではなく,NPOの運営や活動を支援するNPOの自律的判断に基づく取り組みが望ましいと考えております。このため,県としましては,そうした支援組織であるNPOと連携し,自己評価やマネジメント手法についてセミナーや研修会,さらには情報誌やホームページによる情報提供をもって支援してまいりたいと存じます。 <平成13年9月定例会>(2001年9月19日) (佐藤) そんな中で,岡山県では,平成9年11月に岡山県行財政改革大綱,平成11年11月には第2次岡山県行財政改革大綱を策定し,危機的な状況にある県財政の健全化と,21世紀に向けて岡山県が飛躍するための,柔軟でスリムな行政システムの構築を目指して,徹底した経費の削減と抜本的な行財政改革を進めてこられました。そして,今年度の重点目標として,行政情報化の推進,外郭団体の見直し,パブリック・コメント手続制度の検討,PFI導入の検討などを掲げられています。 (知事) NPOについてのお尋ねもございましたが,これにつきましても,やはり行政のコストダウンを図っていくためにNPOの政策を進めていくということではないわけでございまして,私といたしましては,行政とNPOが適切に役割分担をしながら,そしてともに手を携え合って,協働して,これからの新たな県政の課題を進めていく,例えばまちづくりを進めていく,そのよきパートナーとしてNPOの問題というものに対応していきたいと,このように考えているところでございます。 <平成13年6月定例会>(2001年6月14日) (佐藤) 先日,お示しいただいた新世紀おかやま夢づくりプランの策定方針を拝読いたしますと,岡山県が目指す「快適生活県おかやま」の実現のために,知事がNPOやボランティアに対して非常に大きな期待をされておられることがうかがえます。現在,NPOの運営をネットワークを通して側面より支援し,よりよい市民社会の発展に貢献することを目的とする岡山NPOサポートネットワークが,岡山県社会福祉協議会や県民生活課のバックアップをちょうだいしながら非常に活発な活動をされていますし,岡山労働金庫さんのように,NPO立ち上げ助成制度やNPO法人向け融資制度をつくられたり,NPO活動をサポートする多くの力が岡山に生まれています。 また,この春より,中国地方では初めての社会貢献活動の支援に関する条例及び全国でも珍しい特定非営利活動法人に係る県税の特例に関する条例を制定することができ,その結果,県内のNPO法人認証状況は,認証済みが52法人,申請中が7団体と順調に推移しています。さらには,本年10月1日より,NPO法人のうち非営利,公益性の視点から,一定の要件,基準を満たすものを,国税庁長官が認定NPO法人として認定し,さらなる優遇措置を行います。まさに順風満帆と言える岡山県のNPO支援の動きとは思いますが,さらに全国に先駆けるべく幾つかの提言や質問をさせていただきます。 今回の支援条例では,ボランティアやNPO活動に対する県の責任を明確化し,その自発性自主性を損なわない側面的支援に限定し,また,具体的には,拠点機能の整備,情報提供,人材育成などの目標を掲げられています。そのうち,まず拠点機能の整備につき,我が党の代表質問のうち,旧国立岡山病院跡地,新総合福祉ボランティア会館の事業計画の進め方についてお答えいただきましたが,やはりNPO・ボランティア活動の隆盛を見るにつけ,今ある県の遊休施設を暫定的にでもNPO・ボランティア活動支援センターとして直ちに利用できないか,知事にお尋ねします。 次に,情報提供につき,私はNPO支援の行政窓口を一本化すべきだと考えます。さまざまな委託事業のメニューが各課にあるわけですが,NPOやボランティア団体の側からすれば,その情報管理が一元化されていません。どこにどんな委託事業があるのか,どんな募集があり,どんな基準で選ばれるのかがワンストップでわからないといけません。また,いわば随意契約を受けたような団体が,恒例の委託事業費を消化するというのではなく,その委託事業についても事業評価がなされるべきだと思います。委託事業であれ,税金を使う限りは常に情報公開する,事業成果の説明をする,そういう覚悟は委託事業に申請した団体には必要になります。それは,間違いなくNPOやボランティア団体の信用を高めることになるでしょう。そのためには,将来的には,例えばNPO・ボランティア支援室という,はっきりした窓口が必要であると思います。少なくとも,産業支援ネットワークのようなホームページですべての課の委託メニューの募集がわかるようなNPO情報提供プラットホームが必要と考えますが,いかがでしょうか。 加えて,晴れの国おかやま国体や全国障害者スポーツ大会のボランティアの募集にも,こういったサイトは活用できると考えますが,いかがお考えでしょうか。 また,NPO法人への委託事業の審査基準について,現在委託されている事業を例に,その考え方をお知らせください。 さらに,人材育成について。端的にNPO・ボランティアに必要な人材とは何かというと,現段階ではやはり会計ができる方ではないか。NPO法人の認証を受けるにも決算報告するにも,どうしても会計の知識が必要です。あるいは会計が,認証や認定のネックになっていくかもしれません。そこで,この会計ができることを含め,NPO・ボランティアの人材育成をどのように行っていくのか,お伺いいたします。 (知事) まず,NPO支援についてであります。 ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針に基づきまして,ボランティア・NPO活動支援センターの設置に先立ち,整備できる機能というものは早急に整備をしていこうという方針のもとに,NPO設立に当たっての相談とか,あるいは研修会を通じました人材育成等に取り組んできているところであります。 御提案にございました県の遊休施設を活用した暫定的な支援センターを設置をしてはいかがかというお尋ねでございますが,これにつきましては,備えるべき機能あるいは管理運営のあり方等解決すべき課題もございますが,今後,NPO関係者等の意見を聞きながら検討してまいりたいと存じます。 次に,情報提供についてでありますが,県民生活課にNPO・県民生活班という組織を設置をしておりまして,相談業務等を一元的に処理をしております。御提案のようなボランティア・NPOに関する情報を総合的に提供するホームページを開設する新規事業に取り組んでおります。具体的には,県内のボランティア・NPO団体の各種イベント情報はもとより,ボランティア・NPOに対する助成制度とかあるいは委託事業などの情報についても提供できるシステムにしたいと考えておりまして,御質問にもございました晴れの国おかやま国体やあるいは全国障害者スポーツ大会のボランティア募集にも活用してまいりたいと存じます。 NPO法人への委託の審査基準についてでありますが,青少年の社会貢献活動への参加推進事業におきましては,コンペ方式によりNPO法人への委託を決定しております。この場合の審査基準といたしましては,各法人から提出のありました企画書につきまして,事業の目的,趣旨が最大限達成できますように,募集要項に明示した事業効果とか,あるいは6項目ございます要件につきまして慎重に審査をし,委託先を決定をしております。 人材育成についてでありますが,ボランティア・NPO活動を促進をしていくために,県といたしましては,NPOについての普及啓発を目的とした県民啓発セミナーの実施に加え,今年度から新たにボランティア・NPO関係者を対象として公認会計士等を講師とした会計処理講座やあるいはIT研修などの実務研修を実施をすることとしております。また,民間機関やNPO法人に実務研修の実施を働きかけをすることなども行っております。 <平成13年2月定例会>(2001年3月6日) (佐藤) 次に,全国的にも先進的な特定非営利活動法人に係る県税の特例に関する条例案が示されたことは大歓迎であり,NPO法人の活動の大きな励みになることを心から感謝申し上げます。これと同時に提案された岡山県社会貢献活動の支援に関する条例案について,知事にお伺いいたします。 平成10年に,多くの困難を超えて議員立法で制定された特定非営利活動促進法を受けて,各県で特定非営利活動促進法施行条例及び特定非営利活動促進法施行細則が制定されました。それに加えて,さらなる特定非営利活動法人支援のために今回県税の特例に関する条例案を示してくださっており,一方,この4月より岡山市は,特定非営利活動法人のみならず,それをさらに拡大して,非営利公益活動団体から申請があり,審査会の公益性などの審査を経れば特定非営利公益事業に指定し,さまざまな支援を行うといった岡山市協働のまちづくり条例を施行します。 このたびの岡山県社会貢献活動の支援に関する条例案は,昨年10月に示された「岡山県ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針」における「支援条例の制定について検討する」との方針を具体化したものですが,県条例制定の意義についてお尋ねします。 次に,国の特定非営利活動促進法が論議の末に,「『特定非営利活動』とは,別表に掲げる活動に該当する活動であって,不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものをいう。」と,極めて抽象的に定めたのにかえて,また「ボランティア・NPO活動」ともせず,今回の条例案では「社会貢献活動」とされました。社会貢献という言葉は,現在,ボランティアよりもむしろある種の見返りをも期待する企業メセナに対して使われる言葉で,条例では,特定非営利活動法人以外の活動に枠を広げながらも,かえって範囲を狭めた印象を与えかねないと思います。ボランティアの自発性,無償性の原則からいっても,「自発性及び自立性を損なわない」と条文中でうたおうとも,「社会貢献」という言葉自体が一定の価値を含んでいるのですから,言葉の矛盾だと私は思います。 そもそも,社会貢献という価値的な評価をだれが行うのか。この条例の趣旨を生かすならば,同時に完全に民間の社会貢献活動評価委員会のような組織が必要なのではないかと考えます。条例案に「社会貢献活動」という言葉を用いた点についての知事のお考えをお知らせください。 関連して,三重県では,県内で地域づくりにかかわるNPOを支援する新しい補助金制度を創設しましたが,これは宝くじの売り上げに応じて定められた補助金を県内9圏域それぞれの中でNPOや行政のつくった組織が補助率や限度額をおのおの決められるといったもので,各圏域のビジョンづくり,その推進に資するものです。こういった仕組みを本県でも導入することはできないでしょうか。 (知事) 社会貢献活動の支援に関する条例案でございます。 この条例制定の意義についてでありますが,特定非営利活動促進法と同法施行条例等は,特定非営利活動を行う団体に対しまして法人格を付与することを目的といたしまして,その手続等を定めようとするものでございます。一方,今回提案いたしております社会貢献活動の支援に関する条例案は,社会貢献活動の支援についての基本理念を定めますとともに,行政,県民等の責務とか,あるいは役割というものを明らかにすること等によりまして,その活動の健全な発展を促進し,そしてすべての県民がその活動に参加する県民総参加型のボランティア社会の実現を図っていくことに意義があると,こういった観点から新たに制定をしようとするものでございます。 そこで,この条例が「社会貢献活動」と銘打った理由についてでございますが,この条例案におきましては,「岡山県ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針」の趣旨を生かしまして,幅広い活動を支援することといたしております。「社会貢献活動」という言葉でございますが,条例上の規定は,「特定非営利活動,ボランティア活動その他の営利を目的とせず,不特定かつ多数のものの利益のために行う活動」というように規定をしておりまして,幅広い活動を包括するものということで定義をしているところでございます。したがいまして,この条例上の定義自体が活動の範囲を狭めたり,あるいは活動の価値的な評価というものを行うことは想定していないと,こういうことをぜひ御理解を賜りたいと存じます。 新しい補助金制度の導入についてでございますが,お話にございました三重県のNPO法人への補助金につきましては,県政推進のための生活創造圏ビジョンに合致をした住民の皆さん方の自主的,主体的な取り組みに対しまして,県として補助金を交付しようとするものでございまして,その仕組みといたしまして,財源の捻出から執行までを住民が入った組織が直接関与できる,そういうユニークなものであるとお聞きをしております。 本県では,「岡山県ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針」に基づきまして,県は間接的,側面的な支援を行うこととしているところでございまして,今回提案いたしております特定非営利活動法人に係る県税の特例に関する条例などによりまして側面的に支援をしてまいりたいと考えております。 なお,今後,これからの岡山県づくりのために県民参加でつくり上げてまいります「新世紀おかやま夢づくりプラン」の推進策の中にありまして,NPOにも一定の役割を果たしていただくことを私といたしましては期待をしているわけでございまして,その目的の実現との関係の中にありまして,NPOに対する支援策もあわせ検討してまいりたいと考えております。 <平成12年12月定例会>(2000年12月12日) (佐藤) まず,このたび県庁内の若手の皆様で結成する地方税を考える研究会が,全国的にも先進的な,不動産や自動車の取得税の減免を含めたNPO法人の優遇税制の創設を提案する中間報告を提出されたのを受け,知事が極めて前向きに導入の方向を示してくださったことを心から感謝申し上げます。まさに,第2次石井県政の基本戦略の中の一つ,「ソフトパワー先進県おかやま」の面目躍如といったところであります。 また,我が党の税制調査会も2001年度の税制改正で,個人や企業によるNPO法人への寄附金の一定額を課税所得から控除する方針を固めました。税制面において,国も県もNPO法人の活動支援に本格的に動き出したと言えると思います。 しかし,私は,その動きに水を差すわけではないのですが,大きな懸念も持っています。先日,宮城県で起きた旧石器の捏造事件の際,事件を起こした副理事長が所属する東北旧石器文化研究所は宮城県が認証したNPO法人でした。この事件の背景には,寄附や補助を受けるNPO法人が結果を出さなくてはいけなかったという焦りもあったと伝えられています。また,他県では,痴呆介護の切り札としてのグループホームで十分なケアができていないケースがあり,厚生省が第三者評価を義務化する方針を固めたようです。 確かに,NPO法人の財政基盤が強化されることを望みますが,次の段階では,行政評価のようにNPO法人の評価も必要なのではないでしょうか。もちろん,NPO法人が社会的な信用を得るために,まずはNPO法人自身が襟を正さないといけないのは言うまでもありません。日本国憲法第30条は「国民は,法律の定めるところにより,納税の義務を負う」とし,納税の義務は国民の三大義務の一つです。優遇措置を設けるには,社会福祉法人に比してもそれにふさわしい公益性,適格性を有することが必要です。しかし,NPOの設立に際しての認証に加えて,NPO法人が税制上の優遇措置を受けるために適格性の認定を受けることはさらなる要件を加えることになります。あくまで行政の補完ではなく,民間の自由な活動であるNPOの本質からすると,内部矛盾をはらんでしまったと言えなくもありません。 そこで,知事にお尋ねします。 第1に,このたび地方税を考える研究会から提案された県の税制優遇措置はどのようなNPOが,どのような恩恵を受けるとお考えでしょうか。既に認証されたNPO法人に対する税制優遇措置の適用はあるのでしょうか。 また,税制優遇措置上の公益性の認定についてはどうお考えでしょうか。 第2に,NPO法人の申請は当然ふえるものと考えられますが,NPO法人の寄附金の募集,啓蒙など具体的な支援策を御計画でしょうか。認証を受けていないNPOに対する支援策とあわせてお知らせください。 第3に,例えば県がNPO法人に事業委託する場合,公共工事に対する入札と同じようなイメージでとらえればよろしいのでしょうか。何を基準にして行政とNPO法人は契約を結ぶのでしょうか。その透明性はどのように担保されるのでしょうか,お知らせください。 「ソフトパワー先進県おかやま」に関連して,特に「晴れの国おかやま国体」につき県民運動を展開するためには,社会人の積極的な参加が望まれます。ただ,低迷する景気の中で社会人が堂々とボランティアに参加するには,やはりボランティア休暇の活用が好ましいと思います。 岡山県下でのボランティア休暇制度の導入状況は,平成10年5月に発表された「岡山県労働管理等実態調査結果報告書」では7.3%となっています。県においても,災害発生時の被災者支援や障害者施設等での介護活動にボランティア休暇の取得が認められ,平成8年度の制度導入以来,これまでに140名の職員が取得されていると聞いております。私は,ボランティア休暇が活用され,平成17年の岡山国体に多数のボランティアの方々に参加していただければと考えています。17年の岡山国体への県民総参加という点から知事にお尋ねします。知事は,17年岡山国体へのボランティアの活用についてどのように考えておられるのでしょうか。私はこの際,「岡山県民の日(おかやま国体記念日)」を金曜日につくり,秋季国体を金曜日に開会し,学生,社会人こぞって金,土,日の3日間国体ボランティアに参加するという,参加しやすい土壌をつくっていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 (知事) まず,NPO法人であります。 税制の優遇措置でございますが,先月,地方税を考える研究会からの中間報告がありまして,NPO法人に対する優遇策の提案というものが出ました。これを受けまして,その中で早期実施の可能なものについて私の方から具体化に向けての指示をしたところであります。 具体的には,NPO法人の設立に当たりましての阻害要因というものを除く観点から,名義書きかえ的な取得に対する不動産取得税,自動車取得税の免除とか,あるいは一定期間の法人県民税の均等割を免除すること,これを内容としておりますが,これらは既に認証を受けたものを含めまして,法人格を取得したNPOを対象とすることを考えております。 なお,NPO法人の活動をより積極的に支援をする観点からの優遇措置といたしまして,寄附金控除なども提案をされているところでありますが,この場合の公益性判断の基準とか,あるいは判断をする主体をどこにするか,あるいは公益法人との均衡などの課題もあるわけでございまして,この点につきましては,国における議論,今現在国の方でも税制大綱作成に向けて議論を進められておりますが,その議論の動向を見きわめながら,今後さらに検討していかなければならないと考えております。 NPO法人の支援策でありますが,このたび策定をいたしました「岡山県ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針」に基づく活動支援の基本的考え方,この指針を見ていただきますとおわかりのとおり,県は法人格の有無にかかわらず,ボランティア・NPOの自主性,自立性を損なわないように,その活動の環境づくりなど間接的そして側面的な支援を行うと,このように指針で定められているわけでございます。 このため,個々のボランティア・NPOに対する寄附金の呼びかけをするとか,あるいは支援についての啓発をするということではなくて,法人化に向けての相談の中で,財政基盤とか,あるいは人材育成の必要性につきまして指導を行う,あるいはボランティア・NPO活動の意義とか役割というものを広く県民に啓発をするためのセミナーの開催を行う。さらには,全国の民間の助成金の情報,例えば財団法人からNPO活動に対して支援金が出るものもございますが,そういった情報などを盛り込んだ情報提供システムの構築などによりまして,そのNPO活動を支援してまいりたいと考えております。 事業委託等でありますけれども,県がNPO法人と委託契約をする場合には,地方自治法の定めるところによりまして,競争入札やあるいは随意契約などの方法によって締結することになります。随意契約によってNPO法人に事業を委託する場合においては,委託する事業の内容によりましては,地方自治法が定める基準に加えまして,NPO法人が行う特定非営利活動が県の事業目的に合致をしているかどうかとか,あるいは委託事業の遂行能力などにつきまして,委託先の選定基準を設けますとともに,必要に応じまして企画書の提出を求めるなどによりまして,特定のNPO法人を適切に選んで契約を締結してまいりたいと存じます。 <平成12年9月定例会>(2000年9月20日) (佐藤) 次に,NPO活動の促進について改めて伺います。 特定非営利活動促進法の施行から2年以内に,税制を含めたNPO法人に対する政策対応のあり方について検討し結論を得るという附帯決議の期限をことしの11月に控えて,6月21日に経済企画庁総合企画部会国民生活審議会は中間報告を発表しました。中間報告には,認証制から届け出制への移行,12分野への追加等の法制度に関する見直しと,税制上の優遇措置が,法の見直し対象として挙げられています。特に,NPO法人の財政基盤の強化として,税制上の優遇措置を設けることについて,国民の納税の義務を免除するものである以上,公益性を有するものに限り,また公益性の判断基準,担保の仕組みを備えることを条件に,積極的な方向を打ち出しています。 また,8月8日は,大蔵省も,国税庁が公益性が高いと判断しNPOに個人が寄附した場合に,課税所得からの控除を認める,また法人の場合も損金算入を認めるといった方向で検討に入りました。議員立法による新制度の創設に向けて,いよいよ追い込みに入ったと言えると思います。座長は,我が県選出の熊代代議士であり,まさに,岡山からも援護射撃,盛り上げが必要であると考えます。 国の優遇税制については,知事,県議会ともども,国に対し早期に実現するよう要望してきたところでありますが,この際,改めて国に対する強力な働きかけをお願いしておきたいと思います。 こうした国の動きの一方で,本県では,去る14日,岡山県ボランティア・NPO活動促進委員会から,岡山県ボランティア・NPO活動の促進のための提言が提出されました。この提言においては,県に対し,かなり具体的な支援策を求めていますが,今後,県として,この提言の具体化に向けどのように取り組んでいくのか,知事にお伺いいたします。 (知事) 次に,NPO活動の促進についてのお尋ねをいただきました。 岡山県ボランティア・NPO活動促進委員会の提言がございましたが,これを最大限尊重いたしまして,県としての基本指針を近々策定をいたしたいと思ってます。あわせまして,ボランティア・NPO活動支援条例の制定につきましても検討してまいりたいと存じます。 また,提言でも取り上げられておりますけれども,青少年やあるいは高齢者のボランティア・NPO活動への積極的な参加促進の問題であるとか,あるいは岡山情報ハイウェイを活用いたしました情報提供システムの構築,こういった問題につきまして早急に取り組んでまいりたいと思います。また,ボランティア・NPO活動支援センターの設置問題につきましても,検討を進めてまいりたいと存じます。 さらに,県税に係る優遇措置でございますけれども,これにつきましては,地方税を考える研究会でただいま研究を重ねております。その研究結果等を参考にしながら,これも具体化ができるように検討してまいりたいと存じます。 <平成12年6月定例会>(2000年6月20日) (佐藤) NPO一般についてお伺いいたします。 私は,最近になって,特に地方分権やNPOの活用が世間で言われ出した背景には,どう考えても国や地方の財政危機の問題がある気がしてなりません。昨今の議論は,国と地方は対等協力と言ってみても,肝心の財源がなければ意味がないのに,そこが不十分であるように,ボランティアでただで使える気のよい方たちに,できれば行政の補完をしてもらいたい,安上がりに済ませたい,そんな意図が見え隠れするような誠意のなさを感じることがあります。それではNPOの活用ではなく利用です。本当に人様のお役に立ちたい,その思いだけの方たちに,何とか自由にNPOの活動をしていただきたい。そういった方たちのパワーこそがすばらしい岡山をつくり上げていくのだ。NPO法人は,行政,企業と並ぶ社会の第三の柱であると考えれば,やはり今のNPO法は不十分である,誠意がないと言わざるを得ません。 NPO法は,附帯決議で,ことし11月末までに税制優遇を含めた制度の検討を行うとしていますし,我が県でも,収益事業を行わないNPO法人に対しては地方税の一部減免措置を講じていますが,全国的にNPO法人の申請が思ったほどに伸びないのは,やはり認証を受けるメリットが少ないのでしょう。 そんな中,岡山市の6月議会で,岡山市協働のまちづくり条例が通り,国際・福祉都市の実現に著しく寄与すると認められる特定非営利公益事業を指定し,土地,施設などの無償貸与,使用料の減額または免除等の支援が行われることになりました。県としても,さらなるNPO支援の条例を制定できないか。例えば,一挙に自動車税の免除のように思い切った支援を独自に行えないか,知事にお伺いいたします。ぜひ全国に先駆けたNPO王国をつくっていただきたく思います。 加えて,私は,ここに「神様の貯金」という新制度を提言したく思います。これはある女性のネーミングの受け売りですが,例えば介護保険でヘルパーさんのお世話になるにはちょっと申しわけないような,例えば買い物とか,庭の草抜きのお手伝いをした場合に,まず最初に神様から御褒美があります。そのポイントを神様にまた貯金いたします。そして,だれかに助けてほしいとき,それを引き出して,今度は助けてくれた人にポイントとしてあげます。こうして,神様を通じてポイントをやりとりするのです。例えば,小学生のときに総合学習でもらったポイントを80歳で使えるのです。きょうはちょっとよいことをしたという日には,神様が見ていて,いつか本当に,情けは人のためならずで,御褒美によいことがあるのです。一方的に支えるだけでも受けるだけでもないNPOの真髄だと思います。だれもが神様の貯金通帳を持って,お互いにポイントを出し合うのです。 まさに助け合いの社会を実現する「神様の貯金」ですが,例えば地域通貨と称して発行されたり,岡山でも「ぷらんねっと」というグループが,円でなく「ぷらん」を発行し,おもしろい成果を上げています。一つの提言としてどうお感じでしょうか,知事にお尋ねいたします。 (知事) 次に,NPO支援条例の制定でございますが,県といたしましては,先般設置をいたしました岡山県ボランティア・NPO活動促進委員会や,あるいは県民の皆様の意見を広く聞きながら,9月中に,ボランティア・NPO活動の促進に関する基本指針を策定することといたしております。そして,その中で,育成,支援のために必要な条例制定,この問題につきましても,その条例案の内容等について検討をしてまいりたいと考えております。 なお,NPOに対する優遇税制についてでございますが,これは何らかの措置が必要であると,このように私も考えております。この内容につきましては,現在,若手の職員で研究をしております地方税を考える研究会の中において研究を深めているところでございます。年度内に中間報告を受けまして,それらを参考にしながら具体的に検討を進めてまいりたいと存じます。 次に,「神様の貯金」という御提言をちょうだいをいたしました。この制度は,お聞きをしておりますと,個人がお互いにサービスを提供し合うもので,地域において,お互いが支え合うコミュニケーションづくりといたしましては,一定の意義を持ち,また評価できるものと考えております。しかし一方で,不特定多数のために一方的にサービスを提供するボランティア・NPO活動とは発想が異なったものと,このように私はお聞きをしました。私といたしましては,お互いがサービスを提供し合ったり,あるいは見返りを期待する,そういうような形ではない,県民の皆様の自主的な社会参加活動でありますボランティア・NPO活動の促進を図ってまいりたいと考えているところであります。 <平成11年12月定例会>(1999年12月10日) (佐藤) また,関連して,NGOを含めたNPO一般について何らかの支援措置をさらに進める計画はおありでしょうか,生活環境部長にお伺いいたします。さらに,岡山県新総合福祉・ボランティア会館は,NGOに対してもNPO一般と同様に利用できる計画なのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。 (生活環境部長) NPOに対する支援措置についてでございますが,県といたしましては,既に法人県民税の均等割を減免するなど,支援措置を講じてきているところでございますが,今後とも,その活動の自主性,主体性を尊重しつつ活動の促進を図っていくことが重要であると考えておりまして,NPOの設立支援のための講習会や県民啓発の講演会等の開催などに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 (保健福祉部長) 新総合福祉・ボランティア会館についてでございますが,平成9年度に策定いたしました基本構想では,ボランティア活動への支援機能を会館の基本的機能の一つと,このように位置づけているところでございます。 今後,NPO,NGOなど各種団体が地域や分野を越えて相互交流できる場,そうした場の提供につきましても基本計画の中で検討してまいりたいと存じます。 <平成11年6月定例会>(1999年6月24日) (佐藤) 市民が主役の時代と言われておりますが,これからは社会活動の中心は市民にだんだん移っていくと思います。そういった中で,いわゆるNPOの役割が極めて重要だと思います。そういった中で,昨年通過したNPO法について,関係部長にお伺いいたします。 平成7年1月の阪神大震災をボランティア元年として,紆余曲折,難産の末制定されたNPO法でありますが,実際の運用はどのように行われているのでしょうか。つまり,具体的に,どのような団体がどれだけ申請をし,また認証された後どのような活動を展開されているのでしょうか。 また,当初この法律は,税法上の優遇措置が検討されていましたが,その公共性にかんがみて,県として何か独自にお考えでしょうか。 さらに,法人格の取得に当たって,手続がやや煩雑に思われますが,もう少し簡便な方法はとれないのでしょうか。 また,広報についてはどのように行っておられるのでしょうか。 また,特に,介護保険の導入に伴い,福祉NPOを活用されるとのことですが,実際にそれを受けてくれる未認証団体が数多くあるのでしょうか。 ところで,現在,法人格を取得しようとするNPOをサポートするNPOサポートネットワークという団体が地道な活動を続けておりますが,今回計画される新総合福祉会館・ボランティア会館は,こういったNPOのネットワーク基地になり得るものなのでしょうか,どうかお知らせください。 (生活環境部長) NPO法の現況と問題点についてでございますが,まず法人申請等の状況につきましては,これまで13件の申請がなされまして,これらのNPOの活動分野は,福祉の増進,国際協力あるいは子供の健全育成などであります。このうち6件につきましては,既に認証を行ったところであります。 また,認証後の活動状況についてでございますが,今後,年間の事業報告書が提出されますが,認証間もないことから,これらについては現在のところ特に把握はしておりません。 次に,支援措置についてでございます。法人県民税の均等割を申請に基づき減免する措置を設けておりまして,公益法人と同等の取り扱いとしているところであります。 また,福祉NPOにつきましては,育成支援を行うことといたしております。 今後とも,NPOの実態や活動状況を見きわめながら,必要な支援措置について検討してまいりたいと存じます。 また,認証の手続につきましては,基本的には法律の規定によるものでございまして,これらにつきましての手続の相談や問い合わせにきめ細かく対応しているところでございます。 さらに,NPO法の県民への周知につきましては,法律の概要等を記載いたしましたパンフレットなどの作成配布,あるいは説明会の開催,ホームページへの掲載などを通じまして,周知に努めているところでございます。 (保健福祉部長) 福祉NPOの活用についてでございますが,友愛訪問や家事援助等の在宅福祉活動を展開しているボランティアグループは,把握しているだけでも県下に150を超える団体がございます。介護保険制度のもとにおきましては,福祉NPOは,新たな在宅介護サービスの提供主体としてその活躍が期待されているところでございまして,今後,これらの団体などを対象といたしまして設立に必要な情報の提供やリーダー養成等を行いまして,福祉NPOの立ち上げ支援を行ってまいりたいと存じます。 最後に,新総合福祉・ボランティア会館についてのお尋ねでございますが,平成9年度に策定いたしました基本構想の中で,ボランティア活動への支援機能を会館の基本的機能の一つとして位置づけているところでございまして,今年度策定いたします基本計画の中で,ボランティアやNPOの活動支援機能の具体化に向けた検討を行うこととしているところでございます。 | ||
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